公開日:2023年5月12日 /最終更新日:2024年7月24日
2022年は新型コロナウイルスの感染拡大による経済的な打撃を受けた中小企業が多く、休廃業や倒産が増加すると予想されていました。
しかし政府や金融機関の支援策により、事業継続を図る企業が多く見られました。一方で、物価高や人手不足などの課題に直面し、市場からの撤退を決断する企業も少なくありませんでした。
この記事では2022年の中小企業の休廃業・倒産動向をデータに基づいて分析し、今後の対策について考えてみたいと思います。
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Toggle2022年の休廃業・倒産件数は2年ぶりに増加
東京商工リサーチ(TSR)が発表した「休廃業・解散企業」動向調査によると、2022年(1-12月)の「休廃業・解散」企業(以下、休廃業企業)は、全国で4万9,625件(前年比11.8%増)で2年ぶりに増加しました。
2000年に調査を開始以降、2020年の4万9,698件にほぼ並ぶ、過去2番目の高水準となりました。
また帝国データバンク(TDB)が発表した「全国企業「休廃業・解散」動向調査」によると、2022年の休廃業・解散件数(全国)は5万3426件で、前年から約1300件減少しましたが、3年連続減少という傾向は変わりませんでした。
休廃業企業のうち「資産超過型休廃業」は63.4%を占め、「黒字」休廃業は54.3%となりました。
これらは事業継続に必要な資金や人材が確保できないなどの理由で、市場からの撤退を選択した企業を示しています。
特に「黒字」休廃業は過去最低を更新し、収益力低下の企業で「あきらめ」が加速した可能性があります。
一方で2022年は企業倒産も3年ぶりに増加に転じました。
TSRが発表した「全国企業倒産速報」によると、2022年(1-12月)の全国企業倒産件数は6,376件(前年比7.8%増)でした。
TDBが発表した「全国企業倒産動向調査」によると、2022年の全国企業倒産件数は6,376件(前年比7.8%増)でした。
TDBが発表した「全国企業倒産動向調査」によると、2022年の倒産件数は6,377件(前年比7.9%増)でした。
どちらの調査でも倒産件数は3年ぶりに増加に転じたことが分かります。
倒産の要因としては、新型コロナウイルスの感染拡大による売上減少や資金繰り悪化が最も多く、約4割を占めました 。
また物価高や後継者や人手不足などの経営環境の悪化も、倒産の引き金となりました。
特に飲食や旅行などの接客業や、イベントや娯楽などのサービス業は倒産件数が多く、前年比で大幅に増加しました 。
なお後継者難によるものは4.1%を占めています。
倒産企業のうち、「負債超過型倒産」は67.5%を占め、「赤字」倒産は76.1%となりました。
これらは事業継続に必要な資金や人材が確保できず、市場からの撤退を余儀なくされた企業を示しています。
特に「赤字」倒産は過去最高を更新し、収益力低下の企業で「諦め」が加速した可能性があります。
以上のように、2022年は休廃業や倒産が増加する一方で、政府や金融機関の支援策が縮小されるという状況にありました。
このような中で、中小企業はどのような対策を取るべきでしょうか。
次の章では、今後の対策と展望について考えてみたいと思います。
今後の対策と展望
休廃業や倒産を防ぐためには、中小企業が自ら事業環境の変化に対応できる力を高めることが重要です。
そのためには、以下のような対策が考えられます。
- デジタル化やオンライン化などの事業モデルの変革やイノベーションを推進することで、新たな顧客ニーズや市場を開拓する。
- コスト削減や収益改善などの経営効率化を図ることで、収益力や競争力を強化する。
- 後継者を含む人材育成や採用活動などの人事戦略を見直すことで、後継者・人手不足や離職率の低減を図る。
- 経営計画や財務計画などの中長期的なビジョンを明確にすることで、事業継続性や成長性を高める。
- 政府や金融機関の支援策を有効に活用することで、資金繰りや事業再生の支援を受ける。
これらの対策は、一朝一夕に実現できるものではありませんが、中小企業が持続可能な経営を目指すためには必要不可欠です。
またこれらの対策は、単独で行うよりも、他の企業や団体と連携することで、より効果的になる可能性があります。
例えば同じ業界や地域の企業同士で情報交換や協力を行ったり、専門家やコンサルタントに相談したりすることです。
今後の展望としては新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、経済活動が回復することが望まれます。
しかしそれだけでは不十分であり、中小企業は常に変化に対応し続ける必要があります。
そのためには自ら学び続ける姿勢や挑戦する意欲が重要です。
場合によってはM&Aを行うことで他のグループと一緒になることで乗り越えるということも考える必要があるかもしれません。
休廃業や倒産は、中小企業だけでなく、社会全体にとっても大きな損失です。
中小企業は日本経済の基盤であり、多様な価値やサービスを提供しています。
そのため中小企業が存続し発展することは、日本社会の持続可能性や活力にもつながります。
この記事では、2022年の中小企業の休廃業・倒産動向と今後の対策について考えてみましたが、これからも中小企業の現状や課題に注目していきたいと思います。
弊社においてもM&Aにおける事業承継という手段でお手伝いできることがあると思います。
ぜひお気軽にご相談ください。
出典
: 東京商工リサーチ、2022年「休廃業・解散企業」動向調査の結果を発表 https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP647534_W3A110C2000000/
: 全国企業「休廃業・解散」動向調査(2022年)| 株式会社 帝国データバンク [TDB] https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230106.html
: 全国企業倒産速報(2022年)| 東京商工リサーチ https://www.tsrnet.co.jp/news/analysis/20230114_01.html
: 全国企業倒産動向調査(2022年)| 株式会社 帝国データバンク [TDB] https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230105.html
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