支持率82%の“高市旋風” ~ 若い女性の不支持率0%が示す未来への希望
高市早苗内閣の発足からわずか2週間で、一部調査によれば支持率は82%に達しました(JNN世論調査)。
世論調査の取り方は各社で様々有りますが、JNNの調査では20代・30代の現役世代では80%超、特に若い女性層(18-29歳)では不支持率がほぼ0%という、あまり見たことがない数字ではないでしょうか。
これは日本初の女性首相という歴史的インパクトに加え、日米首脳外交の成果やドジャーズのワールドシリーズ優勝のようなおめでたい出来事、そして政策として打ち出した「国力6要素」(防衛力・外交力・経済力・技術力・情報力・人材力)の明確なビジョンが、高市総理のキャラクターと相まって少子化や将来不安を抱える世代に強く響いた結果でしょう。
日経平均も50,000円を超え、市場も政権の実行力を評価しています(本稿を執筆しているタイミングでは下落してしまいましたが…)。
この高支持率は、少数与党の不安定さを補い、政策の継続性を担保、推進していくでしょう。
では高市早苗政権によって具体的にどのような政策が中小企業に影響を与えるのか、見ていきたいと思います。
高市政権の政策構造 ~ 所信表明の基本方針と「17の戦略分野」を読み解く
高市首相は就任初日の閣議で、物価高対策の即時対応を指示し、所信表明演説で「責任ある積極財政」を基本方針に据えました。
さらに2025年11月4日の「日本成長戦略本部」初会合で、AIや造船など17の戦略分野を重点投資対象として決定し、来夏までに新たな成長戦略を策定する方針を明確にしました。
これは過去政権のアベノミクスなどの成長戦略を継承しつつ、「危機管理投資」を成長の肝として、地政学的リスクや超高齢化社会の課題に対応する国家介入主義的なアプローチを特徴だといえるでしょう。
所信表明では、短期の物価高対策と中長期の成長戦略を連動させ、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障、健康医療安全保障、国土強靱化対策の5つの安全保障分野を統合的に扱っています。
一方、「17の戦略分野」は本部の初会合資料に基づき、供給力の抜本強化を目的としたもので、半導体・AIなどの先端技術から防衛・海洋資源までをカバーします。
これらに連立した維新連立の政策として、副首都構想、社会保障改革を加味しています。
これらについて俯瞰し解説したうえで、中小企業への影響を以下に詳述します。
・短期の基盤:物価高対策の即時対応 / 資金繰りの即時改善で中小の“守り”を固める
所信表明で最優先課題とし、ガソリン・軽油引取税の暫定税率廃止(補助金移行で2026年実施)をすでに決めました。
暫定税率廃止によりエネルギー価格高騰の負担を軽減し、物流・製造業の中小に即効性を発揮します。また国民の可処分所得が上がり移動が活性化することで総需要が増えることも予想されるでしょう。
赤字法人への賃上げ助成金化(1人年最大50万円)が目玉で、従来の税制優遇を直接給付に切り替え、事業再構築補助金の予算を1兆円に倍増させます。これにより資材高騰下でも賃上げ率3%超が実現しやすくなる可能性が高まり、サービス業の中小企業が人件費圧迫を緩和できます。
また中所得者向け給付付き税額控除(2026年税制改正)を早期導入し、年収400-600万円層に最大10万円を還付するとのこと。
これらの政策により消費を底上げし、小売・サービス業の中小に経済的なメリットが波及します。
また米国の関税措置(トランプ政権の影響)に対し、中小企業向け資金繰り支援をメニュー化し、影響緩和を図ります。
財源は租税特別措置の見直しで確保し、維新の「身を切る改革」と連携することになります。
臨時国会の期日がタイトのため、予算遅れリスクもありますが、この対策は、2025年問題の介護離職増加に対し、賃上げで人材定着を支えます。
・中長期のエンジン:17の戦略分野への危機管理投資 ~ サプライチェーン強靱化で中小を“要”に据えます
「日本成長戦略本部」の初会合で決定した17の戦略分野は供給力強化の核心です。
ここに総額数十兆円規模の補助金・税制・政府調達を投入し、官民連携でロードマップを策定します。
所信表明の5つの安全保障分野(経済・食料・エネルギー・健康医療・国土強靱化)と連動し、経済安全保障推進法の着実執行を指示しました。
主要分野の例として、AI・半導体では生成AI開発と国内製造基盤の確立を推進。
重要物資サプライチェーン強化法で半導体・レアアース・医薬品・バッテリーを指定し、補助金75%を支給します。
中小企業はJICNの10兆円ファンドから出資・融資を受け、大企業マッチングが可能。
たとえば、半導体後工程の中小が自動化ラインを導入すれば、売上30-50%増が見込めます。
防衛産業・航空・宇宙では生産基盤強靱化と装備品調達を強化。公共調達で国産を10%高くても優先し、中小の部品納入が増加します。
量子・バイオでは研究開発を加速し、創薬ベンチャー支援でバイオ中小の国際展開を後押しします。
サイバーセキュリティ分野では、基本法改正で中小向けサイバー保険義務化+保険料補助を実施します。
重要インフラ関連企業にセキュリティ診断を義務づけますが、簡易申請窓口で負担軽減。
他の分野(造船、エネルギー安全保障、重要鉱物、情報通信、海洋など)も同様に、国内回帰と技術自立を促進します。
課題はコンプライアンスコストと労働力不足ですが、輸出規制強化のリスクを国内投資でヘッジします。
この投資は、2025年問題の技術者不足をDXで補い、中小の生産性向上を構造的に支えていくでしょう。
・地域・社会の基盤:維新連立の副首都構想と社会保障改革 ~ 地方中小の活性化と負担軽減を図ります
維新との連立合意(2025年10月20日)で、副首都構想を推進。
インフラ投資を2026年度予算に反映し、臨時国会中に協議体を設置します。
大阪をバックアップ首都に位置づけ、東京一極集中是正を図ります。
建設・IT・物流の中小に受注機会が拡大し、関西圏の売上増が見込めます。17の戦略分野と連動し、大阪に半導体クラスターを形成。インバウンド3,500万人の“コト消費”でサービス業も活性化します。
地方交付金拡充で資材高を相殺し、地域未来戦略で中堅企業支援と産業クラスター形成を進めます。
維新と大阪自民府連の連携は課題ですが、維新は公約として食料品消費税ゼロ化を挙げていたため、消費税率維持方針の自民党との間で連立の不安定要因につながるかもしれません。
社会保障改革では、国民健康保険料・介護保険料の軽減を2026年度から実施したいとのことで議論を始めています。
2025年問題の介護負担増に対し、ビジネスケアラー支援(在宅介護手当)を拡充していくとのこと。
この改革は、17分野の人材育成と連動し、中小の雇用維持を後押する可能性があります。
中小企業への影響“各論” ~ 業種別にチャンスとリスクの整理
2025年のマクロ環境を踏まえ、業種別に影響を分析します。
・建設・インフラ業
副首都工事と国土強靱化(17分野の危機管理投資)で公共工事受注が増え、補助金75%で設備投資がしやすくなります。
チャンス:売上増、地方クラスター形成で安定受注。副首都へ建設インフラ投資も活性化。
リスク:資材高騰と人手不足(高齢作業員退職)。
対応:価格転嫁交渉、特定技能外国人労働者受け入れ、リスキリング補助金の活用が必要。
・半導体・電子部品製造業
17分野のAI・半導体投資とJICNファンドで売上が大幅増。国内回帰が進むと考えられます。
チャンス:補助金75%で自動化推進、生産性向上。
リスク:輸出規制と技術者不足。
対応:国内投資優先、DX自動化で人手補完、量子・バイオ分野のマッチング応募。
・IT・ソフトウェア業
サイバーセキュリティ・情報通信分野の需要でDX売上が増加する可能性。
チャンス:補助金50%でセキュリティ強化、副首都データセンター受注。
リスク:診断コストとエンジニア不足。
対応:IT導入補助金活用、女性・高齢者リスキリングプログラム導入。
・物流・製造業
造船・海洋分野のサプライチェーン強化で受注安定。
チャンス:ガソリン税廃止でコスト低減、エネルギー安全保障投資。
リスク:トランプ関税とドライバー不足。
対応:東南アジア多角化、自動運転技術投資、日本政策金融公庫融資。
・サービス業(小売・飲食)
給付付き税額控除と社会保障改革で消費を支えます。
チャンス:賃上げ助成で従業員確保、コンテンツ産業(アニメ・ゲーム)波及。
リスク:継続した介護離職増加や専門性のある人材の確保。
対応:柔軟勤務制度、社内介護休暇整備、外国人材受け入れ拡大。
総論:3年継続で中小企業がすべきこと ~ 17分野投資を活かした2025年問題克服のアクション
高市政権が3年継続する前提で、中小企業は17の戦略分野の危機管理投資を活用し、2025年問題の人手不足をDX・多様な人材・社会保障改革で克服しましょう。
物価高対策の即時支援を基盤に、持続可能な成長戦略を構築します。
以下の3ステップを着実に実行してください。
1.【2025年内】補助金を即時キャッシュ化し、人手不足の即応対策を講じる
・事業再構築補助金・ものづくり補助金を申請し、自動化ツールや賃上げ資金を確保します。
たとえば製造業の中小はロボットアーム導入で労働力不足を補い、赤字法人でも助成金でキャッシュフローを安定させます。
・副首都関連プロジェクトの入札情報をチェック(国土交通省ポータル)。
公共工事の受注を目指し、関西拠点の中小は17分野(例: 航空・宇宙)のクラスター参加を意識しましょう。
・厚生労働省の「特定求職者雇用開発助成金」を活用し、高齢者・障害者雇用を推進。
2025年問題の退職波に対し、社内リスキリング(職業訓練)を即時開始し、定着率を10%向上させます。
予備資金を積み増し、予算遅れに備えます。
2.【2026年】17分野のJICNファンドを活用して投資を加速し、多様な人材確保を体系化する
・関西シフトを進め、半導体・AIや防衛産業関連のマッチングに応募。
JICNの低金利融資で設備更新を図り、副首都投資の波及効果を最大化します 。
・DX投資(AIツール・サイバー対策)を進め、生産性向上と大企業取引を強化。
経済産業省の「IT導入補助金」と連動し、人手不足業界で自動化を進めていきましょう!
・人材面では、外国人材受け入れを拡大(特定技能ビザ申請支援)。
介護・建設で労働力増を目指します。
社内リスキリングプログラムを構築し、高齢者再雇用でナレッジ継承。
女性活躍推進(政権の家族重視政策)と連動し、社内保育提携・柔軟勤務でビジネスケアラー離職を防ぎます。
投資収益率をKPI化し、量子・バイオ分野のスタートアップ支援を活用してください。
3.【2027年以降】コンプライアンスを競争力に変え、持続成長基盤を構築する
・サイバー保険・セキュリティ診断を補助金で導入し、大企業との取引条件をクリアしましょう。経済安保法遵守を武器に、17分野の公共調達シェアを拡大します。
・サプライチェーンを国内中心に再編し、安定した売上基盤を構築。副首都移転などで地域分散を活かし、地方中小は造船・海洋分野のクラスター参加で協力ネットワークを形成。またESG投資を意識し、環境(再生可能エネルギー対応)・社会(多様な人材)・ガバナンス(コンプライアンス)を強化します 。
高市政権の支持率82%は、政策実行の強力な後ろ盾です。
中小企業の皆様は、今すぐ補助金申請から始め、2026年を分水嶺としてください。人手不足は政策だけでは解消せず、企業主導のDX・多様化・17分野投資活用が鍵です。政策の波を自社に取り込むスピードが、3年後の成長を決めます。
詳細は中小企業庁・経済産業省・首相官邸ポータルでご確認ください。
今後の経営判断にお悩みの場合、弊社までお気軽にお問い合わせください。


































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