岐路に立つ日本の不動産ブーム 2026年からの下がる要因、上がる要因

株式会社日本財務戦略センター|独自調査|2026年10月9日公開

岐路に立つ日本の不動産ブーム 2026年からの下がる要因、上がる要因

秋葉原駅から歩いて5分、40階建てのタワーマンションの25階。92㎡の角部屋が、2025年8月に4億7,800万円で売りに出されていました。12月、同じ部屋の値段は3億5,800万円になっていました。4か月で1億2,000万円、25%の値下げです。

港区三田の高級マンション。2025年に完成したばかりの建物です。166㎡の住戸は、2026年5月に17億9,000万円で売りに出されていました。10月には14億2,000万円です。5か月で3億7,000万円、21%下がりました。

物件広さ売り出し価格の変化下げ幅
秋葉原のタワーマンション(千代田区・25階)92㎡4億7,800万円 → 3億5,800万円(2025年8月→12月)−25.1%
三田の高級マンション(港区・2025年築)166㎡17億9,000万円 → 14億2,000万円(2026年5月→10月)−20.7%

出典:不動産ポータルサイト SUUMO の物件ページの保存版(インターネットアーカイブ)から弊社集計。同じ物件ページの、最初と最後に保存された版の売り出し価格を比べたもの

SUUMO で長い期間掲載が続いている東京23区の物件を追うと、839件のうち548件(65%)で売り出し価格の引き下げが確認できました。値下げした物件の下げ幅の中央値は−4.8%で、1割以上下げた物件が98件あります。何か月も売れずに残っている物件の話で、23区の中古マンション全体の割合ではありません。

日本の不動産は、2026年を境に下がる局面に入ったと弊社はみています。マンションの売り出し価格はこの夏、東京の都心で4か月続けて下がりました。東京23区で売りに出ている住戸は1年で25%増え、売れ残っている住戸の半分近くが値下げに動いています。一方で、実際に売れた価格は2026年3月までは最高値を更新していました。この記事では、両方の数字を並べたうえで、下がる要因と上がる要因を一つずつ確かめます。最後に、どの地域・どの価格帯から下がり始めているかを、国の取引データを弊社で集計した結果でお見せします。

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<a href="https://jfsc.jp/research/japan-real-estate-crossroads-2026/">岐路に立つ日本の不動産ブーム ── 2026年からの下がる要因、上がる要因|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「岐路に立つ日本の不動産ブーム ── 2026年からの下がる要因、上がる要因」(2026年10月9日) https://jfsc.jp/research/japan-real-estate-crossroads-2026/
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先に結論

2026年を境に、日本の不動産は下がる局面に入りました。

ただし、一斉に下がるわけではありません。国の取引データで見ると、東京の都心の中心部はまだ上がっています。下落がすでに確認できるのは、郊外のマンションと、大阪の民泊が集まる地域からです。

また、海外の通貨で資産を測っている方にとっては、話がもう一段進んでいます。円建ての価格が上がっていても、為替によって投資の価値はすでに目減りしている場合があります。たとえば2020年に買った物件は、円では5割近く上がっていても、米ドルで見るとほぼ横ばいです。

下がる要因は4つあります。金利、売れ残り、海外からの新しい買いの細り、そして為替です。上がる要因もあります。新築の供給が減り、東京には人が集まり続けています。この記事では両方を並べて確かめます。

判断の材料を6つに分けます

値段の話は、ひとまとめにすると見誤ります。この記事では次の6つを分けて見ます。

材料見るもの
① 価格そのもの実際に売れた価格と、売り出し価格
② 為替円と、買い手・持ち主の国の通貨とのあいだの相場
③ 賃料借りる人が払う家賃と、そこから出る利回り
④ 金利政策金利、長期金利、住宅ローンの金利
⑤ 取得の規制外国人の取得の把握、民泊の規制
⑥ 出口の流動性売りたいときに、買い手がつくかどうか

たとえば円建ての価格が下がっても、円高になれば元で見た価値は戻ります。金利の上昇は円建ての価格を押し下げますが、円高を通じて元建ての価値を押し上げます。材料ごとに効く向きが違うので、分けておかないと結論を取り違えます。

下がる要因① 金利が上がった

日本銀行は2026年9月18日、政策金利を1.25%に引き上げました。2024年3月にマイナス金利を解除してから2年半で、0%から1.25%まで上がったことになります。公表文は「経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ」ていくとしており、追加の利上げの余地を残しています。

時点政策金利10年国債利回り
2024年3月0〜0.1%0.750%
2025年1月0.5%—
2025年12月0.75%2.066%
2026年6月1.0%2.690%
2026年9月1.25%3.057%
2026年10月7日—3.111%

出典:日本銀行 金融政策決定会合 公表文(各回)/財務省「国債金利情報」

住宅ローンには、この利上げがすぐに響きます。2024年度に新しく貸し出された住宅ローンの83.5%が変動金利型でした(金額ベース・国土交通省「民間住宅ローンの実態に関する調査」)。変動金利は、銀行の短期プライムレートなどを通じて政策金利の影響を受けるため、利上げの局面では上がりやすくなります。多くの変動金利型には、返済額を5年間据え置き、見直しても1.25倍までに抑える決まりがあるため、すぐに毎月の返済が跳ね上がるわけではありません。ただ、その分は元本の減りが遅くなる形で利払いに回ります。新しく借りる人にとっては、同じ年収で借りられる額がそのまま減ります。全期間固定のフラット35も、最も多い金利は2026年10月に3.83%まで上がりました。

投資用の物件にも効いています。日本不動産研究所の調査で、東京・城南のワンルームマンション一棟の期待利回りは3.6%(2026年4月)でした。10年国債の利回りが3.11%まで上がったいま、その差は0.5ポイントほどしかありません。国債とほとんど変わらない利回りのために、空室や修繕の手間を負って借入までする理由は薄れています。利回りが上がる、つまり価格が下がる方向の圧力がかかります。

日本銀行自身も、2026年4月の「金融システムレポート」で「不動産リスクプレミアムを示唆するイールドギャップの低下傾向は続いており、引き続き、不動産市況の動向に注意していく必要がある」と書いています。

下がる要因② 売れ残りが増え、値下げが始まった

首都圏の中古マンションでは、2026年の春から流れが変わりました。

首都圏 中古マンション(2026年8月)数字前年同月比
成約件数3,180件−10.5%(5か月連続の減少)
在庫件数48,235件+8.2%(6か月連続の増加)
成約㎡単価81.60万円−3.8%(4か月連続の下落)
在庫の㎡単価(売り出し中の値付け)119.36万円+28.4%

出典:東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年8月度」

東京23区に限ると、成約㎡単価は前年比−0.3%でほぼ横ばいですが、2020年4月以来76か月ぶりの下落です。成約件数は−20.6%と大きく減りました。

注目したいのは、売り出し中の在庫の㎡単価が、実際に売れた単価の1.46倍になっている点です。売り手はまだ強気の値段をつけていますが、その値段では買い手がつかず、在庫が積み上がっています。

東京カンテイの売り出し価格(70㎡換算)は、その次の段階に入ったことを示しています。

地域2026年8月前月比前年同月比の推移(6月→7月→8月)
都心6区1億8,068万円−0.7%(4か月連続の下落)+12.8% → +9.0% → +6.1%
東京23区1億2,677万円−0.4%(3か月連続の下落)—
東京都1億1,274万円−0.2%(28か月ぶりのマイナス)—
大阪市中心6区9,465万円−0.3%(続落)+18.7% → +15.9% → +13.4%

出典:東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別 中古マンション70㎡価格月別推移」2026年8月、同「中古マンション 市場指標」

東京23区で売りに出ている中古マンションは、新しく売り出されたものも含めて、1年で12,145戸から15,218戸へ25%増えました。前の月から売れ残っている住戸のうち、直近3か月に値下げした住戸の割合は36.8%から48.9%に上がり、半分近くが値下げに動いています。東京カンテイは「過熱感を帯びていた東京都心部が調整局面入り」と書いています。

新築も勢いを失っています。首都圏の8月の初月契約率は61.1%で、2026年は好調の目安とされる70%を下回る月がほとんどでした。販売在庫は6,610戸で、1年前より16%多くなっています。

下がる要因③ 海外からの新しい買いが細る

2026年に入って、外国人による不動産の取得を国が把握する仕組みが一斉に動き出しました。

時期内容段階
2025年10月16日経営・管理の在留資格の資本金要件を3,000万円に引き上げ施行済み
2026年4月1日外為法の非居住者の報告に、住宅の取得を追加施行済み
2026年4月1日国土利用計画法の届出に、法人の代表者・役員・議決権の国籍を追加施行済み
2026年10月5日不動産登記で、所有者の国籍を申し出る仕組みが開始施行済み
2026年10月2日重要施設の周辺と国境離島で、所有権の移転を事前許可制にする提言(内閣官房の検討会)提言の段階

どれも、すぐに取得を禁じるものではありません。ただ、誰が何を買ったかが国に見えるようになり、さらに強い規制が議論されている状況は、海外の買い手にとって手控える理由になります。

海外からの需要も細っています。2026年8月の訪日客は、国・地域によって大きく分かれました。日本への渡航を控えるよう自国民に呼びかけている国からの旅行者は前年の半分以下に減り、民泊やホテルの稼働も落ちています。

なお、海外の保有者が日本の不動産を大量に売っていることを示す統計は、今回確認できませんでした。売り手の国籍を数えた公的な統計がそもそも無いからです。この記事が論じているのは、海外からの新しい買いがこれから弱くなる、という点です。持っている人の売りと、新しく買う人の減少は別のものです。国外に住む人による取得は、東京23区の新築でも2.8%(2025年・国土交通省)で、もともと価格を動かす主役ではありません。効いてくるのは、都心の高額物件や民泊・投資用の物件のように、海外の買いが集まっていた一部の市場です。

下がる要因④ 外貨で見ると、すでに下がっている

海外の通貨で資産を測っている方にとって、いちばん大きいのは為替です。2020年から2026年にかけて、円は主な通貨に対して大きく安くなりました。

首都圏の中古マンションを1億円で買った場合の損益を、通貨ごとに計算しました。円建ての値上がりは、レインズの成約㎡単価の変化(売却時点=2026年8月)で計算しています。手数料・税・賃料・送金費用は含みません。

通貨1単位=何円(2020年平均 → 2026年10月8日)2020年8月に買った場合2023年8月2025年8月
円—+48.8%+10.2%−3.8%
米ドル106.74円 → 158.28円−0.7%+0.5%−10.5%
ユーロ121.85円 → 177.05円+1.4%−5.4%−10.2%
香港ドル13.76円 → 20.17円+0.5%+0.7%−10.3%
シンガポールドル77.41円 → 123.47円−7.4%−5.1%−11.2%
人民元15.47円 → 23.62円−3.4%−6.6%−16.0%
台湾ドル3.63円 → 4.93円(2026年10月2日)+8.2%+1.0%−5.2%
韓国ウォン(100ウォン)9.06円 → 11.78円+17.4%+6.5%−9.7%

出典:東日本不動産流通機構 月例速報、欧州中央銀行 参照為替レート(台湾ドルは米連邦準備制度理事会 H.10)から弊社算出。各通貨の月平均レートで換算

2020年8月に買った物件は、円では5割近く値上がりしました。ところが米ドル・ユーロ・香港ドルで見ると、ほぼ横ばいです。シンガポールドルや人民元では、目減りしています。海外の買い手から見ると、2020年からの日本の不動産の値上がりは、ほとんど円安で消えています。 2025年に買った方は、どの通貨で見ても5〜16%目減りしています。

東京23区の中を分けると、為替との関係がもっとはっきりします。

東京23区 中古マンションの成約㎡単価円で見た変化米ドルで見た変化
都心6区+58%+7%
その他17区+34%−9%

出典:国土交通省「不動産取引価格情報」(成約価格情報)、欧州中央銀行 参照為替レートから弊社算出(2021年1〜3月期 → 2026年1〜3月期、各四半期の平均レートで換算)

東京23区の中古マンションの成約㎡単価(都心6区とその他17区・円と米ドル換算)
図1 東京23区の中古マンションの成約㎡単価(都心6区とその他17区・円と米ドル換算)(クリックで拡大)

本記事の内容は、出典リンクつきでご自由に引用いただけます(CC BY 4.0・出典に「株式会社日本財務戦略センター(JFSC)」の名称を明記)。コピー用の引用タグは ページ冒頭の枠 にあります。

この間にドル円は106円から157円になりました。都心6区の値段は、円が安くなった分だけ上がり、ドルで見るとほぼ同じです。海外の買い手が、自分の国の通貨でおおむね同じ値段を払い続けてきた形です。都心の外は円で34%しか上がっておらず、ドルで見ると下がっています。こちらは国内の買い手がローンで買う市場で、値段を決めているのは国内の収入と金利です。

ここから先は、為替の向きで話が分かれます。円建ての価格が横ばいか下がれば、外貨で見た目減りはそのまま広がります。

円高に戻った場合は、立場によって逆に効きます。すでに持っている海外の方にとっては、外貨で見た値打ちが上がり、売れば為替の利益が手に入ります。これから買う海外の方にとっては、同じ物件が自国の通貨で高くなり、買いづらくなります。売り手が増え、買い手が減るので、円建ての値段には下げの力がかかります。それが最も強く出るのは、海外の買いで値段が決まってきた都心です。しかも円高が進むとすれば、日本銀行の利上げが続く場面で、国内の買い手のローンの負担も重くなります。円高は、円建ての値段にとって支えにはなりません。

過去を見ると、東京23区の中古マンションが下げに転じたのは2008年と2011年の2回で、どちらもドル円が前年より1割以上円高になった時期でした。郊外で下落が広がっただけでも、円高になっただけでも、都心はつられていません(付録A-7)。日本総合研究所は、ドル円が緩やかに円高に向かうと見込んでいます。為替がこの先どう動くかは、誰にも言い切れません。

上がる要因 まだ強い材料

下がる要因だけを並べるのは公平ではありません。上がる方の材料も確かにあります。

それでも弊社が下がる局面とみるのは、これらの材料が主に都心の新築と大口の取引を支えるもので、郊外の中古マンションや個人の投資用物件には届いていないからです。次の節で、その差を国の取引データで確かめます。

どこから下がるか 国の取引データを集計しました

国土交通省は「不動産価格指数」の公表を、計算のプログラムの不具合を理由に2026年4月から止めています。公式の指数は2025年12月分が最新です。そこで弊社は、国土交通省の「不動産取引価格情報」(実際に成約した取引の一件ごとのデータ)を全47都道府県分取得し、2026年1〜3月期まで自前で集計しました。

集計の方法は付録に書きました。ここでは、中古マンションの成約㎡単価の中央値を、直近2四半期(2025年10月〜2026年3月)と前年の同じ2四半期で比べています。

都心はまだ上がっている

東京23区の中古マンションの成約㎡単価は、2026年1〜3月期に107.5万円でした。前年同期より11%高く、最高値を更新しています。都心6区は168.4万円で、14%上がりました。成約の価格で見るかぎり、東京の中心部はまだ下がっていません。

ただし、価格帯ごとに分けると様子が違います。23区の5,000万〜1億円の帯では、㎡単価の上昇は前年比+1.9%にとどまりました。23区全体の+11%は、高い物件の取引が増えて平均が押し上げられた分が大きく、同じ価格帯の中ではほとんど上がっていません。

郊外から下がっている

全国で見ると、成約件数が十分にある35都府県のうち12県で前年を下回りました。市区町村では、173のうち62で下がっています。

地域成約㎡単価(直近2四半期)前年比件数
東京都 町田市41.4万円−21.6%157
大阪府 豊中市35.6万円−13.8%331
兵庫県 明石市22.0万円−12.6%213
兵庫県 宝塚市25.7万円−12.3%207
千葉県 柏市36.7万円−8.3%228
大阪府 高槻市32.4万円−7.8%160
兵庫県 芦屋市38.2万円−7.4%163
奈良県(県全体)17.8万円−16.1%354
兵庫県(県全体)31.4万円−5.7%3,117

出典:国土交通省「不動産取引価格情報」(成約価格情報・中古マンション等)から弊社集計

都道府県別 中古マンションの成約㎡単価の前年比
図2 都道府県別 中古マンションの成約㎡単価の前年比(クリックで拡大)

関西の郊外、首都圏の外側、地方の県から下がっています。上がっているのは東京都(+9.4%)や福岡県(+14.0%)、地方の中核都市です。金利の上昇は、ローンで買う人の予算が限られる郊外から先に効く、という筋と合っています。

大阪は上の価格帯と、民泊の集まる地域から

大阪市では、東京と逆に上の価格帯から下がり始めています。1億円以上の帯は前年比−0.8%、5,000万〜1億円の帯は−1.4%でした。前の四半期と比べると、それぞれ−4.3%、−3.6%です。万博と民泊で海外の買いが最も集まった街で、まず高い物件の値段が崩れています。

民泊の影響はもっとはっきり出ています。大阪市の特区民泊は2026年1月末時点で7,929施設あり、最も多いのは西成区(2,172施設)、次いで中央区・浪速区・生野区(538施設)です。新規の受付が終わる前の駆け込みで、6月末には10,132施設まで増えました。西成区と生野区はマンションの取引が四半期に10件前後と少ないため、戸建てや長屋を含む土地と建物の取引で比べました。

区特区民泊の施設数土地と建物の㎡単価(直近2四半期)前年比件数
西成区2,17230.5万円−3.5%56
生野区53834.7万円−7.1%99

出典:大阪市「特区民泊の認定施設一覧」(2026年1月31日時点)、国土交通省「不動産取引価格情報」(成約価格情報)から弊社集計

民泊が最も集まる2つの区で、土地と建物の値段はすでに前年を下回っています。大阪市全体の中古マンションが同じ期間に前年比+5.1%で上がっている中での下落です。この数字は2026年3月までのもので、規制の影響が出る前です。訪日客の落ち込みで民泊の稼働が下がった影響が、先に表れたとみています。

規制はこれから重なります。大阪市は特区民泊の新規の受付を2026年5月29日で終えました。既存の施設は営業を続けられますが、部屋を増やすことはできません。市の実態調査では、回答した特区民泊の約半数が年180日を超えて営業しており、年180日までの新法民泊には移れません。さらに、旅館業の条例改正が9月30日に市議会で可決されたと報じられています(10月30日施行の予定)。市の改正案では、人が住む建物で新たに旅館業を始めるには原則として鉄筋コンクリート造が必要になります。民泊から旅館業に切り替えて続ける道も狭まりました。民泊の稼ぎを当てにして値段がついた物件は、その分が剥がれる余地を抱えています。

都心の高額帯は、売り出し価格が先に動いている

成約の価格は2026年3月まで上がっていましたが、売り出し価格はその後の5〜8月に都心で下がり始めました。成約の価格は、売り出し価格に遅れてついてきます。

冒頭の2件は、その一部です。弊社では、不動産ポータルに掲載された物件ページの保存版(インターネットアーカイブ)から、同じ物件の売り出し価格がどう変わったかを23区全体で集めました。何か月も載り続けた物件は、言い換えれば売れ残った物件です。売れた物件はポータルから消えるため、この集計には入りません。

区ごとの内訳は付録A-5にまとめました。

湾岸のタワーマンションはどうなるか

豊洲・晴海・勝どき・有明・芝浦・港南などの湾岸は、この5年で東京23区の中でも最も値上がりした地域です。国の取引データの地区名で湾岸を切り出して集計しました。

成約㎡単価(直近2四半期)前年比5年前比件数
湾岸184.6万円+13.6%+92.6%922
うち1億円未満124.4万円−1.8%+31.0%287
うち1億円以上200.0万円+8.0%+59.0%635
23区のその他の地域102.2万円+10.5%+34.0%9,919

出典:国土交通省「不動産取引価格情報」(成約価格情報・中古マンション等)から弊社集計。湾岸=江東区(豊洲・有明・東雲・辰巳・潮見・枝川・青海)、中央区(晴海・勝どき・月島・佃・豊海町)、港区(芝浦・港南・台場・海岸)、品川区(東品川・八潮)

湾岸の成約㎡単価は、5年でほぼ倍になりました。23区のほかの地域の3倍近い上がり方です。米ドルで見ても約3割上がっており、円安の分を超えて値上がりした市場です。

ただ、湾岸の中でも1億円未満の物件は、2026年1〜3月期にはすでに前年を下回りました。上がっているのは1億円以上の物件だけです。売り出し価格でも、SUUMO で長く売りに出ている湾岸の物件159件のうち104件で値下げが確認できました(変化率の中央値−3.6%)。

湾岸は、上がった幅が最も大きい分、下がる力がかかったときにも大きく動く市場だとみています。付録A-7で見たとおり、過去に東京23区が下げに転じたのは、郊外の下落が広がり、同時に円高が進んだときでした。この2つがそろえば、真っ先に値段が試されるのは湾岸の高額物件です。

読み手ごとに、どこを見ればよいか

同じ市場の分析でも、立場によって見るべき材料が変わります。

読み手見るべき材料
日本の所有者(個人)郊外・築古から下がっている。売るか持つかは、地域と価格帯で判断が分かれる
日本に住む外国籍の所有者円建ての価格に加えて、自国の通貨で見た評価と、日本での資金繰り。在留資格の更新要件
海外に住む所有者自国の通貨ではすでに目減りしていることが多い。送金の手続き、居住国での申告、日本での非居住者の課税(売却時の源泉徴収)
海外の買い手円建ての価格が下がれば、取得の条件は良くなる。ただし金利・為替・規制・賃料も合わせて見る
会社の名義で持っている方物件だけを売るか、会社ごと(株式で)売るか。税や手続きが大きく変わる

物件だけで売るか、会社ごと売るか

不動産を会社の名義で持っている方は少なくありません。賃貸マンションを持つ資産管理会社、投資のために日本で設立した会社、事業用の土地建物を持つ会社などです。その場合、売り方は2通りあります。

物件だけを売る会社ごと売る(株式の譲渡)
売るもの土地・建物会社の株式(物件は会社が持ったまま)
代金を受け取る人会社株主
登記所有者の移転登記が要る所有者は会社のままで、移転登記は起きない
買い手が引き継ぐもの物件だけ会社の借入・契約・過去の税務も含めて全部
売り手の手取り会社に入った代金を個人に戻すには、配当や清算の手続きが要る株主が直接受け取る

会社ごと売る場合、買い手は物件だけでなく会社そのものを調べます。登記と賃貸借の契約、借入の条件、過去の決算と税務、帳簿に載っていない債務の有無などです。売り手の側では、直近の決算書と物件の資料、借入の契約書をそろえておくと、話が早く進みます。

日本に住んでいない方が売る場合は、注意点が増えます。物件だけを売るときは、買い手が代金から所得税を源泉徴収するのが原則です。会社ごと売るときも、日本の不動産が資産の大半を占める会社の株式は、日本で課税されることがあります。どちらの場合も、住んでいる国での申告と、日本からの送金の手続きが要ります。税の扱いは個別の事情で変わるため、税理士などの専門家への確認が欠かせません。

どちらが有利かは、物件の含み益、会社の借入、売り手が住んでいる国によって変わります。会社の名義で物件をお持ちの方は、どちらの売り方が合うかを含めて、弊社にご相談ください。

まとめ 売る人も買う人も、自分がどの市場にいるのかを見る

日本の不動産は、ひとつの市場ではありません。東京の都心の新築はまだ強く、郊外の中古と大阪の民泊の地域はもう下がっています。外貨で見ている方には、円建ての数字が上がっていても目減りが進んでいます。

価格が下がる局面では、売る人も買う人も、自分の物件がどの地域・どの価格帯・どの通貨の話なのかを見なければなりません。売りが重なってからでは、売り手は買い手に値段を選ばれる側になります。

弊社では、物件の売却と、物件を持つ会社ごとの売却(M&A)の両方のご相談をお受けしています。日本語・中国語でのご相談も承ります。

売るか、持つか。売るなら物件だけか、会社ごとか。

売買のご相談はこちら(お問い合わせフォーム)

お電話:03-4500-7730(株式会社日本財務戦略センター)。ご相談の内容は秘密として扱います。

この記事で確かめられなかったこと

付録 集計の方法とデータ

付録A-1 都道府県別 中古マンションの成約㎡単価(直近2四半期・前年比)

成約が60件以上ある35都道府県。前年を下回ったのは12都道府県。

表を開く
都道府県成約㎡単価前年比2年前比件数
和歌山県10.5万円-25.2%-13.3%82
奈良県17.8万円-16.1%-10.9%354
岐阜県20.5万円-13.6%-9.1%104
茨城県27.6万円-9.9%-17.6%180
大分県22.6万円-9.7%-2.2%96
福島県20.0万円-6.2%—94
香川県20.0万円-5.9%+6.7%146
兵庫県31.4万円-5.7%-2.7%3,117
栃木県28.8万円-4.2%+11.4%115
愛知県27.0万円-3.6%+2.6%2,745
群馬県21.7万円-2.5%+17.2%97
埼玉県37.1万円-0.5%-7.1%3,018
山口県23.0万円+0.0%+5.2%101
京都府40.0万円+0.0%+0.0%1,161
三重県22.5万円+0.2%-4.4%107
滋賀県32.9万円+0.3%-3.1%373
神奈川県50.7万円+1.3%-3.5%6,227
鹿児島県32.0万円+1.8%-11.1%85
宮城県31.4万円+1.9%+0.6%727
大阪府43.5万円+2.0%+5.5%5,608
北海道24.0万円+3.8%+1.5%1,461
石川県24.3万円+4.1%+21.4%135
千葉県33.3万円+4.2%-3.8%2,874
宮崎県30.5万円+4.3%—61
沖縄県48.9万円+4.8%+11.1%192
広島県34.1万円+6.4%+11.7%536
愛媛県23.3万円+9.4%+2.1%64
東京都96.2万円+9.4%+9.8%13,188
静岡県21.2万円+10.2%+3.9%423
福岡県35.3万円+14.0%+10.4%2,044
熊本県24.7万円+16.3%+5.4%196
岡山県31.1万円+16.7%+8.9%236
新潟県25.4万円+18.7%+18.3%130
長野県42.7万円+19.1%+38.0%109
長崎県32.7万円+29.2%+15.2%67

付録A-2 前年より下がった市区町村(成約30件以上)

成約が30件以上ある173市区町村のうち62で前年を下回りました。政令指定都市は区をまとめて市で数えています。

表を開く
市区町村成約㎡単価前年比2年前比件数
東京都 町田市41.4万円-21.6%-10.6%157
岐阜県 岐阜市28.0万円-20.9%+13.3%59
大阪府 守口市36.7万円-17.6%-12.0%61
和歌山県 和歌山市15.6万円-17.6%-38.9%59
埼玉県 富士見市36.0万円-16.8%—55
埼玉県 三郷市20.0万円-16.3%+0.0%96
大阪府 和泉市17.3万円-16.0%-13.3%73
奈良県 奈良市20.0万円-15.8%-17.9%168
大阪府 岸和田市18.6万円-15.4%—36
福岡県 久留米市18.8万円-14.8%-6.2%67
神奈川県 小田原市27.5万円-14.8%—34
岩手県 盛岡市25.7万円-14.3%+2.2%53
奈良県 橿原市17.2万円-14.1%+8.3%30
大阪府 豊中市35.6万円-13.8%-13.7%331
神奈川県 厚木市27.6万円-13.8%-10.0%80
兵庫県 川西市21.3万円-13.7%-10.2%62
兵庫県 姫路市16.0万円-12.7%-5.4%130
兵庫県 明石市22.0万円-12.6%+1.1%213
兵庫県 宝塚市25.7万円-12.3%-16.1%207
愛知県 安城市21.3万円-12.2%-16.8%73
大阪府 門真市32.5万円-11.9%+11.3%32
広島県 福山市25.0万円-11.0%+14.1%33
愛知県 長久手市31.4万円-10.9%-18.5%44
愛知県 一宮市17.1万円-10.2%-8.1%61
兵庫県 伊丹市30.4万円-9.4%-12.0%126
愛知県 春日井市16.8万円-9.3%-32.6%75
愛知県 瀬戸市12.7万円-9.2%—37
埼玉県 春日部市16.9万円-8.3%-18.3%64
千葉県 柏市36.7万円-8.3%-25.7%228
大阪府 高槻市32.4万円-7.8%-4.2%160
栃木県 宇都宮市29.5万円-7.7%+10.7%85
神奈川県 鎌倉市50.0万円-7.6%-4.8%85
兵庫県 芦屋市38.2万円-7.4%+2.8%163
東京都 小金井市75.3万円-7.4%+13.8%72
香川県 高松市20.0万円-7.3%+3.2%117
東京都 稲城市40.0万円-6.8%-9.1%66
東京都 日野市37.3万円-6.7%+8.9%67
埼玉県 和光市45.0万円-6.3%-2.6%70
埼玉県 川越市23.2万円-5.7%-15.2%146
神奈川県 茅ヶ崎市50.3万円-5.6%-1.2%116
兵庫県 神戸市33.8万円-5.2%-6.0%1,425
東京都 小平市48.3万円-5.0%+3.5%76
千葉県 松戸市26.7万円-4.8%-4.8%248
東京都 多摩市33.1万円-4.7%-28.1%184
千葉県 千葉市27.6万円-4.3%+10.6%746
神奈川県 海老名市44.3万円-3.5%+17.9%85
神奈川県 藤沢市52.9万円-3.1%-7.8%265
茨城県 つくば市47.0万円-2.7%+11.0%50
大阪府 枚方市25.5万円-2.5%+3.7%174
埼玉県 越谷市37.3万円-2.2%-3.4%141
埼玉県 入間市14.0万円-1.9%+1.9%74
東京都 青梅市17.5万円-1.8%+1.3%65
神奈川県 相模原市33.3万円-1.5%-3.8%368
愛知県 岡崎市22.7万円-1.3%+2.5%95
埼玉県 さいたま市55.0万円-1.3%-3.8%782
静岡県 静岡市31.8万円-0.9%+9.1%75
大阪府 東大阪市26.7万円-0.9%+11.1%177
大分県 大分市26.5万円-0.7%+13.1%82
滋賀県 守山市18.5万円-0.6%—30
埼玉県 川口市47.3万円-0.4%-3.3%375
神奈川県 大和市41.4万円-0.2%-5.7%140
広島県 広島市35.3万円-0.1%+7.4%424

付録A-3 東京23区 中古マンションの成約㎡単価の推移(四半期)

表を開く
四半期23区計都心6区その他17区件数(23区計)
2021Q178.7万円106.5万円70.0万円3,268
2021Q280.0万円110.7万円70.0万円4,077
2021Q380.0万円111.1万円70.7万円3,624
2021Q484.0万円112.5万円73.3万円4,048
2022Q185.0万円117.1万円75.4万円3,918
2022Q287.5万円116.7万円76.5万円3,976
2022Q388.2万円122.2万円78.1万円3,709
2022Q490.0万円122.9万円78.2万円3,896
2023Q190.0万円120.0万円80.0万円4,068
2023Q292.6万円125.0万円81.2万円3,925
2023Q392.3万円125.0万円80.0万円4,057
2023Q495.0万円129.2万円83.7万円4,199
2024Q196.0万円135.0万円83.8万円4,462
2024Q296.9万円136.4万円84.6万円4,344
2024Q395.6万円140.0万円84.0万円3,728
2024Q497.3万円144.4万円85.7万円4,163
2025Q196.7万円147.5万円85.0万円5,624
2025Q2100.0万円158.2万円85.5万円5,559
2025Q3104.0万円162.2万円90.0万円5,447
2025Q4106.7万円165.2万円92.9万円5,417
2026Q1107.5万円168.4万円94.0万円5,424

付録A-4 大阪市の区別 特区民泊の施設数と取引価格の前年比

マンションは中古マンション等、土地と建物は戸建て・長屋などを含む宅地の取引。件数が20件未満の区は「—」。中央区・浪速区などの土地と建物はビルの取引が混ざり、値が大きく振れます。

表を開く
区特区民泊の施設数マンション 前年比(件数)土地と建物 前年比(件数)
西成区2,172+11.0%(24)-3.5%(56)
中央区1,242+16.3%(386)—(—)
浪速区1,232+12.5%(89)—(—)
生野区538—(—)-7.1%(99)
此花区352+3.0%(58)+5.5%(27)
東成区325-0.1%(57)-1.7%(32)
北区295+14.8%(398)—(—)
西区248-1.4%(285)—(—)
港区231+27.3%(80)+22.2%(31)
天王寺区223+6.8%(149)—(—)
淀川区151+4.0%(232)-8.2%(60)
福島区149+11.5%(129)—(—)
住之江区139-4.4%(95)-5.7%(56)
城東区128+6.0%(165)+8.5%(58)
大正区111-7.2%(30)+23.3%(48)
阿倍野区90+11.8%(111)-5.4%(48)
東淀川区87+19.0%(108)+12.1%(53)
都島区69+9.4%(138)—(—)
住吉区49-11.1%(76)+0.1%(68)
西淀川区44-3.1%(100)+13.4%(59)
旭区19+40.8%(53)-11.6%(37)
東住吉区19+12.6%(58)+14.6%(71)
平野区14-24.6%(83)+31.4%(75)
鶴見区2+7.4%(73)-3.5%(36)

付録A-5 東京23区 売りに出ている物件の売り出し価格の変化(SUUMO の保存版)

同じ物件ページが30日以上の間隔をおいて保存されていた839件。値下げ548件・据え置き273件・値上げ18件。変化率の中央値は-2.9%、値下げした物件の下げ幅の中央値は-4.8%。

区ごとの表を開く
区件数値下げした割合変化率の中央値
港区15761%-3.1%
中央区10169%-4.2%
江東区6357%-1.8%
世田谷区6368%-2.5%
千代田区6170%-3.4%
品川区5571%-3.0%
渋谷区4971%-2.9%
新宿区4052%-1.0%
荒川区3342%+0.0%
台東区2969%-3.4%
大田区2264%-3.1%
北区2060%-1.9%
中野区1974%-3.3%
目黒区1573%-2.6%
文京区1573%-4.0%
葛飾区1457%-1.6%
足立区1479%-3.6%
練馬区1471%-4.2%
杉並区1346%+0.0%
板橋区1392%-2.0%
墨田区1173%-4.9%
豊島区1090%-4.3%
江戸川区862%-2.7%

付録A-7 下落の広がりと過去の局面

前年より中古マンションの成約㎡単価が下がった市区町村の割合(直近2四半期と前年の同じ2四半期を比べ、両方とも30件以上ある市区町村だけを数えたもの)を、2006年から四半期ごとに並べました。長い系列が要るため、国土交通省のアンケートに基づく取引価格情報を使っています(2021年以降は成約価格情報も併記)。

下落の広がり・23区の前年比・ドル円の前年比
図3 下落の広がり・23区の前年比・ドル円の前年比(クリックで拡大)
時点下がった市区町村の割合東京23区の前年比ドル円の前年比
2007年7〜9月22.5%+15.8%+1.4%
2008年4〜6月40.9%-2.5%-13.5%
2009年10〜12月63.5%-0.7%-6.6%
2011年4〜6月44.3%-0.9%-11.5%
2012年4〜6月70.1%-7.9%-1.9%
2019年10〜12月43.9%+5.0%-3.7%
2025年7〜9月(成約)57.3%+4.2%-1.2%
2026年1〜3月(成約)35.8%+10.6%+2.9%

前年より下がった市区町村は、景気が良い時期でも3割前後あります(件数が少ない市区町村の中央値は振れるため)。2008年と2011年は、この割合が4割を超え、同時にドル円が前年より1割以上円高になった四半期に、東京23区も下げに転じました。2019年・2021年・2025年は割合が4割を超えても為替がほとんど動かず、23区は下がりませんでした。逆に2016年は、ドル円が前年より16%円高になりましたが、下がった市区町村は3割程度で、23区は下がりませんでした。郊外の下落の広がりと1割を超える円高の、どちらか一方だけでは、都心は下げに転じていません。2008年はリーマン・ショック、2011年は東日本大震災と欧州の債務危機と重なっており、円高の効果と危機そのものの効果は、2回だけのデータでは切り分けられません。

付録A-6 データのダウンロード(CSV・CC BY 4.0)

よくある質問

Q. 日本の不動産は、まだ上がりますか。

東京の都心の一部と湾岸の高額物件は、2026年3月までの成約価格ではまだ上がっています。一方で、売り出し価格は2026年5〜8月に都心で4か月続けて下がり、全国では成約件数が十分にある35都府県のうち12で中古マンションの成約単価が前年を下回りました。弊社は、全体としては上がる局面が終わり、下がる局面に入ったとみています。

Q. 湾岸のタワーマンションは、これからどうなりますか。

湾岸(豊洲・晴海・勝どき・有明・芝浦・港南など)の中古マンションの成約単価は、5年でほぼ倍になりました。ただし1億円未満の物件は2026年1〜3月期に前年を下回り、SUUMO で長く売りに出ている湾岸の物件の約3分の2で値下げが確認できました。上がった幅が大きい分、郊外の下落の広がりと円高がそろったときに、最も大きく動く市場だとみています。

Q. 日本の不動産は、これから全国で下がりますか。

全国一律には下がりません。国の取引データでは、2026年3月までに郊外と地方の一部、大阪の民泊が集まる地域で下落が出ている一方、東京の都心はまだ上がっています。売り出し価格は5〜8月に都心でも下がり始めており、成約の価格も遅れて追いつくとみています。

Q. 外貨で買った日本の物件は、損をしていますか。

購入時期と通貨によります。2020年8月に首都圏の中古マンションを買った場合、円では+48.8%ですが、米ドルでは−0.7%、人民元では−3.4%、シンガポールドルでは−7.4%です。2025年8月の購入では、どの通貨で見ても5〜16%の目減りです。手数料や賃料収入は含まない計算です。

Q. 外国人は日本の不動産を買えなくなるのですか。

2026年10月時点で、外国人の取得を一般に禁じる法律はありません。外為法の報告や登記での国籍の申出など、取得を把握する仕組みが始まりました。重要施設の周辺などで事前許可制にする提言が出ていますが、法律にはなっていません。

Q. 大阪の特区民泊は続けられますか。

既存の施設は営業を続けられます。2026年5月29日で新規の受付が終わり、部屋を増やすことはできません。旅館業への切り替えも、10月30日に施行予定の条例改正で建物の条件が厳しくなります。

Q. 不動産を持っている会社を、会社ごと売ることはできますか。

できます。会社の株式を買い手に譲る方法で、物件の名義は会社のまま変わりません。買い手は会社の借入や契約、過去の税務も引き継ぐため、事前に会社そのものを調べます。物件だけを売る場合と比べて、税や手続き、手取りの受け取り方が違うため、物件の含み益や会社の借入、売り手の居住国をふまえて選びます。弊社では両方のご相談をお受けしています。

Q. 海外に住んでいる人が日本の不動産を売るときの注意は何ですか。

物件だけを売るときは、買い手が代金から所得税を源泉徴収するのが原則です。不動産を持つ会社の株式を売る場合も、日本で課税されることがあります。住んでいる国での申告と、日本からの送金の手続きも要ります。外貨で見ると、円建ての値上がりが為替で目減りしていることも多いため、売る時期の判断では為替も合わせて見る必要があります。

【引用・転載について】
本記事は、事前のご連絡なしにご自由に引用・転載いただけます(CC BY 4.0)。引用の条件として、出典に「株式会社日本財務戦略センター(JFSC)」の名称と当記事へのリンクを明記してください。
Webサイトでの引用タグ(そのままコピーしてお使いください)
<a href="https://jfsc.jp/research/japan-real-estate-crossroads-2026/">岐路に立つ日本の不動産ブーム ── 2026年からの下がる要因、上がる要因|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「岐路に立つ日本の不動産ブーム ── 2026年からの下がる要因、上がる要因」(2026年10月9日) https://jfsc.jp/research/japan-real-estate-crossroads-2026/
※ JFSCが集計・加工・分析した結果(集計値・集計表・図表・指標・分析と見解)は、この条件で引用いただけます。他機関(官公庁・調査会社など)が公表した数値や文章そのものは、それぞれの元資料の利用条件に従ってください。

出典

五十嵐悠一
監修・執筆責任者
株式会社日本財務戦略センター 代表取締役。京都大学経済学部経営学科(マーケティングゼミ専攻)卒。損害保険ジャパン本店営業部(企業リスク・法務)を経て、東証上場M&A仲介会社にて多数の成約に従事。2020年に株式会社日本財務戦略センターを創業し、M&A・事業承継・財務戦略を専門としています。日本CFO協会認定 プロフェッショナルCFO M&Aエキスパート/中小企業庁 M&A支援機関登録事業者/一般社団法人M&A支援機関協会 正会員/中小M&Aガイドライン第3版 遵守宣言済です。

本稿は、日本銀行・国土交通省・財務省などの公表資料、民間の調査機関の公表資料、および国土交通省「不動産取引価格情報」等を弊社で集計した結果に基づく市場の見立てです。将来の価格や為替の動きを保証するものではなく、個別の物件の価格や売買の判断を示すものでもありません。売却に伴う税務については、税理士などの専門家にご確認ください。
中央値はその期間に取引された物件の顔ぶれで動きます。件数の少ない地域の値は大きく振れることがあります。
記載に誤りがある可能性があります。お気づきの点がありましたら、お問い合わせよりご連絡ください。速やかに確認のうえ対応いたします。

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