建設会社は、どう潰れるのか

株式会社日本財務戦略センター|独自調査|2026年9月16日公開

建設会社は、どう潰れるのか

建設会社の破産を、公告と記事から2,722社ぶん数えました。どの工種が、どの県で、どれだけの負債を抱えて、どんな理由で潰れ、破産手続はどれだけの日数で終わるのか。国土交通省の許可業者数を分母にして破産の率を出し、同じ省が公表している事業承継の認可件数と並べ、破産が建設業の退出全体のどれだけを占めるかも数えました。対象は2024年4月から2026年9月までの29か月です。

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<a href="https://jfsc.jp/research/construction-bankruptcy-japan/">建設会社は、どう潰れるのか ── 破産2,722社の負債・原因・日数を数えた|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「建設会社は、どう潰れるのか ── 破産2,722社の負債・原因・日数を数えた」(2026年9月16日) https://jfsc.jp/research/construction-bankruptcy-japan/
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結論

この調査で数えたこと

本調査の件数は、台帳で業種が確認できた社を数えた下限値です。業種が判らず外した社と、台帳に載らなかった社は含まれていません。以下の各章の件数は、すべてこの下限値として読んでください。

建設会社の破産手続開始の月別・工種別の件数(2024年4月〜2026年9月)
図1 建設会社の破産手続開始の月別・工種別の件数(2024年4月〜2026年9月)(クリックで拡大)

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1 どの建設会社が潰れているか

対象は、官報の破産公告と、東京経済・JC-NETの倒産記事を合わせた台帳19,616社のうち、業種が建設と判る1,849社と、業種は不明だが商号に建設・工務店などの語がある873社の計2,722社です。商号が「工業」「設備」「電気」だけで業種が判らない320社は、製造業が混ざるため集計から外しています。抽出の規則はAPPENDIX Bにあります。

年別では、2024年(4月から)832社、2025年1,116社、2026年(9月まで)774社でした。月あたりでは2024年が92社、2025年が93社、2026年が86社で、この29か月の間、月に80〜120社の建設会社が破産手続に入っています。

工種

工種は東京経済・JC-NETの業種表記を8つに正規化しました。建築が746社(27%)で最も多く、内装・塗装・リフォーム・外構が494社(18%)、とび土工・解体・躯体が327社、土木が270社、電気・通信が172社、設備・管が153社です。分類しきれない「その他建設」が352社、商号が「〇〇建設」で工種が判らないものが208社あります。

工種2024年(4月〜)2025年2026年(〜9月)
建築241298207746
内装・塗装・リフォーム・外構140211143494
その他建設96149107352
とび土工・解体・躯体9613596327
土木8611272270
建設(総合・不明)796465208
電気・通信457849172
設備・管496935153
8321,1167742,722

許可業者数は業種ごとに重複して数えられている(一つの業者が複数の業種の許可を持つ)ため、工種別の率は出していません。

県別の破産率

国土交通省「建設業許可業者数調査」の令和8年3月末の許可業者数を分母にして、29か月の破産件数を1,000業者あたりで並べました。全国は5.6(年率2.3‰)です。

都道府県別の許可業者1,000社あたりの破産件数
図2 都道府県別の許可業者1,000社あたりの破産件数(クリックで拡大)

上位は宮城県11.7(98社/8,391業者)、岩手県11.1(45/4,059)、福島県10.2(87/8,521)、栃木県8.9(65/7,308)、佐賀県8.5(27/3,167)です。下位は島根県1.9(5/2,640)、長崎県2.6(13/5,031)、北海道3.1(61/19,592)、山梨県3.1(11/3,528)、長野県3.3(25/7,688)でした。

東京都は258社で件数は最多ですが、許可業者44,816社に対しては5.8で全国とほぼ同じです。大阪府は194社で4.6、愛知県は177社で6.2です。件数の多い県が率も高いわけではなく、率が高いのは宮城・岩手・福島の3県です。


潰れやすいのは、どんな会社か

分母のある軸だけで、破産した会社と建設業者全体を比べました。比は「破産側の比率÷全体側の比率」で、1より大きければその帯の会社が破産側に多く出ている、という意味です。東京都の軸は、破産した258社のうち東京都の許可業者名簿(令和8年5月時点)に当たった66社だけで計算しています。名簿は破産して許可が消えた社を既に載せていないことがあるので、66社は「破産後も名簿に残っている社」に寄ります。相関で、因果ではありません。

経審の有無

公共工事の入札に要る経営事項審査(経審)を受けている社と、受けていない社で分けました(東京都・都知事許可)。

区分破産側全体側(分母)破産率(‰)
経審あり46,2130.641
許可あり・経審なし6233,5561.852.9
名簿に無い192

経審なしの社の破産率は、経審ありの2.9倍でした。大阪府(経審あり0.51‰・なし2.64‰)、千葉県(経審あり0.32‰・許可名簿全体4.39‰)、神奈川県(0.46‰・5.07‰)でも同じ方向です。ただし、経審を受けている社は破産すると経審の名簿からも早く消えるので、分子は両側で欠けています。水準は信用せず、「公共工事に出ている社の方が破産側に少ない」という方向だけを使います。公共工事が会社を守るのか、余力のある社が公共工事に出ているのかは、このデータでは分かれません。

工種

国土交通省の業種別の許可業者数を分母に、2025年の破産を工種ごとに割りました。分母は1社が複数の業種の許可を持つ延べ数、分子は1社1工種なので、率の水準は低めに出ます。工種の間の順序だけを見ます。

工種破産側(2025年)全体側(延べ許可)破産率(‰)比(設備・管=1)
建築298223,7231.334.8
電気・通信7883,2980.943.4
内装・塗装・リフォーム・外構211483,4710.441.6
土木112287,9480.391.4
とび土工・解体・躯体135386,7700.351.3
設備・管69247,9750.281

建築が最も高く、土木・とび土工・設備の3〜5倍です。建築一式の許可を持つ社は、住宅の新築や改修を元請で受ける社が多く、資材の高騰と受注の減少を直接受けることと整合しますが、この表だけでは理由までは言えません。

法人形態(社齢の代理)

有限会社は2006年以前に設立された会社なので、社齢の代理になります。分母は国土交通省の許可業者名簿47都道府県の法人444,059社、分子は破産した2,722社の全国の値で、この軸だけは全国で分母がそろっています。

形態破産側全体側(分母)破産側比率/全体側比率
株式会社2,015320,62874.0%/72.2%1.03
有限会社663118,28524.4%/26.6%0.91
合同会社404,6091.5%/1.0%1.42
その他法人45370.1%/0.1%1.22

有限会社の比は0.91で、古い会社ほど潰れやすいという形は全国では見えません。むしろわずかに低い側です。3章で「記事に経緯が書かれた196社では30年以上が58%」と書きましたが、それは記事に載る社の偏りで、全体の傾向ではありません。合同会社の1.42は40社の値で、幅を持って読んでください。

許可の古さ

東京都の名簿の許可年月日は直近の更新日で、社齢には使えません。許可番号は初回取得時に付き更新で変わらないので、番号の小ささを初回許可の古さの代理にしました(失効して取り直すと新しい番号になります)。

許可番号の帯(名簿側の四分位)破産側全体側(分母)破産側比率/全体側比率
古い25%1810,25127.3%/25.8%1.06
25〜50%1610,02324.2%/25.2%0.96
50〜75%189,78327.3%/24.6%1.11
新しい25%149,71221.2%/24.4%0.87

四分位のどこにも差は出ませんでした。破産側66社の値です。

資本金

資本金の帯(東京都)破産側全体側(分母)破産側比率/全体側比率
500万円未満2012,80930.3%/32.2%0.94
500万〜1,000万円未満126,85218.2%/17.2%1.06
1,000万〜2,000万円未満2511,46137.9%/28.8%1.31
2,000万〜1億円未満97,68013.6%/19.3%0.71
1億円以上09670%/2.4%

1,000万〜2,000万円の帯が1.31で最も高く、1億円以上は967社のうち破産側に0でした。破産側が66社なので、帯ごとの差は数社で動きます。

会社の規模(従業員数)は、厚生年金の被保険者数の台帳と法人番号で突き合わせましたが、当たったのが2,722社のうち25社(0.9%)で、軸として出せませんでした。


2 承継と破産は、ほぼ同数

建設業の許可は、会社が変わると原則として引き継げません。2020年10月の建設業法改正で、事業の譲渡・合併・分割(17条の2)と相続(17条の3)について、事前に認可を受ければ許可を引き継げるようになりました。国土交通省はこの認可件数を都道府県別に公表しています。

令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の認可は1,092件でした。内訳は譲渡及び譲受け954件、合併79件、分割33件、相続26件です。同じ年に破産手続が始まった建設会社は1,116社です。全国では、潰れた数と許可ごと引き継がれた数が同じ桁にあります。ただし認可は事業譲渡・合併・分割・相続に限られ、破産は業種が判る社に限っているので、二つの数の母集団は同じではありません。制度開始の令和2年度から令和7年度までの認可の累計は5,574件です。

都道府県別の承継認可(令和7年度)と破産(2025年)
図3 都道府県別の承継認可(令和7年度)と破産(2025年)(クリックで拡大)

県で見ると、様子が違います。

都道府県承継の認可(R7年度)破産(2025年)承継÷破産
福岡県88661.33
大阪府69700.99
東京都551030.53
兵庫県55401.38
京都府53301.77
愛知県51690.74
埼玉県47550.85
神奈川県41610.67
石川県3384.12
宮城県11460.24
福島県7440.16
岩手県3200.15

承継の認可は知事許可分の合計で、大臣許可分の28件は県に割り付けていません。福岡・京都・兵庫・石川は承継が破産を上回り、東京・宮城・福島・岩手は破産が承継を大きく上回ります。破産率が高い東北3県では、承継の認可が年に3〜11件しかありません。

この認可件数は「許可を引き継ぐ形での承継」だけです。株式譲渡で会社ごと引き継ぐ場合は許可が会社に残り、認可の対象外なので、この数には出ません。事業譲渡や合併で許可を引き継いだ件数が破産と同じ桁で存在することが、この公表値から言える範囲です。


3 負債はいくらか

記事・公開速報(JC-NET 205社、東京商工リサーチ TSR速報・帝国データバンク 倒産速報 計3社)に負債総額の記載があったのは208社です。中央値は1.9億円、四分位は1.3億円から3.42億円でした。

負債総額の分布と工種別の中央値
図4 負債総額の分布と工種別の中央値(クリックで拡大)
負債総額社数割合
5千万円以下105%
5千万円超〜1億円3416%
1億円超〜3億円10852%
3億円超〜5億円3215%
5億円超〜10億円178%
10億円超73%

67%が1億円から5億円の間にあります。工種別の中央値は建築2億円(68社)、内装・塗装・リフォーム・外構1.9億円(31社)、土木1.8億円(29社)、その他建設2.4億円(23社)、とび土工・解体・躯体1.45億円(18社)、電気・通信2.4億円(18社)、設備・管1.75億円(16社)で、工種による差は大きくありません。

同じ記事から、設立または創業の年が199社、資本金が176社、最盛期の売上高が191社で取れました。

項目取れた社数中央値分布
社齢(2025年時点)19935年10年未満 16社(8%)、10〜20年 44社、20〜30年 23社、30〜50年 60社、50年以上 56社(28%)
資本金1761,000万円1,000万円以下が69%
最盛期の売上高1913.5億円記事に書かれた最も大きい年の売上高
負債÷最盛期の売上高1840.60両方が取れた社

社齢の中央値が35年で、30年以上の会社が58%を占めます。設立10年未満は8%です。ただしこれは記事に載る社の偏りで、全国の許可業者名簿を分母にすると、古い会社ほど潰れやすいという形は出ません(前掲「潰れやすいのは、どんな会社か」の法人形態の表)。負債は最盛期の売上高の6割で、売上が落ちてから潰れるまでに、最盛期の年商の半分前後の借入が残っている形です。

これらの数字は、記事や速報に金額が書かれた社に限られます。金額まで書かれるのは記事にする価値があると判断された社で、小さな社や地方の社は金額なしで済まされやすいと考えられます。負債の中央値は、実際の全体より大きい側に寄っている可能性があります。


4 なぜ潰れたか

記事の本文があった1,629社のうち、所在地・開始決定日・管財人だけの官報の要約ではなく、経緯が書かれていたのは301記事でした(記事と公開速報(JC-NET 297本、東京商工リサーチ TSR速報・帝国データバンク 倒産速報 計5本))。この301記事について、計算前に固定した10種類の語彙(APPENDIX C)で原因を数えました。1記事に複数の原因が当たることがあります。

記事に書かれた破産の原因
図5 記事に書かれた破産の原因(クリックで拡大)
原因件数301記事に占める割合
コロナ・ゼロゼロ融資の返済9231%
受注減・売上減7425%
資材・人件費の高騰4816%
公共工事の減少83%
工事代金の未回収・取引先の倒産(連鎖)72%
人手不足62%
代表者の死亡・病気52%
粉飾・不正・横領41%
後継者不在10%
上のどれも当たらない14548%

半分の記事には原因の語がありません。その145記事のうち、資金繰りの悪化や債務超過の語だけがあるものが14記事で、残りは事業内容と売上の推移だけが書かれています。「原因の語が無い」は「原因が無い」ではなく、記事が書いていないという意味です。

書かれた範囲では、コロナ・ゼロゼロ融資の返済が最も多く、受注減・売上減、資材・人件費の高騰が続きます。工種別では建築で高騰の語が26件、コロナ融資が37件、とび土工・解体ではコロナ融資12件に対して高騰は2件でした。人手不足は6件で、報道で言われる「人手不足倒産」は、少なくとも記事の語彙には多く出てきません。記事は取材した内容を書くので、記者が聞いた理由と、実際に効いた理由は同じとは限りません。


5 潰れてから、どう終わるか

破産手続は、裁判所の開始決定で始まり、財産を換価して債権者に配当して「終結」するか、配当に足りる財産が無く「廃止」で終わります。官報の公告を法人番号で結び、開始から廃止または終結までの日数を数えました。

2,722社のうち、終わり方が官報で確認できたのは廃止419社と終結131社の550社です。594社は開始の公告はあるがまだ終わっておらず、1,578社は東京経済の記事だけで官報の公告と結べていないため不明です。

破産手続開始から廃止・終結までの日数
図6 破産手続開始から廃止・終結までの日数(クリックで拡大)
終わり方社数中央値四分位90%点
廃止(配当なし)419159日98〜268日371日
終結(配当あり)131315日240〜406日559日
合計550195日105〜309日

終わりが確認できた550社の4社に3社は廃止、つまり債権者への配当がないまま終わっています。廃止までの中央値は159日で、半年前後です。配当がある終結は中央値315日で、廃止の2倍かかります。工種別の中央値は154日から258日の間にあり、大きな差はありません。

法人の破産では、開始と同時に廃止になる「同時廃止」はほとんどなく、管財人が付いて後から廃止になる「異時廃止」が普通です。今回使った官報の公告の種別は開始・廃止・終結の3つで、同時廃止と異時廃止は区別できません。上の日数は、開始の公告と廃止の公告が別の日にあった社の値です。

裁判所別では、破産手続開始から最初の債権者集会までの日数(全業種・JC-NET記事由来)が東京地裁86日、大阪地裁91日、名古屋地裁96日、横浜地裁98日、福岡地裁76日で、裁判所による差は小さく、どこでも3か月前後です。


6 破産は、退出の何割か

建設会社が業界からいなくなる道は、破産だけではありません。国土交通省の調査では、令和7年度に建設業の許可が失効した業者は17,998で、その内訳は廃業の届出が8,273、許可の更新をしなかったことによる失効が9,725です。同じ年度に新規に許可を取った業者は18,121で、許可業者の総数は483,823と前年からほぼ横ばいでした。

2025年に破産手続が始まった建設会社1,116社は、この失効17,998の6.2%にあたります。建設業からの退出の9割以上は、破産ではなく、届出をして廃業するか、更新をせずに許可を失うかのどちらかです。

登記から消えた建設系の法人(閉鎖事由別・2016〜2025年)
図7 登記から消えた建設系の法人(閉鎖事由別・2016〜2025年)(クリックで拡大)

国税庁の法人番号公表サイトで、商号に建設・工務店・土木などの語を含む法人が登記から消えた件数を、閉鎖の事由別に数えました。2024年は清算の結了が2,228、合併が77、登記官の職権による閉鎖が444でした。2025年の職権閉鎖が4,038に跳ねているのは、2014年度に「みなし解散」とされた法人の登記が10年後に一括で閉鎖されたためで、倒産が増えたのではありません。この点は別稿「倒産と破産と自主廃業は、違う」で確かめています。

破産した法人も、手続が終われば清算の結了として同じ表に出てくるので、破産件数と清算件数を足すことはできません。この表は、建設系の法人が毎年2,000社台の規模で登記から消えていて、そのうち合併で消えるのは60〜90社しかない、という形を見るためのものです。


7 潰れる前に、何ができるか ── 準則型私的整理とスポンサー型の事業再生

本調査の数字を、まだ潰れていない会社の側から読み直します。破産手続に入ってからでは、事業は残りません。終わりが確認できた550社のうち4社に3社は配当のない廃止で、開始の公告から廃止まで中央値159日でした。管財人は財産を換価して債権者に配る役目で、工事の受注や従業員の雇用を続けることはしません。事業を残す判断は、手続に入る前にしかできないことになります。

準則型私的整理とは

破産や民事再生のような法的整理と、当事者の話し合いだけで進める私的整理の間に、公表された手続の準則に沿って進める「準則型私的整理」があります。対象になる債権は原則として金融機関の借入に限られ、工事代金や資材の買掛金のような商取引の債権は対象に入れず、通常どおり支払います。建設会社にとっては、下請や資材の取引先を巻き込まず、建設業の許可と技術者を会社に残したまま、金融債務だけを整理できる点に意味があります。法的整理と違い、計画は対象になる金融債権者の全員の同意で成立します。

手続の種類

手続概要主な対象公表されている件数
中小企業活性化協議会全都道府県に設置された公的な相談窓口。相談から再生計画の策定(金融機関の支援を含む)まで支援し、廃業型の計画も扱う中小企業2025年度の相談10,081件(前年度比+15%)、再生支援完了1,212件、収益力改善支援完了1,065件。累計では相談86,253件、再生計画の策定21,034件。2025年度の相談企業のうち建設業は1,371件(13.8%)
中小企業の事業再生等に関するガイドライン2022年4月15日に適用が始まった私的整理の手続。第三者支援専門家が関与し、再生型と廃業型がある中小企業件数の公表値は本稿では確認できていません
事業再生ADR事業再生実務家協会が運営する裁判外の手続。第三者が金融債権者との調整を仲介する比較的規模の大きい会社申請は累計290社(2023年10月時点)
特定調停簡易裁判所の調停手続。経営者保証に関するガイドラインと併せて使われることがある小規模の会社を含む件数は本稿では確認していません
地域経済活性化支援機構(REVIC)官民が出資する機構による再生支援地域の中堅・中小企業

活性化協議会への相談の経路は、累計で金融機関からが47.8%、会社本人からが41.8%です。相談した会社のうち計画の策定まで進んだのは累計で35.3%、相談の段階で課題の整理を受けたのが49.4%、協議会での私的再生が難しいと判断されたのが3.4%でした。

スポンサー型の事業再生と第二会社方式

自力で返済計画を組めない場合に、事業を引き継ぐ相手(スポンサー)を探して事業だけを残す型があります。スポンサーの選び方には、複数の候補から条件を比べる入札型と、特定の相手と交渉する随意型があります。

第二会社方式は、事業譲渡または会社分割で、事業と従業員をスポンサー側の新会社に移し、残った旧会社を特別清算または破産で整理する型です。建設会社では、このときに建設業法17条の2の承継認可を使えば、許可を新会社に引き継げます。認可は譲渡や分割の前に受ける必要があり、令和7年度の認可は全国で1,092件でした。公共工事の入札参加資格は発注者ごとの登録なので、承継先で別に手続が要る場合があります。

金融機関がこうした計画に同意する根拠は、破産で配当を受けるより多く回収できる計画であることです(清算価値保障原則)。本調査の範囲では、破産した場合に金融機関へ配当が届いた社(終結)は、終わりが確認できた550社のうち4社に1社でした。

経営者の保証

会社の借入に経営者が個人保証を付けている場合、経営者保証に関するガイドラインで保証債務を整理できます。早い段階で事業再生や廃業を決断した経営者には、自由財産の99万円に加えて年齢などに応じた100万円から360万円の生活費を残すこと、華美でない自宅に住み続けることを検討し、返しきれない保証債務の残額の免除を検討する、とガイドラインは定めています。活性化協議会がこのガイドラインに基づいて弁済計画の策定を支援し完了した件数は、令和8年3月末までの累計で2,901件です。

いつ動くか

準則型私的整理は、事業に収益性があり、資金繰りが尽きる前でなければ入れません。本調査の数字で目安を置きます。

負債÷最盛期の売上高社数割合
0.3未満2614%
0.3〜0.53620%
0.5〜0.86334%
0.8〜1.02111%
1.0以上3821%

この調査を、建設業の事業承継にどう使うか

本調査は、破産を増やすための資料ではありません。財務(負債と最盛期売上の比)、許認可(建設業許可・経審)、工種、規模、退出の経路(破産・廃業届・許可失効・承継認可)を一つずつ確かめて、建設会社がまだ事業を残せる段階にあるかを考えるための基礎資料です。
当社は建設業のM&A・事業承継を実際に支援しています。土木工事業・新潟県・年商4億400万円の会社を株式譲渡で地場準大手グループに引き継ぎ、許可・経審・入札資格を継続した成約と、破産も覚悟していた地場の建設会社で、スポンサーを探して従業員全員の雇用と外注先との取引関係を維持する条件でM&Aが成立した再生型の支援があります。
建設業に固有の論点は、建設業許可の承継(17条の2の認可か株式譲渡か)、経審、入札参加資格、経営業務の管理責任者、専任技術者、従業員と外注先の引き継ぎです。進め方は建設会社のM&Aと事業承継の進め方にまとめています。


8 工種別の一覧(建設業許可の29業種)

建設業許可の29業種ごとに、本調査の台帳で該当した会社の数、2025年の件数、県別の上位、負債総額の中央値(金額のある社が10社以上の業種のみ)、記事に書かれた原因の上位を並べました。判定は業種の表記・商号・記事の「同社は〇〇業で」の句によるもので、1社が複数の業種に当たることがあります。件数は台帳で判定できた数で、実際の倒産件数の下限です。5社未満の業種も行を残しています。

土木一式工事業の倒産・破産

土木一式工事業(土木工事業)と判定した会社は282社で、2025年は115社でした。県別に多いのは福岡県29・愛知県17・静岡県16です。負債総額の中央値は1.7億円(金額のある35社)。記事に書かれた原因はコロナ関連融資の返済13件、受注減9件(経緯のある48記事)。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、土木工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

建築一式工事業の倒産・破産

建築一式工事業(建築工事業)と判定した会社は886社で、2025年は355社でした。県別に多いのは東京都94・大阪府61・愛知県58です。負債総額の中央値は2億円(金額のある81社)。記事に書かれた原因はコロナ関連融資の返済40件、受注減32件(経緯のある111記事)。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、建築工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

大工工事業の倒産・破産

大工工事業(大工工事業)と判定した会社は38社で、2025年は10社でした。県別に多いのは広島県4・静岡県4・福岡県4です。負債総額は金額のある社が3社で、中央値は出していません。経緯が書かれた記事が少なく、原因は集計していません。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、大工工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

左官工事業の倒産・破産

左官工事業(左官工事業)と判定した会社は14社で、2025年は7社でした。県別に多いのは東京都3・埼玉県3・北海道1です。負債総額は金額のある社が0社で、中央値は出していません。経緯が書かれた記事が少なく、原因は集計していません。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、左官工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

とび・土工・コンクリート工事業の倒産・破産

とび・土工・コンクリート工事業(とび・土工工事業)と判定した会社は190社で、2025年は81社でした。県別に多いのは福島県30・宮城県20・大阪府12です。負債総額の中央値は1.5億円(金額のある10社)。記事に書かれた原因はコロナ関連融資の返済6件、受注減4件(経緯のある21記事)。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、とび・土工工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

石工事業の倒産・破産

石工事業(石工事業)と判定した会社は10社で、2025年は4社でした。県別に多いのは熊本県2・栃木県2・三重県1です。負債総額は金額のある社が1社で、中央値は出していません。経緯が書かれた記事が少なく、原因は集計していません。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、石工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

屋根工事業の倒産・破産

屋根工事業(屋根工事業)と判定した会社は30社で、2025年は15社でした。県別に多いのは神奈川県4・福岡県3・三重県2です。負債総額は金額のある社が1社で、中央値は出していません。経緯が書かれた記事が少なく、原因は集計していません。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、屋根工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

電気工事業の倒産・破産

電気工事業(電気工事業)と判定した会社は149社で、2025年は64社でした。県別に多いのは東京都21・福岡県18・愛知県9です。負債総額の中央値は2.3億円(金額のある11社)。記事に書かれた原因はコロナ関連融資の返済5件、受注減3件(経緯のある12記事)。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、電気工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

管工事業の倒産・破産

管工事業(管工事業)と判定した会社は155社で、2025年は69社でした。県別に多いのは東京都18・神奈川県13・愛知県10です。負債総額の中央値は2億円(金額のある15社)。記事に書かれた原因は受注減8件、コロナ関連融資の返済6件(経緯のある22記事)。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、管工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

タイル・れんが・ブロック工事業の倒産・破産

タイル・れんが・ブロック工事業(タイル工事業)と判定した会社は11社で、2025年は2社でした。県別に多いのは東京都3・佐賀県1・兵庫県1です。負債総額は金額のある社が2社で、中央値は出していません。経緯が書かれた記事が少なく、原因は集計していません。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、タイル工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

鋼構造物工事業の倒産・破産

鋼構造物工事業(鋼構造物工事業)と判定した会社は40社で、2025年は14社でした。県別に多いのは大阪府5・福岡県5・栃木県3です。負債総額は金額のある社が3社で、中央値は出していません。記事に書かれた原因はコロナ関連融資の返済2件(経緯のある5記事)。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、鋼構造物工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

鉄筋工事業の倒産・破産

鉄筋工事業(鉄筋工事業)と判定した会社は25社で、2025年は10社でした。県別に多いのは東京都3・北海道2・福島県2です。負債総額は金額のある社が3社で、中央値は出していません。経緯が書かれた記事が少なく、原因は集計していません。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、鉄筋工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

舗装工事業の倒産・破産

舗装工事業(舗装工事業)と判定した会社は21社で、2025年は9社でした。県別に多いのは大阪府3・東京都3・熊本県2です。負債総額は金額のある社が1社で、中央値は出していません。経緯が書かれた記事が少なく、原因は集計していません。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、舗装工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

しゅんせつ工事業の倒産・破産

しゅんせつ工事業(しゅんせつ工事業)と判定できた会社は、本調査の台帳では5社未満でした。台帳は業種の表記と商号で判定しているので、この業種の許可を持つ会社が別の業種に数えられていることがあります。事業承継の認可(建設業法17条の2)は、この業種の許可も対象です。

板金工事業の倒産・破産

板金工事業(板金工事業)と判定した会社は36社で、2025年は16社でした。県別に多いのは福岡県4・新潟県4・愛知県3です。負債総額は金額のある社が1社で、中央値は出していません。記事に書かれた原因は資材・人件費の高騰1件(経緯のある6記事)。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、板金工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

ガラス工事業の倒産・破産

ガラス工事業(ガラス工事業)と判定できた会社は、本調査の台帳では5社未満でした。台帳は業種の表記と商号で判定しているので、この業種の許可を持つ会社が別の業種に数えられていることがあります。事業承継の認可(建設業法17条の2)は、この業種の許可も対象です。

塗装工事業の倒産・破産

塗装工事業(塗装工事業)と判定した会社は125社で、2025年は59社でした。県別に多いのは東京都16・埼玉県10・愛知県8です。負債総額は金額のある社が5社で、中央値は出していません。記事に書かれた原因は受注減2件、コロナ関連融資の返済1件(経緯のある12記事)。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、塗装工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

防水工事業の倒産・破産

防水工事業(防水工事業)と判定した会社は49社で、2025年は19社でした。県別に多いのは東京都8・大阪府8・福岡県5です。負債総額は金額のある社が2社で、中央値は出していません。経緯が書かれた記事が少なく、原因は集計していません。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、防水工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

内装仕上工事業の倒産・破産

内装仕上工事業(内装工事業)と判定した会社は128社で、2025年は53社でした。県別に多いのは福岡県18・東京都16・大阪府11です。負債総額の中央値は2.1億円(金額のある12社)。記事に書かれた原因は資材・人件費の高騰7件、コロナ関連融資の返済7件(経緯のある14記事)。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、内装工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

機械器具設置工事業の倒産・破産

機械器具設置工事業(機械器具設置工事業)と判定した会社は34社で、2025年は15社でした。県別に多いのは兵庫県4・福岡県4・広島県4です。負債総額は金額のある社が3社で、中央値は出していません。記事に書かれた原因はコロナ関連融資の返済1件(経緯のある6記事)。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、機械器具設置工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

熱絶縁工事業の倒産・破産

熱絶縁工事業(熱絶縁工事業)と判定した会社は7社で、2025年は2社でした。県別に多いのは秋田県2・埼玉県1・大阪府1です。負債総額は金額のある社が0社で、中央値は出していません。経緯が書かれた記事が少なく、原因は集計していません。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、熱絶縁工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

電気通信工事業の倒産・破産

電気通信工事業(電気通信工事業)と判定した会社は30社で、2025年は14社でした。県別に多いのは東京都4・大阪府3・茨城県3です。負債総額は金額のある社が7社で、中央値は出していません。記事に書かれた原因は受注減4件、コロナ関連融資の返済2件(経緯のある8記事)。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、電気通信工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

造園工事業の倒産・破産

造園工事業(造園工事業)と判定した会社は22社で、2025年は11社でした。県別に多いのは栃木県3・兵庫県2・群馬県2です。負債総額は金額のある社が2社で、中央値は出していません。経緯が書かれた記事が少なく、原因は集計していません。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、造園工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

さく井工事業の倒産・破産

さく井工事業(さく井工事業)と判定できた会社は、本調査の台帳では5社未満でした。台帳は業種の表記と商号で判定しているので、この業種の許可を持つ会社が別の業種に数えられていることがあります。事業承継の認可(建設業法17条の2)は、この業種の許可も対象です。

建具工事業の倒産・破産

建具工事業(建具工事業)と判定した会社は11社で、2025年は7社でした。県別に多いのは東京都3・愛知県2・大分県1です。負債総額は金額のある社が1社で、中央値は出していません。経緯が書かれた記事が少なく、原因は集計していません。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、建具工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

水道施設工事業の倒産・破産

水道施設工事業(水道施設工事業)と判定した会社は8社で、2025年は3社でした。県別に多いのは福島県2・福岡県2・愛知県1です。負債総額は金額のある社が1社で、中央値は出していません。経緯が書かれた記事が少なく、原因は集計していません。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、水道施設工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。

消防施設工事業の倒産・破産

消防施設工事業(消防施設工事業)と判定できた会社は、本調査の台帳では5社未満でした。台帳は業種の表記と商号で判定しているので、この業種の許可を持つ会社が別の業種に数えられていることがあります。事業承継の認可(建設業法17条の2)は、この業種の許可も対象です。

清掃施設工事業の倒産・破産

清掃施設工事業(清掃施設工事業)と判定できた会社は、本調査の台帳では5社未満でした。台帳は業種の表記と商号で判定しているので、この業種の許可を持つ会社が別の業種に数えられていることがあります。事業承継の認可(建設業法17条の2)は、この業種の許可も対象です。

解体工事業の倒産・破産

解体工事業(解体工事業)と判定した会社は80社で、2025年は33社でした。県別に多いのは東京都11・愛知県7・福島県6です。負債総額は金額のある社が6社で、中央値は出していません。記事に書かれた原因はコロナ関連融資の返済5件、資材・人件費の高騰1件(経緯のある10記事)。破産手続に入る前に事業を引き継ぐ道として、解体工事業の許可も建設業法17条の2の事業承継の認可の対象です。


9 限界


よくある質問

Q. 建設会社は年に何社くらい破産していますか。

この調査の台帳では、2025年に破産手続が始まった建設会社は1,116社でした。官報の公告と東京経済・JC-NETの記事を法人番号で重ねた台帳で、司法統計の法人破産件数に対しておよそ94%を捕捉しています。業種が判らない社を除いているので、実際はこれより多い可能性があります。

Q. 破産する建設会社の負債はいくらくらいですか。

記事や速報に金額があった208社の中央値は1.9億円で、67%が1億円から5億円の間でした。10億円を超える社は7社です。金額が書かれる社は大きい側に寄りやすいので、全体の中央値はこれより小さい可能性があります。

Q. どの県で建設会社の破産が多いのですか。

件数では東京都258社、大阪府194社、愛知県177社、福岡県168社の順です。許可業者数で割ると、宮城県、岩手県、福島県の3県が1,000業者あたり10社を超え、最も高くなります。

Q. 建設会社が潰れる理由は何ですか。

経緯が書かれた301記事の範囲では、コロナ関連融資の返済に触れる記事が31%、受注減が25%、資材・人件費の高騰が16%でした。半分の記事には原因の語がなく、書かれていない理由は数えられていません。

Q. 破産手続はどれくらいの期間で終わりますか。

官報で終わりが確認できた550社では、配当なしで廃止になるまでの中央値が159日、配当して終結するまでが315日でした。4社に3社は廃止で終わっています。

Q. 建設業の許可は、会社を引き継ぐときにそのまま使えますか。

原則として許可は会社に付くので、事業譲渡や合併で別の会社に移すときは引き継げませんでした。2020年10月の建設業法改正で、事前に認可を受ければ譲渡・合併・分割・相続で許可を引き継げるようになり、令和7年度の認可は全国で1,092件でした。株式譲渡で会社ごと引き継ぐ場合は許可が会社に残るので、認可は不要です。

Q. 破産以外で建設業をやめる会社はどれくらいありますか。

令和7年度に許可が失効した業者は17,998で、うち廃業の届出が8,273、更新をしなかったことによる失効が9,725です。破産1,116社はこの6.2%にあたります。

Q. 公共工事をしている建設会社は潰れにくいですか。

東京都の許可業者で比べると、経営事項審査を受けている社の破産率は0.64‰、受けていない社は1.85‰で、受けていない社が2.9倍でした。大阪・千葉・神奈川でも同じ方向です。ただし経審を受けている社は破産すると名簿から早く消えるので、水準は信用できず、方向だけの話です。公共工事が会社を守るのか、余力のある社が公共工事に出ているのかは、このデータでは分かれません。

Q. 準則型私的整理とは何ですか。

公表された手続の準則に沿って、原則として金融機関の債権だけを対象に、全員の同意で返済計画を組む私的整理です。中小企業活性化協議会、中小企業の事業再生等に関するガイドライン(2022年4月適用)、事業再生ADRなどがあります。活性化協議会の2025年度の相談は10,081件、再生支援の完了は1,212件でした(中小企業庁「中小企業活性化協議会の活動状況」)。

Q. 破産と何が違いますか。

破産は裁判所が管財人を選び、財産を換価して債権者に配当し、会社は消えます。本調査で終わりが確認できた550社の4社に3社は配当のない廃止で、開始から廃止まで中央値159日でした。準則型私的整理は会社を残したまま金融債務の返済計画を組み替えるもので、スポンサーに事業を引き継ぐ第二会社方式では、事業と従業員と建設業の許可を新会社に移し、旧会社だけを整理します。どちらの手続を選べるかは、資金繰りと事業の収益性によります。

Q. 下請への支払いは止まりますか。

準則型私的整理では、対象になる債権は原則として金融機関の借入に限られ、工事代金や資材の買掛金などの商取引の債権は対象に入れず、通常どおり支払います。破産では商取引の債権も含めて手続の中で扱われ、本調査の範囲では配当のない廃止が4社に3社でした。

Q. 建築工事の会社は、年に何社くらい倒産していますか。

本調査の台帳では、建築一式工事業と判定した会社の破産手続開始は2025年に355社、2024年4月から2026年9月までの29か月で886社でした。倒産の形は破産だけではなく、廃業の届出や許可の失効の方が多いこともお読みください。

Q. 土木工事の会社は、年に何社くらい倒産していますか。

本調査の台帳では、土木一式工事業と判定した会社の破産手続開始は2025年に115社、2024年4月から2026年9月までの29か月で282社でした。倒産の形は破産だけではなく、廃業の届出や許可の失効の方が多いこともお読みください。

Q. とび・土工工事の会社は、年に何社くらい倒産していますか。

本調査の台帳では、とび・土工・コンクリート工事業と判定した会社の破産手続開始は2025年に81社、2024年4月から2026年9月までの29か月で190社でした。倒産の形は破産だけではなく、廃業の届出や許可の失効の方が多いこともお読みください。

Q. 管工事の会社は、年に何社くらい倒産していますか。

本調査の台帳では、管工事業と判定した会社の破産手続開始は2025年に69社、2024年4月から2026年9月までの29か月で155社でした。倒産の形は破産だけではなく、廃業の届出や許可の失効の方が多いこともお読みください。

Q. 電気工事の会社は、年に何社くらい倒産していますか。

本調査の台帳では、電気工事業と判定した会社の破産手続開始は2025年に64社、2024年4月から2026年9月までの29か月で149社でした。倒産の形は破産だけではなく、廃業の届出や許可の失効の方が多いこともお読みください。

Q. このデータは使えますか。

はい。集計データはCSVで配布しています(APPENDIX D〜K)。CC BY 4.0で、出典としてこの記事へのリンクを付けてください。社名は含んでいません。


APPENDIX A 調査対象と方法

項目内容
対象期間破産手続開始が2024年4月〜2026年9月(一部2024年3月末を含む)。承継の認可は令和7年度、許可業者数は令和8年3月末
台帳官報の破産公告(官報AIで全件取得)、東京経済の倒産情報、JC-NETの倒産記事を法人番号で重ねた19,616社。司法統計の法人破産件数に対する捕捉率は約94%(別稿「会社の破産19,616社」で検証)
建設の判定東京経済・JC-NETの業種表記に建設語があるもの(1,849社)と、業種不明で商号に建設語があるもの(873社)。判定規則はAPPENDIX B
工種業種表記と商号から8分類に正規化(APPENDIX B)
分母国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について」(令和8年5月15日公表)表2の都道府県別許可業者数(純計)483,823
承継同調査 表7「全国事業承継認可件数調べ」(令和7年4月1日〜令和8年3月31日)。県別は知事許可分、全国計は大臣許可分を含む
負債・売上・設立・資本金JC-NETの記事本文と、東京商工リサーチ TSR速報・帝国データバンク 倒産速報の無料公開分から正規表現で抽出(記事・公開速報(JC-NET 205社、東京商工リサーチ TSR速報・帝国データバンク 倒産速報 計3社))。速報の本文は台帳に入れず数値だけを持ち、TDB由来の数値は集計に溶かして出す。単位(億・万)を必ず取り、取れない社は欠損。負債は「負債総額」の直後の金額、売上は記事中の最も大きい年の売上高
原因計算前に固定した語彙(APPENDIX C)を、経緯の記述がある301記事に当てた。数えた後に辞書を変えていない
過程官報AIの公告種別(手続開始・手続廃止・手続終結)を法人番号で結び、開始の公告日から廃止または終結の公告日までの日数
退出国税庁 法人番号公表サイトの全件データから、商号に建設語を含む法人の閉鎖事由(清算の結了・合併・職権閉鎖・その他)を年別に集計
処分国土交通省 ネガティブ情報等検索サイト(建設業者)で、破産した10社を商号で検索。該当0

母数の較正

本調査の破産件数が、公表されている建設業の倒産件数のどれだけを捕捉しているかを、東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」の年度集計と年度をそろえて比べました。TSRの倒産は負債1,000万円以上で、破産のほかに民事再生・特別清算・取引停止処分・私的整理を含みます。本調査は負債額を問わず破産手続開始だけを数えているので、一致はしません。

年度TSR 建設業の倒産(負債1,000万円以上・法的整理+私的整理)本調査の建設会社の破産手続開始本調査÷TSR
2024年度(2024年4月〜2025年3月)1,943件1,070社55%
2025年度(2025年4月〜2026年3月)2,047件1,153社56%

暦年では、TSRの2024年の建設業の倒産は1,924件、2025年は本調査の破産1,116社に対し、TSRの2025年度が2,047件です。本調査の破産はTSRの建設業倒産の55〜56%にあたり、残りは民事再生・特別清算・私的整理と、業種が判らず本調査から外れた社、TSRが集計し本調査の台帳に載らなかった社です。破産だけを司法統計と比べることは、司法統計に業種別の破産件数が無いためできません。出典:東京商工リサーチ「2024年度(令和6年度)の全国企業倒産1万144件」(https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1201244_1610.html)、「2025年度(令和7年度)の全国企業倒産1万505件」(https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1202724_1610.html)、「2024年(令和6年)の全国企業倒産1万6件」(https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1200857_1610.html)。いずれも2026年9月16日取得。

APPENDIX B 建設の判定と工種の正規化

建設と判定した語:建設、建築、土木、工事、工務、設備、内装、塗装、解体、舗装、防水、鉄筋、鉄骨、大工、左官、とび、足場、造園、屋根、板金、外構、エクステリア、型枠、建具、リフォーム、電設、管工、空調、給排水、基礎、杭、住宅。業種表記に不動産、製造、販売、加工、運送、設計事務所、警備、清掃、人材、派遣、自動車、印刷、飲食、小売、卸、レンタル、リースを含むものは除外しました。商号が工業、設備、電気、工機、鉄工、産業だけの320社は不明として集計から外しています。

工種は次の順で判定し、先に当たったものに寄せています。

工種判定の語
電気・通信電気、電設、通信、電気設備
設備・管管工、空調、給排水、設備工事、配管、水道
とび土工・解体・躯体とび、土工、解体、足場、鉄筋、鉄骨、杭、基礎、型枠、鋼構造
内装・塗装・リフォーム・外構内装、塗装、防水、リフォーム、左官、建具、屋根、板金、外構、エクステリア、造園、タイル、ガラス
土木土木、舗装、土建、造成
建築建築、工務店、住宅、ハウス、ホーム、住建、木造、大工、建装、建工
建設(総合・不明)商号または業種が「建設」だけ
その他建設上のどれにも当たらない建設系

APPENDIX C 原因の語彙

原因当てた語(要旨)
受注減・売上減受注の減少・低迷、売上の減少、業績の悪化、採算の悪化、工事量の減少
資材・人件費の高騰資材価格の高騰・上昇、建築資材、人件費・労務費の高騰、原材料の高騰、物価高、コスト増
人手不足人手不足、人材の不足・流出、職人・技術者の不足、従業員の退職、担い手不足
工事代金の未回収・取引先の倒産未回収、回収困難、貸倒れ、取引先・元請の倒産、連鎖、焦げ付き、不渡り
コロナ・ゼロゼロ融資の返済コロナ、ゼロゼロ、実質無利子、無利子無担保、コロナ関連融資、融資の返済負担
粉飾・不正・横領粉飾、不正、横領、背任、架空、循環取引、詐欺、逮捕
代表者の死亡・病気代表者の死去・急逝・病気・体調・入院
後継者不在後継者不在、事業承継の難航
公共工事の減少公共工事・公共事業の減少・縮小、公共投資の抑制
資金繰り・債務超過(別枠)債務超過、過剰投資、借入金の増加、資金繰りの悪化・逼迫、返済の滞り。結果でもあるので、他の原因が無い記事だけ別に数えた

正規表現の原文は集計スクリプトの辞書ファイルに固定して保管しています。

APPENDIX D 年別×工種別の件数

appendixD_by_year_koshu.csv

APPENDIX E 都道府県別の破産件数と許可業者数

appendixE_by_pref.csv

APPENDIX F 都道府県別の承継認可と破産

appendixF_shokei_vs_hasan.csv

APPENDIX G 負債・売上・設立年・資本金(205社)

appendixG_saimu.csv

APPENDIX H 原因の集計

appendixH_causes.csvappendixH2_causes_by_koshu.csv

APPENDIX I 開始から廃止・終結までの日数(550社)

appendixI_process.csv

APPENDIX J 裁判所別の日数(全業種)

appendixJ_court.csv

APPENDIX K 建設系法人の閉鎖事由別件数(国税庁)

appendixK_nta_exit.csv


APPENDIX L 破産と相関する要素(分母のある軸)

appendixL_keishin_tokyo.csvappendixL_koshu_rate.csvappendixL_form.csvappendixL_serial_tokyo.csvappendixL_capital_tokyo.csv。経審の分母は建設業情報管理センター(CIIC)の経審名簿によるもので、件数と比だけを載せ、社名は含みません。


【引用・転載について】
本記事は、事前のご連絡なしにご自由に引用・転載いただけます(CC BY 4.0)。引用の条件として、当記事へのリンク(出典明記)をお願いします。
Webサイトでの引用タグ(そのままコピーしてお使いください)
<a href="https://jfsc.jp/research/construction-bankruptcy-japan/">建設会社は、どう潰れるのか ── 破産2,722社の負債・原因・日数を数えた|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「建設会社は、どう潰れるのか ── 破産2,722社の負債・原因・日数を数えた」(2026年9月16日) https://jfsc.jp/research/construction-bankruptcy-japan/
※ 他機関(官公庁・調査会社など)の公表数値を含む箇所は、それぞれの元資料の利用条件に従ってください。

出典

集計スクリプトと判定の規則は筆者が保管しています。数え方や記載に誤りがある可能性があります。お気づきの点はお問い合わせよりお知らせください。

五十嵐悠一
監修・執筆責任者
株式会社日本財務戦略センター 代表取締役。京都大学経済学部経営学科(マーケティングゼミ専攻)卒。損害保険ジャパン本店営業部(企業リスク・法務)を経て、東証上場M&A仲介会社にて多数の成約に従事。2020年に株式会社日本財務戦略センターを創業し、M&A・事業承継・財務戦略を専門としています。日本CFO協会認定 プロフェッショナルCFO M&Aエキスパート/中小企業庁 M&A支援機関登録事業者/一般社団法人M&A支援機関協会 正会員/中小M&Aガイドライン第3版 遵守宣言済です。

本稿は官報の公告、倒産情報サイトの公開記事、国土交通省・国税庁の公表データを機械的に集計したものであり、特定の会社についての評価や、破産・承継の推奨ではありません。記事本文からの抽出は要旨のみで、記事の転載はしていません。社名は集計データに含めていません。
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