補助金に採択された会社は、その後どうなったのか

株式会社日本財務戦略センター|独自調査|2026年10月19日公開

補助金に採択された会社は、その後どうなったのか

ものづくり・事業再構築など7.9万件を法人番号で追った

この記事の要点

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<a href="https://jfsc.jp/research/subsidy-adoption-followup-japan/">補助金に採択された会社は、その後どうなったのか ── ものづくり・事業再構築など7.9万件を法人番号で追った|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「補助金に採択された会社は、その後どうなったのか ── ものづくり・事業再構築など7.9万件を法人番号で追った」(2026年10月19日) https://jfsc.jp/research/subsidy-adoption-followup-japan/
※ JFSCが集計・加工・分析した結果(集計値・集計表・図表・指標・分析と見解)は、この条件で引用いただけます。他機関(官公庁・調査会社など)が公表した数値や文章そのものは、それぞれの元資料の利用条件に従ってください。

1. 何を調べたか

補助金は、採択されたあとに事業がどうなったかが外から見えにくいお金です。採択一覧は公表されていますが、その会社が数年後にどうなったかを、まとめて追った資料は多くありません。

そこで、公表されている採択一覧から法人番号を取り出し、国税庁の法人番号公表サイトの全件データ(閉鎖の日と理由が入っています)と、官報の破産手続開始の公告をまとめた台帳に突き合わせました。

調べた範囲

制度手元にある回法人番号のある採択(件)
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(一般型)第1〜23次41,155
同 グローバル枠第4〜13次321
事業再構築補助金第1・5〜13回24,820
中小企業省力化投資補助金(一般型)第1〜6回7,388
中小企業新事業進出補助金第1〜4回2,770
小規模事業者持続化補助金1回分1,029
IT導入補助金1回分686
中小企業成長加速化補助金第1〜2回430

2. 何度も採択される会社

採択回数社数
1回60,878
2回7,239
3回947
4回88
5回10
被保険者数社数
5人未満3
5〜19人28
20〜49人24
50〜99人27
100〜299人15
300人以上1

厚生年金の被保険者数は従業員の総数と同じではありませんが(パートや役員の扱いで差が出ます)、この数字で見る限り、何度も採択されているのは大企業ではなく、中小の会社が中心でした。業種は今回は集計していません。

3. 採択後に閉鎖・破産した会社

閉鎖(国税庁の法人番号データ、2026年9月30日時点)

制度採択企業清算の結了等合併による解散等破産手続開始の公告
ものづくり(一般型)38,718社287191157
事業再構築24,687社18179141
省力化投資7,356社034
新事業進出2,748社001
ものづくり(グローバル枠)317社502

※ 1社が複数の制度に採択されている場合、それぞれの制度に数えています。そのため、制度ごとの数を足すと全体より多くなります(破産手続開始の公告は制度ごとの合計305件、会社で数えると294社)。
※ 省力化投資・新事業進出は2025年以降の新しい制度で、採択からの時間が短いため、閉鎖が少ないのは自然です。

閉鎖した年は、2021年9社、2022年34社、2023年79社、2024年143社、2025年251社、2026年(9月まで)211社で、年を追って増えています。採択企業の数そのものが年々増えていることも一因です。

採択回数ごとの閉鎖・破産

採択回数社数清算の結了等破産手続開始の公告
1回60,878455(0.75%)279(0.46%)
2回7,23912(0.17%)15(0.21%)
3回以上1,04500

※ 清算の結了等は455+12=467社、破産手続開始の公告は279+15=294社で、全体の数と一致します。清算と破産公告の両方に当たる会社(破産手続が終わって閉鎖の登記まで済んだ会社)が132社あります。

この差は、二つの向きの関係が混ざったものです。

今回の集計では、この二つを分けることはできず、どちらがどの程度効いているかも分かりません。また、「0社」は今回の調べた範囲(法人番号の付いた破産公告・2026年9月30日までの閉鎖)での結果で、この先も閉鎖や破産がないという意味ではありません。破産公告の拾い漏れや、清算以外の形で事業をやめた会社(休眠など)は含まれません。

4. 法人全体と比べた年ごとの清算率

年採択企業(年初に存続)うち清算清算率法人全体の清算率
20214,18610.02%0.81%
202213,54960.04%0.79%
202333,571420.13%0.91%
202449,310990.20%0.99%
202555,9431690.30%1.03%
2026(1〜9月)60,9401460.24%0.79%

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この差をどう読むか

採択企業の清算率は、法人全体のおよそ3分の1から4分の1でした。ただし、これをそのまま「補助金をもらった会社はつぶれにくい」と読むことはできません。この差には、次のような仕組みがいくつも重なっています。

  1. 比べる相手が広すぎます。 法人全体には、事業をしていない休眠会社や、もともと畳む予定の会社が多く含まれます。採択企業は、事業計画を出して審査に通った、動いている会社です。
  2. 名簿が後から更新されています。 事業再構築補助金の第8〜13回は、公式サイトに残っている「現時点の名簿」で、辞退や取消になった会社が除かれています(第13回は公表の採択1,101件に対し、名簿の行は約839件でした)。破綻して取消になった会社が名簿から消えていれば、清算率は低く出ます。
  3. 採択からの時間が短い会社が多くいます。 補助事業の成果は、事業計画期間(3〜5年)の後半に出てきます。2024年以降の採択企業は、まだその途中です。
  4. 会社の年齢がそろっていません。 「年初に存続」している会社どうしでも、設立からの年数の分布は、採択企業と法人全体で違います。設立間もない会社と古い会社では、閉じる割合が違います。
  5. 選ぶ仕組みそのものが入っています。 審査は、事業計画が立ち、財務が一定の水準にある会社を選びます。採択企業がつぶれにくく見えるのは、審査が選んだ結果でもあります。

つまり、この表は補助金の効果を示すものではありません。採択された会社の集まりが、その後どういう状態にあるかを記録したものです。

初めて採択された年ごとに、追う期間をそろえると

採択の時期の違いをならすため、初めて採択された年ごとに、そこから1年・2年・3年以内に清算した会社の割合を出しました(2026年9月30日までに期間を追い切れた会社だけで数えています)。

初めて採択された年1年以内2年以内3年以内
20200/4,218(0.00%)5/4,218(0.12%)12/4,218(0.28%)
20210/9,448(0.00%)8/9,448(0.08%)19/9,448(0.20%)
20229/20,234(0.04%)42/20,234(0.21%)117/20,234(0.58%)
20234/15,953(0.03%)20/15,953(0.13%)39/12,797(0.30%)
20242/6,828(0.03%)7/5,456(0.13%)―

採択から1年以内に清算した会社はほとんどなく、2〜3年たつと少しずつ出てきます。2022年に初めて採択された会社は、3年以内の清算が0.58%と、ほかの年より高くなっています。ただし、この表も比べる相手を置いていないので、高い・低いの評価はできません。

5. 補助金の金額について

採択一覧には、補助金の金額は載っていません。参考までに、制度の上限は次のとおりです。

gBizINFO(経済産業省の法人情報サイト)には、事業再構築補助金の交付額が載っている会社があります。4回以上採択された98社のうち74社に記録があり、最も多い会社で2件・2億650万円でした。ものづくり補助金の交付額は、ここには載っていませんでした。

6. わからないこと

次の段階としては、業種・規模・設立年が近い採択されていない会社と比べることが考えられます。ただ、そこまでしても、審査でどういう会社が選ばれたかを考えに入れないと、補助金の効果を取り出すことはできません。

よくある質問

Q. 補助金に採択された会社は、つぶれにくいのですか。

A. 今回の調査では、採択企業の年ごとの清算率は0.02〜0.30%で、法人全体(0.79〜1.03%)より低くなっていました。ただし、法人全体には休眠会社が多く含まれること、採択名簿が後から更新されていること、審査で選ばれた会社であることなどの違いがあり、この差を補助金の効果と読むことはできません。

Q. 採択された会社のうち、閉鎖や破産をした会社はどのくらいですか。

A. 法人番号のある6万9,162社のうち、2026年9月30日時点で727社が閉鎖していました(清算の結了等467社、合併による解散等260社)。2024年3月以降の官報で破産手続開始の公告が確認できたのは294社で、法人番号で照合できた分だけの下限の値です。

Q. 何度も採択されているのは、大きな会社ですか。

A. 今回集めた範囲で4回以上採択された98社の厚生年金の被保険者数は、中央値37人、最大443人で、300人以上は1社でした。被保険者数は従業員の総数と同じではありませんが、この数字で見る限り、大企業ではなく中小の会社が中心です。

Q. 採択一覧から、補助金の金額は分かりますか。

A. 採択一覧には金額は載っていません。実際に支払われる額は、設備を導入して実績を報告したあとに、かかった費用に応じて決まります。gBizINFOには事業再構築補助金の交付額が載っている会社がありますが、ものづくり補助金の交付額は載っていませんでした。

Q. この調査で分からないことは何ですか。

A. 実際に支払われた金額、採択後に辞退・取消になった会社の数と理由、補助金を受けた事業が売上や雇用を伸ばしたかどうかは分かりません。採択企業と法人全体の差を、補助金の効果と切り分けることもできません。

この記事が示すもの

この記事は、「補助金をもらった会社はつぶれにくい」と示すものでも、補助金の使い方を批判するものでもありません。公表されている採択一覧を法人番号でつなぐと、採択された会社のその後について、どこまで追えて、何が分かり、何が分からないのか。それを7万8,599件の採択記録で示したものです。数字の評価は、読む方にお任せします。

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※ JFSCが集計・加工・分析した結果(集計値・集計表・図表・指標・分析と見解)は、この条件で引用いただけます。他機関(官公庁・調査会社など)が公表した数値や文章そのものは、それぞれの元資料の利用条件に従ってください。

調べ方と出典

五十嵐悠一
監修・執筆責任者
株式会社日本財務戦略センター 代表取締役。京都大学経済学部経営学科(マーケティングゼミ専攻)卒。損害保険ジャパン本店営業部(企業リスク・法務)を経て、東証上場M&A仲介会社にて多数の成約に従事。2020年に株式会社日本財務戦略センターを創業し、M&A・事業承継・財務戦略を専門としています。日本CFO協会認定 プロフェッショナルCFO M&Aエキスパート/中小企業庁 M&A支援機関登録事業者/一般社団法人M&A支援機関協会 正会員/中小M&Aガイドライン第3版 遵守宣言済です。

本稿は、公表資料をもとにした弊社の独自調査であり、個別の会社の評価や、補助金制度・特定の取引の評価・勧誘を目的とするものではありません。
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