倒産件数1万件突破! 2025年倒産件数の真実

2025年、企業の倒産件数が12年ぶりに1万件を突破。
その裏にある「企業総数の矛盾」と「日本経済の空洞化」

2025年、ついに一線を越えました。全国の企業倒産件数が12年ぶりに1万件を突破。
しかし、本当に恐ろしいのは「件数」そのものではありません。その「中身」が激変していることです。
「仕事はあるのに人がいない」「賃上げが原因で資金がショートする」。
今、日本企業の足元で何が起きているのか。最新のデータから、生き残るための条件を浮き彫りにします。

2025年 企業倒産件数1万件突破の推移グラフ

倒産件数1万件突破の衝撃

2025年の全国企業倒産件数は10,261件に達し、2013年以来12年ぶりに1万件の大台を突破しました。
4年連続の前年比増となるこの数字は、日本経済が「有事」のフェーズから脱却できず、むしろ深刻な構造不況へ足を踏み入れたことを如実に物語っています。

特筆すべきは、負債総額が1兆5,668億8,800万円と前年比29.4%減少している点です。
これは大型倒産が減っているといる証左です。
しかし倒産件数自体は増加している。
これらのことを換言すると、「地域に根ざした中小零細企業」が次々と力尽きているのではと言えるのではないでしょうか。

この3年間の倒産要因の変遷を振り返ると、日本経済が直面している「課題の深刻化」が浮き彫りになります。

1. 2023年:ゼロゼロ融資の「出口」で脱落した企業群

2023年の倒産件数は8,497件でした。この時期の主な要因は、コロナ禍で提供された実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済本格化です。公的支援によって「延命」してきた企業が、自力でのキャッシュフロー改善ができずに市場から退場を余儀なくされた、いわば「支援終了に伴う息切れ型」の倒産が主流でした。

2. 2024年:価格転嫁の壁に阻まれた「物価高倒産」の急増

2024年になると件数は9,901件にまで跳ね上がります。この年の主役は、円安とエネルギー高騰を背景とした「物価高」でした。原材料費の上昇を最終価格に転嫁できない中小企業が、売れば売るほど赤字になる「逆ザヤ」状態に陥り、負債1億円未満の小規模倒産が全体の約77%を占めるという、「コストプッシュ型」の倒産が常態化しました。

3. 2025年:そして「人手不足」と「賃上げ」が最後の一押しに

そして2025年、要因はさらに多層化しました。これまでのコスト高に加え、「人手不足」と「賃上げ圧力」が決定打となりました。 「仕事はある、しかし現場を回す人間がいない。人を雇おうにも、高騰する時給を払える利益構造がない」。 このように、単なる景気循環の波ではなく、「人件費を払えない企業は存続を許されない」という冷徹な構造的変化が、1万件突破という数字の裏にある真実です。

「人手不足が深刻化する中、M&Aで人材や事業を補完するケースも増えています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。」
→ リンク: 育児・介護休業法改正の衝撃!:中小企業経営者が押さえるべきポイントとM&Aとの連動戦略

2025年の特殊要因:政府統計が示す「人手不足」と「賃上げ疲れ」の断崖絶壁

2025年の倒産増加において、最大の特徴は「人手不足倒産」の爆発的急増です。年間件数は427件に達し、前年比24.9%増と調査開始以来の過去最多を更新しました。この背景には、政府の公式統計が警告し続けてきた「労働市場の構造変化」が、いよいよ中小企業の限界を超えたという事実があります。

1. 「欠員率」の高止まりと供給制約の深刻化

厚生労働省の統計では、企業の「未充足求人(欠員)」が過去最高水準で推移していることが示されています。

2. 「防衛的賃上げ」の限界と政府の懸念

中小企業庁の分析では、物価上昇に負けない賃上げが推奨される一方で、業績が追いつかない中での「防衛的賃上げ」のリスクも浮き彫りになっています。

3. 政府が注視する「人手不足による退出」

政府の会議資料等でも、労働力不足による「供給制限型」の経済停滞が議論されており、もはや「代わりの人間がどこにもいない」という現実に直面しています。

  • 従業員退職による連鎖: 従業員の退職に端を発する「後任不在型」の倒産は前年比で4割近く増加しており、政府が懸念する労働力のミスマッチが最悪な形で表出しています。

  • 出典: 厚生労働省「労働経済白書」

「倒産増加の背景には、資金調達難や人手不足が絡んでいます。上半期の動向分析はこちらの記事で詳しく解説しています。」
→ リンク: 2025年度上半期の企業倒産動向:中小企業の忍耐力が試される時代到来?

統計の罠

「会社数」は増えても、実質的な「商売の火」は消えている

「倒産が増えているというが、登記上の法人数は増えているじゃないか」——。
そう指摘する方もいらっしゃるでしょう。実際、日本の法人数は約490万社前後で微増を維持していますが、ここには「統計の罠」が隠されています。

1. 「幽霊会社」の一斉清掃で露呈した実態

2025年1月、法務局による大規模な「みなし解散」が執行されました。

  • 1カ月で約6.5万社が消滅: 長年登記が放置されていた、いわゆる「幽霊会社」が一斉に整理されました。

  • 出典: 法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」 これにより、これまで統計を底上げしていた「活動実体のない器」が剥がれ落ち、日本経済の「真の姿(少なさ)」が白日の下に晒されました。

出典:法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について

 解散したものとみなされた
株式会社数
解散したものとみなされた
一般社団法人及び一般財団法人数
第1回
(昭和49年)
67,950
第2回
(昭和54年)
69,161
第3回
(昭和59年)
93,018
第4回
(平成元年)
88,640
第5回
(平成14年)
82,998
第6回
(平成26年)
78,979478
第7回
(平成27年)
15,982645
第8回
(平成28年)
16,223734
第9回
(平成29年)
18,146992
第10回
(平成30年)
24,7201,208
第11回
(令和元年)
32,7111,366
第12回
(令和2年)
31,5161,487
第13回
(令和3年)
29,6051,662
第14回
(令和4年)
28,6151,798
第15回
(令和5年)
27,8871,787
第16回
(令和6年)
26,8851,994

毎年3万社近く、解散されたものとして対応されていますが、それでも企業数自体は倒産・解散などを差し引いても増加しています。

2. 「節税・副業法人」の増加 vs 「地域の中核企業」の消失

次に増えている「企業(法人)」の実態を見て見ましょう。
法人数が増えて見える最大の要因は、実業を伴わない「ハコ」の乱立です。

  • 増えているもの: インボイス対策の1人法人、副業用の合同会社(LLC)、資産保有会社。

  • 減っているもの: 従業員を雇い、地域経済を回してきた「事業所(店舗や工場)」。

  • 出典: 総務省・経済産業省「経済センサス‐活動調査」 総務省の調査を見れば一目瞭然ですが、「法人(器)」はあっても「事業所(中身)」が減っているという、経済の空洞化が急加速しています。

3. 「黒字廃業」という静かな退場

さらに深刻なのが、倒産件数には現れない「休廃業・解散」の激増です。

  • 年間7万件超の衝撃: 2025年1-8月だけで4万7,078件に達し、年間では過去最多の7万件を超えるペースで推移しています。

  • 出典: 東京商工リサーチ「休廃業・解散企業動向調査(2025年)」 その多くは、経営者の高齢化による「2025年問題」を背景としたもの。「利益は出ているが、後継者がいないから、余力があるうちに畳む」という選択です。

「休廃業・解散の急増は、2025年問題の深刻さを示しています。M&Aで事業を第三者に引き継ぐ選択肢についても、こちらの分析をおすすめします。」
→ リンク: 2025年、休廃業・解散が過去最多の7万件超! 中小企業庁はどう考えるのか

社長に知っておいてほしいこと: 見かけの法人数が増えているのは、人体で喩えるなら単なる「脂肪(ペーパーカンパニー)」が増えているようなものです。 地域雇用を支える「筋肉(実業)」は、今この瞬間も猛烈な勢いで失われています。ライバルが消えていくこの状況は、生き残った企業にとっては「シェア拡大の好機」か、あるいは「地域経済崩壊の予兆」か。
統計データの裏側を見ながら経営戦略を立てることが、経営者には求められるのではないでしょうか。

関連記事: 2025年、休廃業・解散が過去最多の7万件超!

結論:日本経済は「新陳代謝」ではなく「空洞化」している

登記上の「器」は増えても、雇用と納税を支える「筋肉質な事業所」は減少の一途をたどっています。2025年、私たちはついに「予測されていた危機」の渦中に立ちました。

1. 2025年問題の残酷な現実

  • 経営者の高齢化: 70歳以上の経営者が245万社に達し、日本の中小企業の過半数が「引退の瀬戸際」に立っています。

  • 後継者不在の深刻化: 後継者不在率は62.6%に達し、黒字であっても「誰に継がせるか」が決まらないまま廃業を選ぶ企業が後を絶ちません。

  • 出典: 中小企業庁「財務・事業承継の現状と課題(2025年版)」

「後継者不在が倒産や廃業を加速させる中、M&Aによる第三者承継が有効です。過去最高更新のM&A件数から見る今すぐの戦略はこちら。」
→ リンク: 【2026年M&A過去最高更新】中小オーナーが今すぐ取るべき「バトン渡し」戦略5選
(M&A件数増加と承継戦略の最新記事)

2. 「脂肪」に隠れた日本経済の低血糖

日本経済は今、「筋肉(実業)が削げ落ち、脂肪(ペーパー法人)だけが増えている」という極めて不健康な状態です。金利上昇局面に入った今、コスト増を価格に転嫁できず、内部留保を食いつぶしてきた企業から順に、市場から強制退場させられる「大選別の時代」が幕を開けました。


経営者への警鐘:この「選別」を生き残る唯一の道

この空洞化する市場で、あなたの会社を「筋肉」として残すためには、昨日までの経営の延長線上には答えはありません。

  1. 「人」に依存しない仕組みへの転換(省力化・DX)

    • 「人が来ない」と嘆く時間は終わりです。AIや自動化への投資を行い、最小人数で最大利益を出す構造へ作り変えてください。

  2. 「価格転嫁」を恐れない勇気

    • 低価格はもはや美徳ではありません。賃上げ原資を確保できない値決めは、自社を絞め殺す「緩やかな自殺」と同じです。

  3. 「第三者承継(M&A)」を経営の選択肢に

    • 親族にこだわらず、資本力のあるパートナーと組むことは、従業員の雇用を守るための「攻めの出口戦略」です。


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株式会社日本財務戦略センター | M&A支援機関登録 | 中小M&Aガイドライン遵守


執筆:五十嵐 悠一(日本財務戦略センター 代表取締役) 京都大学経済学部卒業。大手損害保険会社にて企業の「リスク」と「法務」の最前線を経験後、東証上場M&A仲介会社を経て、日本財務戦略センターを設立。中小企業庁「M&A支援機関」登録。現場主義の財務コンサルタントとして、延べ百社以上の経営改善・事業承継に携わる。


参考文献・出典まとめ

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