中小企業のM&A(合併・買収)は、事業承継や企業成長を支える重要な仕組みとして注目されています。M&A仲介の仕事は、メディアなどで取り上げられているような高収入や社会的意義、あるいは人によっては「キラキラしている」というイメージから一見魅力的に見えますが、過酷な営業環境、厳格な規制、将来の不透明感がその裏に潜んでいることがどこまで浸透しているのか、今回はそれをテーマにブログを記載したいと思います。
例えばSNS上では、業界関係者が「ひたすら電話をかけまくる日々」「数字に追われて疲弊する」と嘆き、クライアント側からは「しつこい営業電話で業務が止まる」との苛立ちの声が溢れています。
このブログでは、M&A仲介業界の厳しさと、なぜ「つぶしが利かない」「行くところがない」と言われるのかを、営業をかける側と受ける側の視点から解説してみたいと思います。
迷惑電話をかける側もかけられる側も対応中にこの記事を読んでお互いの相互理解が進んでくれることを願ってやまないと思うと同時に、それでも意欲と能力のある人にはやりがいのある世界であることもお伝えしたいと思います。
1. M&A仲介の魅力と厳しい現実
M&A仲介は、企業同士の売買を仲介し、中小企業オーナーの事業承継や成長を支援する仕事です。
高額な手数料や社会貢献のイメージから、華やかな仕事と思われがちですが、現実は大きく異なりますし、もしそう思われるなら。
財務分析、法律、税務、交渉スキルなど高度な専門知識が求められ、クライアントの複雑な状況や感情への対応も欠かせません。
特に過酷なのは、営業活動の現実です。M&A仲介は、案件獲得のために膨大なテレアポが求められ、新卒やインターンに「1日100件以上電話をかける」ノルマが課されることも珍しくありませんし、もしお疑いなら一度SNSで検索してもいいかもしれません。
X上では、業界関係者が「毎日テレアポで門前払い。心が折れる」「新卒が電話をかけまくって数字を詰められる」と語り、過酷な労働環境を明かしています。
一方、電話を受ける中小企業オーナーや受付担当者からは、「M&Aの営業電話で業務が止まる」「しつこい電話にストレスしかない」との不満が噴出し、Twitter上ではお手紙が担当者名付きでさらされていたりしています。
受け手側にとって、こうした電話は業務の中断や時間の浪費を招きます。
「会議中に何度も電話がかかってきて集中できない」「『社長に取り次げ』と高圧的に言われる」との声があり、強引なトークや繰り返し電話が精神的な負担を増大させているでしょう。
営業をかける側も、拒否の連続やノルマのプレッシャーに疲弊し、「断られてもかけ続けるしかない」との投稿がX上で散見されています。
この両者のストレスフルな関係は、業界の過酷さを象徴すると同時にお互いが分かり合えないという辛い緊張関係が継続していることを示唆しているでしょう。
2. 上場企業の業績低迷と競争激化
M&A仲介業界の主要プレイヤーである上場企業(日本M&Aセンター、ストライク、M&Aキャピタルパートナーズなど)の業績見通しは、近年厳しさを増しています。株価のトレンドを見ても数年前の勢いが失われているといえるのではないでしょうか。
国内でも、中小企業数の減少や買い手企業の投資意欲減退により、案件数が伸び悩んでいる仲介が多いとの声が聞こえます。X上でも、「コンプライアンスが厳しくなって、昔のようなやり方が難しくなって業績への期待は低い」との声が上がり、市場の停滞感が指摘されています。
主要企業の決算資料によると、コロナ禍後の回復期をピークに、売上高や利益率の成長が鈍化。
案件単価の低下や過当競争が背景にあり、株主からのプレッシャーも強まっています。
中小企業庁に登録された事業者は2000社を超え、「M&A」という言葉が浸透してきているので、登録外の事業者を含めるとさらに多くのプレイヤーがひしめく中、限られた案件を奪い合う環境はますます厳しくなっています。
X上でも、「競争が激しすぎて、時間ばかりかかって稼げない」「案件が取れなきゃ居場所がない」との不満が聞かれ、新規参入者や小規模事業者の生き残りが困難な現実が浮き彫りです。
この競争激化は、テレアポの過剰化にもつながっています。
帝国データバンクなどから購入したリストを使い、無差別に電話をかけるケースが増え、受け手側からは「99%嘘の営業トーク」「本当は買い手などいない」との不信感が広がっています。
営業側も「リストを頼りに電話をかけまくるが、成果に繋がらない」とのストレスを抱え、双方の悪循環が業界の課題を深めています。
うーん、ここまで書いてきて仲介とは両者を結びつける仕事ですが、迷惑営業をする側と受ける側が双方が理解しあえる未来が見えなくなってきました…。
3. コンプライアンス強化と「自由に稼げる」時代の終焉
かつてM&A仲介は、成果を上げれば高収入を得られる「自由な」仕事として知られていました(GPSをつけたり、毎週、社長と一緒に《迷惑》営業電話をする会社もあるようですが)。
しかし中小企業庁や業界団体の規制強化により、コンプライアンスが厳格化され、「自由」度の高い稼ぎ方は難しくなっています。
2025年は規制環境の変化がさらに加速する見込みです。
不適切な取引(例:支払い遅延、資金の不正利用)を防ぐため、事業者への監視が強化されています。
M&A支援協会では、厳しい審査を経た事業者のみが参加する「特定事業者リスト」を運用し、加盟している数百社の中でも数十社程度の限られた事業者が参加し、信頼性を守るような規制・取り組みを行っています。
この仕組みは取引の安全性を高める一方、事業者には監査や書類作成の負担を増やし、以前のような「効率的」な収益確保を難しくしています。
X上では規制の厳格化に不満を漏らす声も多いです。
「コンプライアンスで縛られすぎ。昔みたいに自由に動けない」「書類仕事が増えて、営業に集中できない」との投稿が目立ち、自由度の低下が業界の雰囲気を変えています(自業自得ではありますが…)。
受け手側からも「しつこい電話はガイドライン違反じゃないのか」「中小企業庁に通報したい」との声が上がり、規制への期待と不信感が交錯しています。
コンプライアンスを軽視する事業者は市場から排除されるリスクが高く、「自由に稼げる」時代は完全に終焉を迎えたといえるでしょう。
4. スキルの特殊性と雇用の不安定さ
M&A仲介の仕事は交渉力や専門性の高さなどが特徴と言われてますが、そのスキルは他の業界で活かしにくい「つぶしの利かない」ものです。
財務や法律の知識、交渉力は、金融やコンサルティングの一部で応用可能ですが、実際、そこまで専門能力によって決まることはない要素が多いので、一般化して語ることができない(逆に言えば専門性がなくてもやれているM&A仲介営業マンはいる)という身もふたもない話になってしまいます。
X上でも「M&Aのスキルは特殊すぎて、転職先で使い物にならない」「他の業界に行ってもゼロスタート」との声が上がり、キャリアの柔軟性の低さが指摘されて、他山の石にしようという声が散見されるなあという印象です。
雇用の面でも不安定です。大手事業者では成果主義が強く、インセンティブ方式のため、契約が取れなければ収入が激減。
「数字が出ないと社内で肩身が狭い。居づらい」「毎年営業目標に追られて疲れた」との投稿が散見され、精神的・肉体的な負担の大きさが強調されています。
特に、新卒やインターンに課されるテレアポのノルマは過酷で、「電話をかけまくって心が折れる。新卒にはキツすぎる」との声がX上で見られますし、なんなら「インターン時に約束されていたテレアポノルマを果たしたのにインセンティブが支払われなかった」という話も聞いたりしますので、なかなか厳しい世界です(労基法違反じゃないかというそもそも論もありますが)。
小規模事業者や個人事務所では、案件数が限られ、安定した収入を確保するのは困難です。
受け手側からの「迷惑電話」批判も、営業側のストレスを増幅し、「断られ続けるのに電話をかけ続けるしかない」との怨嗟の声が「M&A仲介 迷惑電話」で検索するとすぐヒットするほどその苦しさを物語っています。
新規参入者が安定したキャリアを築くのは、ほぼ不可能…とまでは言いませんが、結構運頼みに近いと言えるのではないでしょうか。
5. M&A仲介業界の暗い見通し
M&A仲介業界の将来は、複数の要因から暗い見通しが続いています。
繰り返しになりますがまず国内の中小企業数は減少傾向にあり、総務省の統計によると過去10年で約1割減少。
この傾向は続き、M&Aの需要縮小が予想されます。
加えて、AIやデジタル技術の進展が、企業マッチングや財務分析を自動化し、従来型の仲介業務の価値を下げるリスクがあります(逆に身売りしたい企業は増えるのでビジネスチャンスとみなすことができるのかもしれませんが)。
規制の強化も見逃せません。
中小企業庁は不適切な取引を防ぐため、事業者登録の基準厳格化や監視強化を進め、コンプライアンス違反を犯した事業者は市場から排除される可能性が高まっています。
中小企業庁の「情報提供受付窓口」(jouhouteikyou@ma-shienkikan.go.jp)には、しつこい営業電話への苦情も寄せられており、ガイドライン違反の事業者への締め付けが強まる見込みです。
経済全体の不透明感や資金調達環境の悪化も、買い手の投資意欲を冷やし、案件数の減少につながるでしょう。
グローバルな貿易協定の不確実性がM&Aに悪影響を与えるとの懸念からマクロ経済も成長の鈍化が明確です。
6. 信頼できるM&A仲介事業者の役割
厳しい環境の中、M&A仲介業界では信頼性を高める取り組みが進められています。
M&A支援機関協会に加盟する事業者の一部は、「特定事業者リスト」を通じて、悪質な取引を防ぐ情報を共有を始めました。
2000社を超える登録事業者と登録外事業者の中で、数十社程度の限られた事業者が参加し、取引の透明性を高めています。
このリストは、支払い遅延や不適切な取引を記録し、クライアント保護を強化しますがアクセスできる企業は限られているので、そこにアクセスできる企業を探すことが重要です。
日本財務戦略センターはこのリストに参加しようとする事業者の一員として、売り手オーナーの事業価値と関係者の安心を守ることに尽力しています。
業界標準の契約書を活用し、取引条件を明確化することで、リスクを低減、専門家による知識共有や啓発活動も支援し、業界全体の質を高めるよう取り組んでいます。
売り手企業様と話していても「信頼できる事業者を選ぶのが大事。いい加減な会社だと従業員や取引先に申し訳ない」「誠実な対応をしてくれる会社は少ない」との声があり、業界の質の向上を求める意見が広がっています。
また中小企業庁もガイドライン違反の事業者には通報窓口(03-6867-1478)での対応を呼びかけており、業界の健全化を後押ししています。
7. 意欲と能力がある人へのメッセージ
M&A仲介は、競争の激化、コンプライアンスの強化、テレアポの過酷さ、将来の不透明感から、簡単な仕事ではありません。X上の声にもあるように、「ひたすら電話をかけまくる」「数字に追われて疲弊する」と疲弊する人が多く、受け手側からは「しつこい電話でストレスしかない」との批判が上がります。
「テレアポで心が折れる。新卒にはキツすぎる」「断られ続けてもかけ続けるしかない」との投稿は、営業側と受け手側の双方のストレスフルな現実を物語っています。
しかし、意欲と能力がある人には、企業の未来を支えるやりがいのある業界でもあります。
「オーナーの人生を変える瞬間は本当に感動する」「社会貢献の実感がすごい」との思いは私も最初にこの仕事を始めた時の同期でしたし、達成感や意義を感じる瞬間があるのはよくわかります。
ぜひ一緒に中小企業オーナーの夢や事業承継を支援し、地域経済や雇用を守る喜びという、他の仕事では味わえないもの共有したいと思っています。
日本財務戦略センターは、信頼できるM&A仲介を目指し、業界の課題に真剣に取り組んでいます。
もしあなたがこの厳しい業界で挑戦する覚悟があるなら、ぜひ一緒に頑張りましょう!




































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