
酒類販売業免許1万件で見る新規・相続・事業譲渡
<a href="https://jfsc.jp/research/sakaya-shoukei-menkyo-japan/">町の酒屋は、誰が継いでいるのか ── 酒類販売業免許1万件で見る新規・相続・事業譲渡|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「町の酒屋は、誰が継いでいるのか ── 酒類販売業免許1万件で見る新規・相続・事業譲渡」(2026年10月13日) https://jfsc.jp/research/sakaya-shoukei-menkyo-japan/国税庁の各国税局が毎月公表している「酒類販売業免許の新規取得者名等一覧」を、全国12国税局・47都道府県の12か月分(2025年9月〜2026年8月に免許等を受けた分)すべて集め、10,932件を1件ずつ表にしました。
この一覧には「免許を取った人」しか載らず、廃業した店の数は出てきません。そのため、町の酒屋の何割が継がれているかは、この調査からは言えません(第8章)。
全国12の国税局(札幌・仙台・関東信越・東京・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・熊本・沖縄)が都道府県別に公表している一覧のPDF 564本を集め、1免許=1行の表にしました。期間は2025年9月分から2026年8月分までの12か月です。
| 処理区分 | 件数 | 月平均 | 個人 | 法人 | 申請から免許までの日数(中央値) |
|---|---|---|---|---|---|
| 新規 | 7,056 | 588.0 | 1,845 | 5,211 | 62日 |
| 移転 | 1,613 | 134.4 | 279 | 1,334 | 55日 |
| 法人成り等 | 1,026 | 85.5 | 2 | 1,024 | 67日 |
| 条件緩和 | 629 | 52.4 | 94 | 535 | 42日 |
| 相続 | 408 | 34.0 | 408 | 0 | 23日 |
| 事業譲渡 | 193 | 16.1 | 190 | 3 | 31日 |
出典:各国税局「酒類販売業免許の新規取得者名等一覧」(2025年9月〜2026年8月分)を日本財務戦略センターが集計。ほかに条件解除5件・分割2件。
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新規7,056件を、販売場名と名称から業態に分けると次のとおりです。
| 業態 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| コンビニ | 2,689 | 38.1% |
| 通信販売 | 675 | 9.6% |
| ドラッグストア | 481 | 6.8% |
| スーパー | 455 | 6.4% |
| 卸売 | 196 | 2.8% |
| 宿泊・飲食 | 159 | 2.3% |
| 買取・リユース | 155 | 2.2% |
| 酒屋の屋号 | 122 | 1.7% |
| ホームセンター・ディスカウント | 60 | 0.9% |
| その他 | 2,064 | 29.3% |
出典:同上。業態は販売場名・名称のキーワードで分けたもの(調べ方を参照)。
新しく酒の販売を始めるのは、コンビニ・ドラッグストア・スーパーといったチェーンの店舗が中心です。買取・リユースの店が155件あるのは、買い取った酒を売るために免許が要るためと考えられます。
屋号に「酒店」などが付く新規122件の内訳は、法人84件・個人38件でした。法人の中には、酒類専門のチェーンの新店がまとまって入っています。個人が新しく酒屋を始めた例は、12か月で全国38件でした。
相続408件は、すべて個人の免許です。業態に分けると次のとおりです。
| 業態 | 相続 | 事業譲渡 |
|---|---|---|
| 酒屋の屋号 | 170(41.7%) | 39(20.2%) |
| コンビニ | 87(21.3%) | 88(45.6%) |
| その他 | 144(35.3%) | 63(32.6%) |
| そのほかの業態 | 7 | 3 |
| 計 | 408 | 193 |
出典:同上。
相続で免許を引き継いだ店の4割強は、屋号に「酒店」などが付く店でした。小売が394件、卸・小売が14件で、ほとんどが町の小売店です。
コンビニの店舗も相続で87件、事業譲渡で88件ありました。コンビニの加盟店を個人で営んでいる店主の代替わりや、店の譲り渡しがここに出ていると考えられます。元は酒屋で、のちにコンビニの加盟店になった店がどのくらい含まれるかは、この一覧からは確かめられません。
屋号に「酒店」などが付く店だけを取り出して、入り口と引き継ぎを並べました。
| 経路 | 件数 | うち個人 |
|---|---|---|
| 新規 | 122 | 38 |
| 相続 | 170 | 170 |
| 事業譲渡 | 39 | 39 |
出典:同上。
新規122件には酒類専門のチェーンの新店が含まれるため、個人の店どうしで比べると、新しく免許を取った個人38件に対し、相続で継いだ個人は170件、事業譲渡で継いだ個人は39件でした。町の酒屋は、新しく生まれる数より、親から子へ、あるいは店ごと引き継がれて続く数の方が多い、というのがこの12か月の姿です。
免許の引き継ぎ方は、誰が・どの形で引き継ぐかで分かれます。
一覧の日数にも、この違いが出ています。申請から免許までの日数の中央値は、相続23日、事業譲渡31日、新規62日、法人成り等67日でした。申告で済む相続・個人の全部譲渡は、申請して審査を受ける新規や組織再編より早く終わっています。なお、これは税務署での免許の手続にかかった日数です。相手探し、契約の交渉、店舗の賃貸借や取引先との調整など、引き継ぎ全体にかかる期間は含みません。
個人の事業譲渡のみなし免許と、手続き一覧の注の「営業の譲受」との関係について、国税庁の解説は見つかりませんでした。実際に酒屋を引き継ぐときの手続は、所轄の税務署(酒類指導官)に確かめる必要があります。
国税庁の「酒類小売業者の概況」によると、一般酒販店の数は次のように減っています。
| 年度分 | 事業者数(構成比) | 販売場数(構成比) | 小売数量の構成比 |
|---|---|---|---|
| 平成24年度 | 52,727(50.0%) | 54,901(33.1%) | 15.6% |
| 平成30年度 | 37,086(42.6%) | 38,863(24.5%) | 12.4% |
| 令和6年度 | 26,597(35.9%) | 28,495(18.6%) | 10.6% |
出典:国税庁「酒類小売業者の概況」平成24年度分・平成30年度分・令和6年度分(表1-1-1・1-2-1・1-3-1)
令和6年度分では、事業者数・販売場数ともコンビニが一般酒販店を上回っています。一般酒販店26,597者のうち個人は16,808者で、町の酒屋の多くは今も個人の店です。
背景の一つに、酒類小売業免許の参入規制の緩和があります。既存の店からの距離で免許を制限していた距離基準は2001年1月1日に、地域の人口で制限していた人口基準は2003年9月1日に廃止されました(国税庁「酒類小売業免許に係る規制緩和の状況等」、懇談会資料)。激変を和らげるため、2003年8月に全国3,383地域のうち922地域が「緊急調整地域」に指定されましたが、この措置も2006年8月で終わっています。
ただし、規制緩和がこの減少にどの程度効いたのかは、これらの数字だけでは分かりません。市場そのものも縮んでいます。成人1人当たりの酒類の消費量は、平成4年度の101.8リットルから令和6年度の74.8リットルに下がりました(国税庁「酒のしおり」令和8年7月)。
後継者の問題は以前からありました。国税庁の平成18年度の経営実態調査では、一般酒販店の経営者の平均年齢は65.9歳、後継者が「無」と答えた店は54.7%でした(国税庁 平成18年度 酒類小売業者の経営実態調査)。この項目は、現在の「概況」の調査にはありません。
酒屋を引き継ぐ形は、大きく3つに分かれます。
どの形が合うかは、店が個人か会社か、店舗が一つか複数か、建物や土地を誰が持っているかで変わります。免許の手続だけでなく、税金や契約の扱いも含めて、税務署や税理士などの専門家と確かめながら進めることになります。
Q. 酒屋の販売免許は、相続で引き継げますか?
A. 引き継げます。相続人が引き続き販売業をするときは、税務署長に申告すれば、相続の時に免許を受けたものとみなされます(酒税法第19条)。本稿の12か月分では、相続による引き継ぎが全国で408件あり、申請から免許までの日数の中央値は23日でした(税務署での手続の日数で、引き継ぎ全体の期間ではありません)。
Q. 酒屋を店ごと他人に譲るとき、免許はどうなりますか?
A. 個人の販売業者が事業の全部を譲る場合は、2020年4月から、譲り受けた人が申告すれば免許を受けたものとみなされます。一部の店舗だけを譲る場合は対象外です。法人の合併・分割や法人成りなどの組織再編は、事前に免許の申請をすることとされています。実際の手続は所轄の税務署に確認してください。
Q. 新しく酒の販売免許を取っているのは、どんな店ですか?
A. 2025年9月〜2026年8月の新規7,056件のうち、コンビニの店舗が38.1%、通信販売が9.6%、ドラッグストアが6.8%、スーパーが6.4%でした。屋号に「酒店」などが付く店は122件(1.7%)で、そのうち個人は38件でした。
Q. 町の酒屋はどのくらい減っていますか?
A. 国税庁の「酒類小売業者の概況」では、一般酒販店は平成24年度分の52,727者から令和6年度分の26,597者へ減りました。販売場数は54,901場から28,495場です。令和6年度分では、事業者数・販売場数ともコンビニが一般酒販店を上回っています。
Q. 町の酒屋の何割が、後継ぎに引き継がれていますか?
A. 本稿の調査からは分かりません。公表されている一覧は免許を取った人だけで、廃業した店の数が出てこないためです。分かるのは、屋号に「酒店」などが付く個人の店で、新しく免許を取った人(38件)より、相続で継いだ人(170件)の方が多いということです。
12か月・10,932件の一覧で見ると、新しく酒を売り始めるのはコンビニやドラッグストアなどのチェーンが中心で、町の酒屋は、新しく生まれるよりも、相続や店ごとの譲渡で引き継がれて続いていました。引き継ぎは、相続や個人の全部譲渡なら申告で済み、日数も短く済んでいます。一方、廃業の数が公表されていないため、どれだけの店が継がれずに消えているかは、この一覧からは見えません。
<a href="https://jfsc.jp/research/sakaya-shoukei-menkyo-japan/">町の酒屋は、誰が継いでいるのか ── 酒類販売業免許1万件で見る新規・相続・事業譲渡|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「町の酒屋は、誰が継いでいるのか ── 酒類販売業免許1万件で見る新規・相続・事業譲渡」(2026年10月13日) https://jfsc.jp/research/sakaya-shoukei-menkyo-japan/本稿は、国税局が公表している酒類販売業免許の新規取得者名等一覧を機械的に集計したものであり、個別の店や会社の評価、特定の取引の勧誘を目的とするものではありません。
免許の手続は所轄の税務署に、税務や契約の個別の判断は税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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