粉飾決算の見分け方~粉飾決算をしてみよう!~

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公開日:2022年4月18日 /最終更新日:2022年4月18日

「中堅・中小企業に対する 粉飾決算の見分け方」

粉飾決算と中小企業

面白い本があったのでご紹介したいと思います。
ビジネス教育出版社という出版社から出されている中小企業と粉飾決算について石田昌宏さんという方が書かれています。

https://www.amazon.co.jp/dp/B09MVJYTQ7/ref=cm_sw_r_tw_dp_GVR4MC6G0DAY19XBY6A1 @amazonJPより

これが非常に面白い!
一般的に粉飾は「悪」というイメージですが、利益操作という観点で経営者にとってはある程度の必要性があると認めたうえで粉飾決算の見破り方について書かれています。
銀行員向けに書かれたのでしょうが、版を重ね2008年から現在に至るまで出版されています。
それだけ時代を問わずニーズがあるのでしょう。
悪意ある詐害行為と単純に断じるのは容易なのでしょうが、テクニカルな部分や動機(粉飾だけではなく利益を抑える逆粉飾なども)を知ることでよりM&Aを行うにあたり、現実的な対応を行っていくことができるのではないでしょうか。

粉飾決算を体験してみよう!

これはあくまでもシミュレーションなので実際の経営ではしないでくださいね、と前置きを行った上でですが、粉飾を行うポイントについて記載されています。
具体的には売上の架空計上、商品在庫の架空計上、仮払金の過大計上、減価償却の未計上、グループ会社での付け回し等が挙げられます。
そしてそれらの粉飾決算についての見破り方も個別に記載されています。
特に架空の決算書を用い、融資を銀行から引くために粉飾を行うレッスンもあるので、ぜひ購入してやってみると面白いと思います。
私も「粉飾ってこんなに容易にできるのか!」と改めて驚きましたし、安易な粉飾では利益率の変化などで見破られてしまうので、様々な科目で粉飾する必要があり、粉飾もそれはそれで大変だなあと思いました。

粉飾決算の見破り方

繰り返しになりますが、本書では粉飾決算の見破り方も記載されています。
過去3年だけではなく7年などかなり長期にさかのぼって在庫の回転日数を追っていくことで、数字の妥当性を検証していくなどかなり実効性は高いと思います。
実は上記のような長期間のトレンドを買収監査で追って妥当性を検証するのはもちろん重要なのですが、当職も売り手を訪問して決算書を頂いた際に怪しいと感じたことはありました。
(確認したところ粉飾されていました)

個別の在庫・商品や売掛金などに少額ずつ水増しをされると見分けるのは難しいのですが、「その他」などの名目で大きい金額が計上されているとかなり怪しいと思います。
粉飾している側も実態は把握したいので、ある程度まとめて計上したがるというのが見分けるポイントではないでしょうか。
またそれらの科目が毎年大きく変動していないのもおかしいと疑っていいかもしれません。

その他、運転資金と現預金のバランスを確認してもいいでしょう。
以前のコラムでも紹介いたしましたが(資金繰りでお悩みの経営者は何をすべきか、必要とされる運転資金と手持ち現預金が見合っているかどうかも確認してもいいと思います。
必要とされる現預金と運転資金があまりにも乖離している場合、商品在庫や売掛金が乖離して計上していると思うべきでしょう。
リンク先のシートを使っていただければ1分ほどで比較してみることができますので、ぜひ試してみてください。

粉飾決算とM&A

上場会社と異なり、オーナー経営者の経済的利潤の獲得の手段として中小企業が経営されているため、決算書に100%適正に計上されている前提で受け止めてしまうのはナイーブでしょう。
そして事実と異なり計上されているモノや金額が話し合いで是正されるレベルでの粉飾決算であれば、話をまとめてしまうという考え方もあると思います(粉飾決算を肯定するものではありません)。
その為には粉飾されていると思しきポイントを予め目星をつけて、買収監査時に確認していくというくせをつけるべきなのではないでしょうか。
売り手によっては本人も自覚がなく「税理士が『見栄えをよくするため』何かやってくれた」というレベルの認識しかない売り手もいます(それはそれで問題なのですが…)。

であれば、現実としてそのような問題も起きる前提で対応したほうが、M&Aにより事業を拡大していくという考え方ではポジティブでしょう。
勿論弊社で対応する案件については、事前に把握できる点はきちんと整理を行う前提で対応しておりますが、上記のような現実があることも踏まえてM&Aを進めていかれたらいいと思います。

反対に売り手様については粉飾決算は譲渡後のトラブルになり、表明保証違反による賠償を求められる可能性があるため、事前に正確に伝えたうえでトラブルを避けるようにしたら宜しいかと思います。
粉飾自体は利益操作であり、粉飾に至らざるを得なかった理由なども色々過去にあったものだと思います。
M&Aは過去の粉飾を是正するいい機会なので、率直に教えて頂ければ対案もださせると考えています。

M&Aについては以下のブログも参考にしてください。

日本M&Aセンター 契約書偽造・不正計上問題とそこから学ぶべきこと
<売り手向け>やばい買い手には気をつけろ! マッチングだけが全てではない。
小規模M&A向け表明保証保険「M&A Batonz」についての解説
「M&A仲介への不信感4選」
仲介かFASか
「M&A仲介会社の手数料」上場・非上場会社との比較!
M&Aで会社を譲渡する際に失敗しないための21のポイント!
売り手がM&Aを始める前に確認すべき5つのこと
【年倍法】M&Aの「価格」と「価値」の違いとは
「御社を買いたい人がいるから売ってくれと言われているが本当か」問題
M&A仲介会社の「業界最安値」手数料問題とは
仲介会社が入る意味とは
「M&A仲介と契約を結ぶ前に。テール条項には気をつけろ!」
「中小企業庁から学ぶ! M&A仲介業者の見極め方」
「中小企業庁から学ぶ! M&A仲介業者の見極め方2」
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