2026年度税制改正と衆院選の行方:選挙結果が税制の行方を左右する不確実性
【関連資料:オーナー経営者のための防衛策】 本記事で触れた税務リスクに加え、M&Aの出口戦略や資金繰り対策の最新情報を[2026年衆院選直前!「倒産・税制・M&Aの罠」8つの警告まとめ]に集約しました。解散総選挙に伴う不確実性に備えるための、実務的な判断材料としてご活用ください。
「12月に決まったはずの減税が、選挙で消える?」
「4月になったら登記だけで数十万円損するかも…」
そんな悪夢を、2月8日の選挙が本気で引き起こしかねない状況です。
12月に決まったはずの減税が、選挙のドタバタで「4月だけ増税」になるリスクが現実味を帯び始めてきました。
→ 社長さん、今すぐ確認すべき3つの論点と、今日から打てる防衛策を全部まとめました。
2025年12月26日に閣議決定された「2026年度税制改正大綱」。
178万円の壁や食事補助の倍増など、一見すれば中小企業に追い風の内容です。
しかし今週末にも解散、来週にも公示がある2月8日投開票の衆院選が、この確定事項をすべて不透明に変えてしまいました。
選挙の混乱で法改正が間に合わず、3月末で切れる軽減措置がそのまま失効する「4月の一時増税リスク」。
さらには、各党がバラマキを競い合ったツケとしての「防衛増税の前倒し」。
「大綱通りに事が運ぶ」と信じ切るのが、今の経営者にとって最大の財務リスクかもしれません。
今回は財務コンサルタントの視点から、選挙という不確定要素によって「激変」する税制の裏側を暴き、現場の社長が今すぐ打つべき防衛策を提言します。
税制改正は「大綱が出たら終わり」ではなく、選挙結果や国会運営次第で成立時期や中身が変わることもあります。実際、各党は消費税や財源論について立場が異なっており、衆院選の結果次第では税制の前提条件そのものが揺らぐ可能性があります。詳しくは以下の記事で整理しています。
選挙結果で「ひっくり返る」可能性が高い3つの論点
2月8日の衆院選の結果で大きく影響しそうなのは以下の3点です。
【4月の空白】つなぎ法案の不在による「一時増税」リスク
選挙の混乱で法改正が3月末までに間に合わなければ、登録免許税の軽減措置などが一時失効します。「4月1日に登記しただけで数十万損をする(税負担が増える)」という実務上の増税が現実味を帯びています。【178万円の壁】「所得制限」という名の後出しジャンケン
「178万円」は合意されましたが、財源は白紙。与党の議席次第では「高所得者カット」や「対象縮小」など、後出しの条件がつくリスクも出てきています。【防衛増税】「バラマキ公約」の裏で狙われる法人税
選挙で減税を叫ぶ裏で、膨らんだ防衛費と公約の財源をどこで埋めるのか。2027年以降とされる防衛増税の「前倒し」や「法人税上乗せ」が、選挙後の「火事場泥棒」的に進められる懸念があります。
税制改正は「いつ」「どの制度が適用されるか」で実務上の負担が大きく変わります。実際、2025年度改正で導入されたミニマムタックスのように、制度そのものは公表されていても、タイミングや前提条件の理解不足によって想定外の税負担が発生するケースも出ています。こうした実務上の落とし穴については、以下の記事で詳しく解説しています。
選挙結果で「ひっくり返る」可能性が高い3つの時限爆弾
順位 | 爆弾名 | 主なリスク内容 | 影響額・実務被害の目安 | 今すぐ打つべき防衛策(社長アクション) | 参考ソース例 |
|---|---|---|---|---|---|
① | 4月の空白 (つなぎ法案不在による一時増税) | 選挙混乱で3月末までに改正法成立せず、軽減措置が切れる → 4月だけ実質増税状態に | 不動産登記:1億円決済で50万円〜数百万円追加負担 設備投資:即時償却不可で経理パニック | ・3月末までに不動産・設備投資を前倒し ・4月決済の場合、税率変動特約を入れる ・顧問税理士とシミュレーション | 財務省大綱PDF、国交省概要PDF |
② | 178万円の壁 (所得制限の後出しジャンケン) | 財源6,500億円白紙 → 与党過半数割れで「所得制限強化」「対象縮小」「社保抱き合わせ」条件追加の可能性 | パート・中低所得層の手取り増が相殺or減るケース多数 | ・対象層の所得シミュレーションを今すぐ ・社保負担増対策(食事補助非現金化など)を先行検討 | 自民党大綱ページ、財務省試算 |
③ | 防衛増税 (バラマキ公約の裏で法人税狙い) | 防衛費9兆円超+選挙公約ツケ → 2027年開始予定の防衛特別法人税(4〜4.5%付加)が前倒しor拡大 | 中小企業控除枠縮小で法人税負担増(数百万〜数千万単位) | ・法人税シミュレーションを更新 ・賃上げ税制優遇を2026年3月末までに最大活用 ・キャッシュフロー見直し | JBpress報道、大綱防衛関連記述 |
1. 【網羅】2026年度税制改正大綱の主要論点
まず2025年末に閣議決定された税制改正大綱について確認しましょう。
財務省公式資料に基づき、決定された主な内容をまとめます。
ご存じの方は読み飛ばしてもらって構いません。
- 所得税の「年収の壁」引き上げ:課税最低限を178万円へ特例的に拡大(基礎控除最大104万円、給与所得控除最低保障額74万円)。中低所得者層の就労意欲向上を狙い、合計所得655万円以下(一部489万円以下でより手厚く)対象。物価上昇連動の恒久メカニズムも創設されます。
日本経済新聞:2026年度与党税制改正大綱の全文 - 賃上げ促進税制の「二極化」:大企業向けは2026年3月31日で廃止。中堅企業向けは要件強化(給与増加率4%以上など)の上で2027年3月31日終了。中小企業向けは維持されますが、教育訓練費の上乗せ措置は全区分で廃止されます。
- 交際費・少額資産の拡充:少額減価償却資産の取得価額基準を30万円から40万円へ引き上げ。中小企業を中心に設備投資の即時償却がしやすくなります。
- 食事補助の非課税枠倍増:月額3,500円から7,500円へ42年ぶりの拡充。企業福利厚生として、従業員への食事提供が非課税になりやすくなります。
- 自動車関連税の廃止:自動車税等の環境性能割を2026年3月31日で廃止。軽油引取税の「当分の間税率」も2026年4月1日から廃止。物流業界のコスト軽減とEVシフト促進が期待されます。
産経新聞:8年度税制大綱決定 減税並べ家計支援
これらは物価高対策と「強い経済」実現を軸にした内容です。ただし、施行は2026年4月以降の税制改正法成立が前提で、選挙の影響で遅延リスクがあります。
2. 【実務直撃】選挙結果が招く「3つの時限爆弾」
衆院選(2月8日投開票)の結果次第で、12月の閣議決定が「絵に描いた餅」になるリスクが極めて高まっています。
特に経営者が注視すべきは、以下の3つ論点でしょう。
① 【4月の空白】つなぎ法案が落ちる「実務の地獄」
選挙による国会空転で最大の懸念は、3月末に期限を迎える数々の「租税特別措置」です。通常、改正法が間に合わない場合は「つなぎ法案」で期限を延ばしますが、今の激しい政局でこの法案が通らなければ、4月1日から「一時的な増税状態」が発生します。
登録免許税の罠:土地売買の軽減税率(1.5%)や住宅用家屋の所有権保存登記(0.4%→0.15%等)の軽減措置が失効し、本来の税率に戻るリスクがあります。1億円の決済で50万円、数千万円の建物なら数十万円の「追加納税」が、政治の空白によって理不尽に発生します。(参考:
)国土交通省:令和8年度税制改正概要 設備投資の停滞:中小企業の30万円未満の減価償却資産を一括損金にできる特例(即時償却)も、法改正が遅れれば「4月に買った備品が一括で落とせない」という経理上のパニックを招きます。
税制改正は「いつ」「どの制度が適用されるか」で実務上の負担が大きく変わります。実際、2025年度改正で導入されたミニマムタックスのように、制度そのものは公表されていても、タイミングや前提条件の理解不足によって想定外の税負担が発生するケースも出ています。こうした実務上の落とし穴については、以下の記事で詳しく解説しています。
② 【178万円の壁】「所得制限」という名の後出しジャンケン
高市首相と国民民主党の三党合意で決まった「178万円」ですが、約6,500億円(財務省試算)にのぼる減税財源の確保策は白紙のままです。選挙の結果、自公が過半数を割り野党との連立交渉に入れば、さらなる条件変更は避けられません。
富裕層カットの強化:現在は合計所得金額655万円以下を対象とする案ですが、財源不足を理由に所得制限がさらに引き下げられ、恩恵を受けられるはずの層が土壇場で削られるリスクが濃厚です。(参考:
)自民党:令和8年度与党税制改正大綱 社会保険料との抱き合わせ:所得税を減らす見返りに、社会保険料の免除制度を縮小するなど、「手取り増を社保負担増で相殺する」抱き合わせ議論が選挙後に加速するでしょう。
各党のスタンス比較:具体的な公約の違いについては、
で詳しく比較しています。こちらの記事
③ 【防衛増税】「バラマキ」の後に来る火事場泥棒的な徴税
高市政権は防衛費を史上初めて9兆円の大台に乗せ、GDP比2%目標を前倒しで達成する方針です(JBpress等1月20日報道)。選挙期間中、各党はこぞって「減税」を叫びますが、この巨額予算のツケは法人税に回ってくるでしょうし、左派政権であれば企業負担になる傾向は更に高まるのではないでしょうか。
法人税への上乗せ:2027年以降とされる「防衛特別法人税(付加税4〜4.5%)」ですが、選挙後の財源不足を大義名分に、開始時期の前倒しや、現在の中小企業控除枠(所得500万円以下)の縮小がドサクサに紛れて進められる懸念があります。
まさに、入り口(所得税)でエサを撒き、出口(法人税)で回収する。選挙後の混乱期こそ、こうした「ステルス増税」が最も通りやすくなる瞬間です。
3. 【実務家提言】不透明な今こそ打つべき「3つの財務防衛策」
選挙という政治の要素に会社のキャッシュをリスクにさらすのは避けましょう。
財務コンサルタントの視点から、不確定要素を回避し、メリットを最大化するための具体策を提言します。
① 「4月の空白」を織り込んだ決済スケジュールの再構築
つなぎ法案が通るかどうかは、2月8日の投開票後の国会構成が決まるまで誰にも分かりません。
このリスクを回避する唯一の方法は、「不透明な4月」を避けることです。
不動産・融資の実行: 可能であれば「3月末まで」に前倒しして、現行の軽減税率(1.5%)を確定させてください。4月にズレ込みそうな場合は、特約で税率変動時の負担区分を明確にするか、5月以降の後ろ倒しも視野に入れたシミュレーションが必要です。
設備投資のタイミング: 40万円未満の即時償却を狙うなら、法案成立が確実になるまで発注を待つか、逆に「30万円未満」で収まるものは3月中に検収を終わらせるのが鉄則です。
② 「社会保険料」をターゲットにした賃下げ・手取り増戦略
所得税が178万円まで下がっても、社会保険料(厚生年金・健康保険)という「第2の税金」は容赦なく手取りを削ります。
食事補助の7,500円拡充を使い倒す: 42年ぶりに倍増するこの枠は、単なる福利厚生ではなく、「社保負担を増やさずに実質手取りを増やす最強の節税ツール」です。
実務の落とし穴: 「現金支給」は1円でもアウト。社内規程を整備し、チケットレストランや食事カードなどの「非現金支給」への切り替えを2月中に完了させてください。これを機にベースアップの一部を「非課税枠」へ振り替えるだけで、労使合計で年間数万円のキャッシュが残ります。
③ 賃上げ税制の「二極化」を逆手に取った採用戦略
大企業が税制優遇から外れる2026年度は、中小企業にとって「人材獲得のボーナスタイム」です。
「5%賃上げ」の看板を掲げる: 中小企業向けの優遇(税額控除)は維持されます。大企業が税負担増で賃上げを躊躇する隙に、税制優遇を原資とした「大企業並みの昇給」を求人票でアピールしてください。
教育訓練費の廃止への備え: 上乗せ措置が廃止されるため、研修や資格取得支援を検討しているなら、旧制度が生きている2026年3月末までに実施・決済を完了させるのが賢明な判断です。
まとめ:政治の「空白」にキャッシュを奪われないために
2026年度税制改正は、中低所得者への手厚い支援や企業の投資促進など、本来は歓迎すべき内容です。しかし、2月8日の投開票という「政局のギャンブル」が、これらすべての実施スケジュールを狂わせるリスクを孕んでいます。
「大綱に書いてあるから安心」という油断が、4月の登録免許税増税や、設備投資の即時償却見送りを招き、数百万単位のキャッシュアウトを発生させかねません。
「政治が変わるのを待つのではなく、変わる前に手を打つ」 これが、2026年を生き抜く経営者に求められる唯一の正解です。不確定要素を排除し、自社にとって最適なタイミングで決済と規程改定を完了させましょう。
税制改正と並行して、中小企業・事業承継を取り巻く制度そのものも変化しています。税金だけを見て判断すると見落としがちな政策全体の流れについては、以下の記事で背景を整理しています。
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4月の税制空白を避ける決済スケジュールの策定
社会保険料を抑えた「手残り最大化」の給与体系見直し
改正大綱をフル活用した設備投資・節税戦略の立案
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この動画では、高市首相が「年収の壁」引き上げを政治決断した背景と、12月に閣議決定された大綱の核心部分が解説されており、今回の議論の前提を理解するのに役立ちます。
参考一次情報



































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