フランチャイズ加盟店の「辞め方」

株式会社日本財務戦略センター|独自調査|2026年10月14日公開

フランチャイズ加盟店の「辞め方」

93チェーンの開示書面で見る、出店・撤退・ロイヤルティ

フランチャイズの店舗数は、この数年ほとんど増えていません。日本フランチャイズチェーン協会の統計では、2024年度の店舗数は25万4,478店で、ピークだった2018年度(26万4,556店)を下回ったままです。

一方で、加盟店の出店と撤退は、毎年一定の規模で起きています。本稿では、協会のサイトで公開されている本部の法定開示書面93チェーン分(書面105本)を読み、出店と撤退を比べられる63系列について数えました。最新年度の出店は期首の加盟店数の4.1%、撤退は3.4%でした。撤退が出店を上回っていた系列は、63のうち32あります。

ただし、撤退がこのところ増えているわけではありません。また、加盟店がフランチャイズから抜ける道は、閉店だけではありません。開示書面には、店舗の譲渡や経営者の交代で引き継がれた加盟店が、数として出てきます。

【引用・転載について】
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<a href="https://jfsc.jp/research/franchise-kameiten-exit-japan/">フランチャイズ加盟店の「辞め方」 ── 93チェーンの開示書面で見る、出店・撤退・ロイヤルティ|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「フランチャイズ加盟店の「辞め方」 ── 93チェーンの開示書面で見る、出店・撤退・ロイヤルティ」(2026年10月14日) https://jfsc.jp/research/franchise-kameiten-exit-japan/
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この記事の要点

1. 店舗数は伸びていない。売上は伸びている

日本フランチャイズチェーン協会の「フランチャイズチェーン統計調査」で、2002年度から2024年度までを並べました。

フランチャイズの店舗数とチェーン数(2002〜2024年度)

年度チェーン数店舗数売上高
20051,14623万4,489店19.4兆円
20151,32926万992店24.6兆円
20171,339(ピーク)26万3,490店25.6兆円
20181,32826万4,556店(ピーク)26.2兆円
20201,30825万4,017店25.4兆円
20241,29125万4,478店29.3兆円

出典:日本フランチャイズチェーン協会「フランチャイズチェーン統計調査」各年度。集計:日本財務戦略センター

店舗数は2010年代半ばまで増え、2018年度をピークに減りました。2020年度に大きく落ち、その後は25万店前後で推移しています。一方で売上高は、2020年度を除いて増え続け、2024年度は29.3兆円です。店の数は増えていませんが、1店あたりの売上は大きくなっています。

総数が横ばいでも、中身は入れ替わっています。

業種2005年度2024年度
コンビニエンスストア33チェーン・4万2,643店16チェーン・5万7,170店
中古品などを含む小売(医薬品・書籍・スポーツ用品・中古品等)111チェーン・1万3,916店116チェーン・2万1,860店
学習塾・カルチャースクール52チェーン・3万387店97チェーン・3万4,441店

出典:同上

コンビニはチェーン数が半分になり、大手に集まりました。中古品などを含む小売は店舗数が1.6倍に、学習塾・カルチャースクールはチェーン数がほぼ倍になっています。

ただし、業種どうしの入れ替わりが年々速くなっているわけではありません。約30の業種について、店舗が増えた業種の増加分と減った業種の減少分を毎年並べると、両方が同時に大きかったのは2006年度で、直近の2023〜2024年度は落ち着いています。20年かけて積み上がった入れ替わりは大きい、というのが正確な言い方です。

2. 加盟店は、毎年どれだけ入れ替わっているか

開示書面とは

小売業や飲食業のフランチャイズ本部は、加盟を考えている人と契約する前に、加盟金やロイヤルティ、契約の解除などを書いた書面を渡して説明しなければなりません(中小小売商業振興法第11条)。この書面には、直近3事業年度の、加盟店の新規出店の数、契約の解除の数、契約の更新の数も載ります。

日本フランチャイズチェーン協会は、会員の本部の開示書面を自分のサイトで公開しています。本稿では、2026年10月に公開されていた書面105本(93チェーン分)を集めて読みました。サービス業の本部には開示の義務がないため、買取店などの多くは含まれていません。

数え方

本部によって、撤退の数え方が違います。「契約解除」だけを数える本部、「合意による中途解約」と分ける本部、契約期間の満了で更新しなかった数を別に書く本部があり、合計の仕方もまちまちです。

そこで本稿では、撤退の数を「前年度末の加盟店数+その年度の新規出店−その年度末の加盟店数」で逆算しました。同じ表を複数のブランドで共有している書面は1系列にまとめ、75系列になりました。このうち、2022年度以降の最新年度について出店と撤退を比べられる63系列を集計しています。

結果

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項目数
集計した系列63
期首の加盟店数7万6,818店
新規出店3,137店(4.1%)
撤退(逆算)2,599店(3.4%)
撤退が出店を上回る系列32
出店が撤退を上回る系列30
同数1

出典:日本フランチャイズチェーン協会サイト掲載の会員本部の法定開示書面(2026年10月取得)。集計:日本財務戦略センター

出店率4.1%と撤退率3.4%を足すと7.5%です。ただし、これは店舗が入れ替わった割合を直接測った数字ではありません。出店と撤退をそれぞれ数えたもので、例えば同じ場所で加盟者だけが替わった店が、出店と撤退の両方に数えられることもあります。

全体では出店が撤退を上回り、加盟店はわずかに増えています。それでも、系列の数では半分強で撤退の方が多くなっています。

撤退が増えているかどうかも見ました。2年続けて比べられる49系列で、期首の加盟店数に対する撤退の割合を前年度と比べると、上がったのが19系列、下がったのが29系列、同じが1系列でした。少なくともこの集計の範囲では、撤退が加速しているとは言えません。

3. 業種で、出店と撤退の釣り合いは大きく違う

業種別の出店率と撤退率

業種系列出店率撤退率
その他ファーストフード311.6%14.2%
居酒屋・パブ45.0%11.3%
ラーメン・餃子46.4%6.9%
学習塾・カルチャースクール106.2%3.7%
その他のサービス61.8%3.4%
コンビニ53.8%3.3%
ハンバーガー26.1%3.3%
自動車・自転車関係小売65.5%2.5%
クリーンサービス22.5%2.0%
コーヒーショップ73.5%1.9%
住宅・リフォーム・不動産34.7%1.3%

出典:同上。2系列以上ある業種のみ。率は期首の加盟店数に対する割合

居酒屋・パブは、出店の倍以上の加盟店が抜けています。その他ファーストフード、ラーメン・餃子も撤退が出店を上回りました。反対に、学習塾、ハンバーガー、コーヒーショップ、住宅・リフォームは出店の方が多くなっています。

撤退率は、その業種の加盟店が儲かっているかどうかの成績表ではありません。開示書面には加盟店の利益は載っておらず、撤退した加盟店が赤字だったかも分かりません。それでも、加盟を続けるか考えるときに、同じ業種でどれだけの加盟店が抜けているかは、無視できない数字です。

4. 加盟店が払っているお金

加盟するとき

開示書面103本から読めた加盟金の中央値は200万円で、20万円から1,500万円まで幅があります。加盟金・保証金・研修費を足した中央値は283万円です。ここに店舗の内装や設備の費用は入っていません。なお「加盟金」の中身は本部によって違い、セブン-イレブンの成約預託金、ローソンの研修費と開店準備手数料などを含みます。

毎月

ロイヤルティの方式を書面の型ごと(118行)に数えると、売上に対する歩合が67で最も多く、ほかに定額と歩合の併用が15、粗利を分ける方式(コンビニに多い)が11、定額が10、ロイヤルティなしが9でした。

業種別のロイヤルティ率

区分本数売上に対するロイヤルティの中央値範囲
売上歩合の本部全体615%0.3〜20%
外食253%1〜5%
小売63.9%2〜9%
サービス157%0.3〜20%
学習塾・教室1410%5〜15%

出典:同上。売上歩合の本部のみ(同じチェーンの複数の型は1本に数えた)

チェーンごとのロイヤルティ・加盟金・新規出店と中途終了の数は、フランチャイズ本部の開示書面 一覧にまとめています。

外食は売上の1〜5%に収まり、モスバーガーは1%です。学習塾・教室は高く、明光義塾は10%、プログラミング教室のHALLOや忍者ナインは15%です。

ロイヤルティのほかに、広告分担金やシステム利用料を毎月払う本部が多くあります。モスバーガーは広告宣伝費として売上の1%、カーブスは広告等分担金として売上の3%を、ロイヤルティとは別に定めています。実際の負担は、ロイヤルティの率より重くなります。

本部は儲けすぎているのか

開示書面に付いている本部の決算から、53社の営業利益率を出しました(同じ会社の決算はまとめた)。中央値は4.0%で、7社は営業赤字でした。少なくともこの範囲では、「本部ばかりが儲けている」とは言えません。ただし、本部の利益率は、加盟店の負担が適正かどうかを直接示す数字ではありません。親会社全体の決算しか載っていない本部もあります。

5. 辞め方は「閉店」だけではない

ここまで「撤退」とひとまとめにしてきましたが、加盟店がフランチャイズから抜けるとき、実際には次の4つの別々のことが起きています。

閉店はこのうちの一つにすぎません。開示書面には、閉店以外の抜け方が数として書かれています。

つまり、加盟店を続けられなくなったとき、店を閉めるほかに、店ごと誰かに引き継ぐ道があります。引き継ぐ相手は、同じチェーンの他の加盟者、同業の会社、本部などです。

ただし、加盟店が自分の判断だけで店を売れるわけではありません。開示書面では、加盟者の地位や店舗を本部の承諾なく第三者に譲ることを、契約の解除の理由として挙げている本部があります(ファミリーマート、ピザーラ、パレットプラザなど)。店を引き継いでもらうときは、本部の承認が前提になります。また、開示書面には、契約が終わった後に同じ種類の事業をすることを禁止・制限する特約の有無と内容を書く欄があります。中途で解約するときの違約金の定めも、本部によって違います。

店の値段は、売上や設備だけでは決まりません。加盟契約の残りの期間、店舗の賃貸借契約、利益の水準、引き継ぎの条件などで変わります。閉店を決める前に、まず自分の加盟契約で次の点を確かめておくのが出発点です。

相談先としては、まず本部の窓口、契約の解釈については弁護士、店や会社の譲渡についてはM&A支援機関(中小企業庁の登録制度に登録している機関)があります。

補足:質屋と買取店

街で増えたように見える金・ブランド品の買取店は、質屋ではありません。質屋は品物を預かってお金を貸す営業で、質屋営業法による公安委員会の許可が要ります。買取店は品物を買い取る営業で、古物営業法の許可です。警察庁の統計では、質屋の許可件数は1998年の4,750件から2025年の2,387件へ半分になりました(2025年の新規は39件、廃業などは80件)。買取店のフランチャイズの多くはサービス業にあたり、開示書面の義務がないため、本稿の集計には入っていません。

6. この集計の限界

よくある質問

Q. フランチャイズの加盟店は、毎年どれくらい辞めていますか?

A. 協会のサイトで開示書面を公開している本部のうち、比べられる63系列の最新年度では、期首の加盟店数に対して撤退が3.4%、出店が4.1%でした。撤退が出店を上回る系列は63のうち32です。業種による差が大きく、居酒屋・パブは撤退が11.3%でした。

Q. フランチャイズの撤退は増えていますか?

A. 2年続けて比べられる49系列では、撤退の割合が上がったのが19系列、下がったのが29系列で、加速しているとは言えません。協会の統計でも、店舗数は2018年度をピークに25万店前後で推移しています。

Q. フランチャイズのロイヤルティの相場は?

A. 売上に対する歩合の本部61本の中央値は5%でした。外食は1〜5%(中央値3%)、学習塾・教室は5〜15%(中央値10%)と業種で大きく違います。ほかに広告分担金などを別に払う本部が多くあります。

Q. フランチャイズの店は売ることができますか?

A. 本部の承認があれば、他の加盟者や同業の会社などに店を引き継ぐ道があります。開示書面には、店舗の譲渡や経営者の交代で引き継がれた店の数を書いている本部があります。一方で、本部の承諾なく地位を譲ることを契約の解除の理由にしている本部もあるため、まず加盟契約の譲渡の手続を確かめてください。

Q. 質屋と買取店は何が違いますか?

A. 質屋は品物を預かってお金を貸す営業で質屋営業法、買取店は品物を買い取る営業で古物営業法の許可です。質屋の許可件数は1998年の4,750件から2025年の2,387件へ半分になりました。

7. 調べ方

  1. 日本フランチャイズチェーン協会の「フランチャイズチェーン統計調査」2003〜2024年度の発表資料から、業種別のチェーン数・店舗数・売上高を表にしました(2002年度は2003年度資料の前年欄)。
  2. 同協会のサイトの「情報開示書面」のページに2026年10月時点で公開されていた会員本部の法定開示書面105本(93チェーン分)を取得しました。
  3. 各書面の「加盟者の店舗に関する事項」の表(直近3事業年度の加盟店数・新規出店・契約解除など)、加盟時の金銭、ロイヤルティ、本部の決算を読み取りました。文字の取れない書面はページの画像から読みました。
  4. 撤退は「前年度末の加盟店数+新規出店−当年度末の加盟店数」で逆算し、同じ表を共有する書面は1系列にまとめました。比較は2022年度以降の最新年度です。
  5. 質屋の許可件数は、警察庁「古物営業・質屋営業の概況」の各年版(公式サイトの最新版と、Internet Archive に保存された過去の版)から1998〜2025年を表にしました。
  6. 集計表は CSV で配布しています(CC BY 4.0・業種単位の集計のみで、チェーンごとの数字は含みません):jfa_total.csv、jfa_selected_categories.csv、flow_summary.csv、flow_by_industry.csv、royalty_by_industry.csv、royalty_method.csv、initial_fees.csv、hq_margin.csv、shichiya_series.csv。
【引用・転載について】
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<a href="https://jfsc.jp/research/franchise-kameiten-exit-japan/">フランチャイズ加盟店の「辞め方」 ── 93チェーンの開示書面で見る、出店・撤退・ロイヤルティ|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「フランチャイズ加盟店の「辞め方」 ── 93チェーンの開示書面で見る、出店・撤退・ロイヤルティ」(2026年10月14日) https://jfsc.jp/research/franchise-kameiten-exit-japan/
※ JFSCが集計・加工・分析した結果(集計値・集計表・図表・指標・分析と見解)は、この条件で引用いただけます。他機関(官公庁・調査会社など)が公表した数値や文章そのものは、それぞれの元資料の利用条件に従ってください。

出典

五十嵐悠一
監修・執筆責任者
株式会社日本財務戦略センター 代表取締役。京都大学経済学部経営学科(マーケティングゼミ専攻)卒。損害保険ジャパン本店営業部(企業リスク・法務)を経て、東証上場M&A仲介会社にて多数の成約に従事。2020年に株式会社日本財務戦略センターを創業し、M&A・事業承継・財務戦略を専門としています。日本CFO協会認定 プロフェッショナルCFO M&Aエキスパート/中小企業庁 M&A支援機関登録事業者/一般社団法人M&A支援機関協会 正会員/中小M&Aガイドライン第3版 遵守宣言済です。

本稿は、日本フランチャイズチェーン協会のサイトで公開されている本部の法定開示書面と、協会・警察庁の統計を集計したものであり、個別の本部や加盟店の評価、特定の取引の勧誘を目的とするものではありません。
加盟契約の解釈や解約・譲渡の判断は、本部の窓口や弁護士などの専門家にご相談ください。
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