2026年衆院選:中小企業への影響を財務視点で徹底分析|日本財務戦略センター
【関連資料:オーナー経営者のための防衛策】 本記事で触れた税務リスクに加え、M&Aの出口戦略や資金繰り対策の最新情報を[2026年衆院選直前!「倒産・税制・M&Aの罠」8つの警告まとめ]に集約しました。解散総選挙に伴う不確実性に備えるための、実務的な判断材料としてご活用ください。
中小企業社長必見:公約実現であなたの会社は耐えられる?
「選挙なんて、どこが政権取っても大して変わらないよな」
社長、本気でそう思っていますか?相場は常に「未来」を織り込みます。今、足元で起きている異常な円安と、2.3%を超えてなお上昇を続ける長期金利。これ、本当に「誰が政権を取っても同じ」で済む話だと思っているなら、非常に危険です。2026年1月現在、日本は160円の大台を常に意識せざるを得ない不安定な為替水準と、27年ぶりの高金利という異常事態の真っ只中にあります。(※実際レートは157-158円台で推移中)各党が囁く「減税」や「補助金」という甘い言葉。でも、「フリーランチ(タダ飯)」は存在しません。甘い言葉の裏には、「金利爆騰」か「円安地獄」か、あるいは「強制賃上げ」か。中小企業を締め付ける劇薬が必ず混ざっています。どの党が勝ったとしても、有権者が求める処方箋には副作用があるといえるかもしれません。
自民党、公認候補予定者272名を決定:
1. 全11党マクロ経済戦略:徹底比較
現在の自民党政権(高市路線)を基準値3として比較。
| 政党 | 戦略の本質 | 直撃する副作用(現状比) | 経営リスク |
|---|---|---|---|
| 自民党(高市) | 積極財政・投資優先 | 【基準】円安・高金利の継続。財政不安。 | 3 |
| 立憲民主党 | 財政健全化・分配 | 金利は安定傾向だが、最賃1500円の強制。 | 4 |
| 日本維新の会 | 大規模減税・労働流動化 | 国債増発による自民超えの金利急騰リスク。 | 5 |
| 公明党 | 中道・分配・運用益還元 | 現状維持。※ジャパン・ファンドの運用リスク有。 | 3 |
| 国民民主党 | 減税・手取り最大化 | 103万の壁撤廃による一段の円安進行。 | 4 |
| 日本保守党 | 小さな政府・減税 | 補助金カット。自助努力なき企業の淘汰。 | 4 |
| チームみらい | AI成長・次世代投資 | 成長分野へ集中。マクロ安定だが一般支援減。 | 2 |
| れいわ新選組 | 消費税廃止・給付 | 財政信認喪失によるハイパーインフレ・金利暴騰。 | 5 |
| 日本共産党 | 大企業増税・労働短縮 | 人件費の爆発的増加(7時間労働)。モデル崩壊。 | 5 |
| 社民党 | ケア経済・消費税ゼロ | 短期需要は出るが、国全体のパイが縮小。 | 3 |
| 参政党 | 内需自立・国産化 | グローバル供給網離脱。輸入コスト制御不能。 | 4 |
(2026年衆院選公約として「中道改革連合」が提唱)
2. 経営者が今すぐ財務諸表を確認すべき3点
選挙結果が確定する前に、自社のP/L(損益計算書)およびB/S(貸借対照表)を用いて、以下の「3つの極端なシナリオ」への耐性をシミュレーションしてください。
① 金利耐性:支払利息の「倍増」に耐えられるか
検証内容: 現在の借入金利に対し、さらに1.0%〜2.0%の上昇を仮定してください。
インパクト最大化政党:日本維新の会、れいわ新選組
両党ともに大規模な財政支出や減税を掲げており、その財源を国債に依存する場合、国債の信用毀損から長期金利が急騰(オーバーシュート)するリスクを孕んでいます。
実務のアクション: 営業利益が支払利息の増加分を吸収できるかを確認し、困難な場合は「固定金利への借り換え」や「デット・エクイティ・スワップ(債務の資本化)」を検討すべき局面です。
衆院選公約の「消費減税」で財政悪化懸念、長期金利が過去最高更新: 与野党が競う減税公約を受け、市場が財政信認低下を嫌気。
② 為替耐性:1ドル180円台の「極端な輸入物価高」
検証内容: 為替が1ドル180円まで突き抜けた際、仕入原価が何%上昇し、それが粗利益をどれだけ圧迫するか。
インパクト最大化政党:国民民主党、れいわ新選組
「103万の壁」撤廃や消費税廃止などの強力な減税策は、国内消費を刺激する一方で、通貨供給量の増大と円の先安観を強め、一段の円安を招く副作用があります。
実務のアクション: 原価高騰分を即座に価格転嫁できる仕組み(スライド制)の導入や、海外比率を高める「ナチュラルヘッジ」の構築が急務です。
③ 人件費耐性:時給1,500円への「強制的」な加速
検証内容: 最低賃金が1,500円に設定された際、単に最賃層だけでなく、全体の賃金体系(社内格差の是正)まで含めて人件費が何%膨らむか。
インパクト最大化政党:立憲民主党、日本共産党
労働者保護を鮮明にしており、法定による「強制的な賃上げ」を最も強く推進しています。
実務のアクション: 労働分配率の適正化を待つ余裕はありません。人件費を「コスト」から「投資」へ変えるための徹底した業務自動化、または高単価ビジネスへのモデル転換が必要です。
2026年度税制改正「年収の壁」引き上げの行方: 103万円から160万円への引き上げに伴う、円安と物価高の副作用についての専門家分析。

3. 業種別:財務諸表(P/L)に及ぼす影響と対応策
各党が提示する経済政策は、業種ごとに異なるコスト増を招きます。2026年現在の商環境に基づき、8つの業種別に実務的な影響を分析します。
① 飲食店:食材0%による相対的な内食バリューのアップと顧客流出
食料品に対する消費税0%は、飲食店にとって客単価と来店頻度の両面で下方圧力を生みます。
直撃ポイント: 外食に1,100円払う予算があれば、スーパーでは「1,100円分の高品質な食材」が購入可能になります。外食産業も人件費高騰で値上げを余儀なくされる中、この税率差10%は、中所得層が「外食するより、家でワンランク上の肉を焼く方が満足度が高い」と判断する決定打となります。また、度重なる税率変更に伴うPOS改修コストも現場の重荷となっています。
経営判断: 店内飲食をメインとする店舗は、テイクアウト需要へのシフトを検討するか、「高級食材を自宅で調理する」ことでは得られない、圧倒的な付加価値や体験の提供が必須となります。
② 宿泊業:人手不足下での最低賃金上昇のインパクト
インバウンド需要が平準化する一方で、人手不足は解消されず、そこに最低賃金1,500円への引き上げが重なります。
直撃ポイント: 需給バランスによる自然な賃金上昇に加え、「法的強制」による賃金底上げが発生します。売上の伸び以上に固定費(労務費)がP/Lを圧迫し、将来の設備更新に向けた内部留保を著しく毀損させます。インバウンドが4千万人となりましたが、客単価が上がらず稼働率も上限が来た場合、そこから先は利益が減少するのではないでしょうか?
経営判断: 増加する人件費を完全に価格転嫁できる富裕層・高単価層への特化、またはICT活用による徹底した省人化への投資が不可欠です。
③ 金融・地方銀行:金利上昇に伴う「信用コスト」の増大
ゼロ金利からの脱却は利ざや改善の機会ですが、急激な上昇は別のリスクを招きます。
直撃ポイント: 預金金利の上昇に対し、貸出金利の引き上げが遅れることによる収益圧迫が発生します。また、金利上昇に耐えられない貸出先が破綻した場合、多額の貸倒引当金を計上する必要が生じ、当期利益を圧迫します。
経営判断: 金利上昇の余地ができたこと自体は収益を上げることができるようになったので歓迎すべきことです。しかし貸出先を見極める与信能力の向上と、融資先のキャッシュフロー耐性を精緻に見極める「目利き」の質が、銀行自身の経営基盤を左右します。
④ 不動産業:金利5%水準による「投資需要の減退」
【一次情報】 地方の収益用不動産融資で知られる某第二地銀などでは、すでに貸出金利が5%を超える事例も確認されています。
直撃ポイント: 短期金利の上昇は、運転資金の利払いを直撃します。住宅ローン減税等の支援策があっても、この金利水準では購入検討層が物理的に減少し、不動産流通市場全体が停滞します。
経営判断: 買い手市場への転換を見越し、在庫資産の流動化を優先しつつ、デット(債務)の圧縮による財務健全化を優先すべき局面です。
日本の財政リスク懸念による円安と金利上昇リスク(150~160円の波乱含み)
⑤ 製造業:為替のボラティリティと輸入コストの再上昇リスク
為替は2025年末の160円を伺う円安水準から、年明け以降は157〜158円台での推移が続いていますが、政策期待や外部要因により、上下どちらにも大きく振れる不安定な局面にあります。
直撃ポイント: 数年前の110円〜120円台と比較すれば原材料コストの負担は依然として重く、価格決定権の弱い下請け企業は、原価高騰を価格転嫁できず利益を削っての操業を強いられています。経営者にとっての最大のリスクは、選挙結果を受けて為替が150円台から160円台へ、あるいはその逆に急激に変動することによる事業計画へのボラティリティの高さです。
経営判断: 為替水準の「予測」に頼る経営は、過去のデリバティブ商品のように投機的な影響をもたらすことがあります。国内調達比率を高めて為替感応度を下げるか、逆に円安を前提とした海外販路の拡充、または原価変動を即座に価格転嫁できる高付加価値製品への特化など、為替耐性の強化が急務です。
2026年以降の業種別倒産発生予測:電子部品・デバイス製造業がリスク1位
FX Weekly:ドル円予想レンジ 156.00 ~ 159.00
⑥ 小売業:インボイス見直しと「人件費コスト」の二重苦
制度変更に伴う事務負担増に加え、最低賃金上昇が店舗経営を圧迫します。
直撃ポイント: 流通・店舗スタッフの最低賃金1,500円化は、薄利多売モデルの小売業にとって営業利益を直接的に消失させる要因です。POSシステムの再改修といった一時的コストも、小規模店舗には重い負担となります。
経営判断: 24時間営業の見直しや完全セルフ化の導入など、人件費率を物理的に下げるための構造改革が急務です。インボイス廃止について主張している政党もありますが、軽減税率のように複数税率を導入する以上、廃止自体はなかなか難しいと思いますので、税率がどうなるかも問題になるでしょう。
⑦ 建設業:建築費高騰による「リフォーム需要」への構造転換
資材費と労務費の高騰により、一次取得層にとって新築住宅は極めて困難な選択肢となっています。
直撃ポイント: 新築案件の見合わせが相次ぐ一方、需要は相対的に安価で粗利の高い「リフォーム・修繕」へシフトしています。しかし、リフォーム分野でも最低賃金上昇による労務費増が採算を圧迫する構図は変わりません。新築マンションなどの建築費が高止まりし、開発計画の見直しが増えています。
経営判断: 新築依存のビジネスモデルから、ストック型(維持・修繕)への完全転換、および工期短縮による生産性向上が鍵となります。
⑧ IT・専門職:AI活用による「業務置換」と「コスト構造の変化」
IT人材の需要は短期的には旺盛ですが、その内容は急速に変容しています。
直撃ポイント: ホワイトカラー業務のAI置換が進み、汎用的なスキルを持つ層のリストラリスクが顕在化しつつあります。また、AI利用の爆発的拡大に伴うデータセンターの電力消費増が、企業の電気代負担として跳ね返る懸念も出ています。だた公明党と立憲民主党が合流した中道改革連合も原発再稼働は認めているので、長期のトレンドとしては下がるかもしれません。原発に反対しているのに合流する議員もいるようなのでどうなるかは予断を許しませんが、このガバナンスの不透明さは、エネルギー価格の予測可能性を著しく低下させます。経営者は「公約通りの電気代低下」を前提にした設備投資計画には、極めて慎重であるべきです。
via松下玲子氏公式Xより引用立憲民主党の松下玲子衆院議員が20日、自身のX(旧ツイッター)を更新。原発再稼働をめぐる投稿が、ネット上で波紋を広げている。
松下氏は、「このたび私、松下玲子は、『中道改革連合』へ参加する決意をいたしました」と、立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」への参加を報告。
そのうえで、「立憲民主党を離党しますが、私の政治の軸は何も変わりません。このことはお約束をいたします」「弱い立場の人に寄り添う姿勢は変わりません。最低賃金の引き上げ、社会保障の充実、対話による平和外交、ジェンダー平等、選択的夫婦別姓制度実現、再審法改正、原発ゼロをめざすなどで後退することはありません」などと、自身の政治スタンスに変わりがないことをつづった。
この投稿に対し、Xユーザーから「原発再稼働反対じゃなかったんですか? 期待していたのでとても残念です。中道への加入は『原発ゼロをめざすなどで後退する』に明白に当てはまる行為です」といった厳しい指摘が寄せられると、松下氏は、「原発再稼働反対です。入った上で、中で頑張りたいと思います」と返答した。
このやり取りに対し、X上では「中道はこんなんありなんかい」「言動不一致が表面化されて良かったです」「松下構文を使えば何にでも整合性が取れますね」「詭弁!入ったということは原発再稼働に賛同したということ」「原発再稼働反対なら、離党するのが筋では?」など、疑問の声が相次いだ。
日本維新の会元政調会長で元参院議員の音喜多駿氏もこの件に反応。松下氏の投稿を引用したうえで、「選挙直前に政党の公約違反を公言する議員がいるのはさすがにドン引き」とつづり、強い違和感を示した。
原発政策をめぐっては、立憲民主党は綱領に「原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します」と明記している一方、中道改革連合は基本政策で、「安全性が確実に確認され、実効性のある避難計画があり、地元の合意が得られた」場合、「原発の再稼働」を認めるとしている。
中道改革連合が基本政策発表:食料品消費税ゼロ・安保法合憲・原発再稼働容認
安保関連法合憲、原発再稼働容認 「中道改革連合」基本政策を発表
経営判断: AIを「活用・管理する側」への転換、またはAIでは代替不可能な実務に特化するなど、専門職としての立ち位置の再定義が必要です。
4. 総括:選挙結果を待たずに着手すべき「3つの即効策」
どの党が勝っても共通しているのは、「国が企業を助けたとしても、結局そのツケ(負担)は巡り巡って民間に戻ってくる」ということです。
変動金利の「ストレステスト」: 「地方の収益用不動産融資で有名な第二地銀」で見られる金利5%の波を他人事と思わず、自社の借入金利が2%上がった状態でキャッシュが残るか確認してください。
損益分岐点の再算定: 年末から現在までの不安定な為替・金利動向を踏まえ、原価がさらに15%上がった際、客数や受注の何%を維持すれば利益が出るか。この数値を把握していない経営者は、政策の副作用をまともに受けます。
手元流動性の最大化: 財政不安の中では、補助金や助成金の要件は厳格化されます。「公助」をアテにせず、自力で資金を確保する姿勢が、最悪のシナリオにおける唯一の防波堤となります。
【本記事のスタンスと読者の皆様へ】
日本財務戦略センターでは、特定の政党や政治的思想を支持するものではなく、あくまで「2026年現在のマクロ経済環境」と「各党が掲げる公約」を財務の視点から分析し、中小企業の経営に及ぼす影響を客観的にシミュレーションすることを目的としています。
政治や経済の予測には多様な見解があり、私たちの分析が及ばない視点や、今後の情勢変化による考え違いが生じる可能性もございます。もし、本記事の内容について「こういった解釈もあるのではないか」「このデータはこう見るべきだ」といった忌憚のないご意見がございましたら、ぜひコメント欄までお寄せください。
皆様からいただいた建設的なご意見は真摯に受け止め、妥当性が高いと判断した場合には、適宜記事内容をアップデートし、より精度の高い情報発信に努めてまいります。共にこの激動の時代を生き抜く経営の知恵を蓄積していければ幸いです。
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執筆:五十嵐 悠一(日本財務戦略センター 代表取締役) 京都大学経済学部卒業。大手損害保険会社にて企業の「リスク」と「法務」の最前線を経験後、東証上場M&A仲介会社を経て、日本財務戦略センターを設立。中小企業庁「M&A支援機関」登録。現場主義の財務コンサルタントとして、延べ百社以上の経営改善・事業承継に携わる。
































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