銀行融資姿勢の変化と中小企業

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公開日:2023年8月24日 /最終更新日:2024年7月24日

日本経済と中小企業

新型コロナウイルスの感染拡大により、日本経済は大きな打撃を受けています。
特に、飲食や観光などのサービス業を中心に、多くの中小企業が経営危機に陥っています。

日経新聞2023年8月24日に「銀行の融資態度、14年ぶり厳しさ 倒産増加に警戒感」との記事も掲載されましたが、中小企業の現状について確認してみたいと思います。

政府や日本銀行は、コロナ危機が始まって以来金融支援策を講じてきましたが、それでもなお、資金繰りに苦しむ企業は高止まりしています。
東京商工リサーチによれば7月の倒産は16カ月連続で増加、増加率はコロナ禍で最大の53.4%増と示されています。
2023年7月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が758件(前年同月比53.4%増)、負債総額は1,621億3,700万円(同91.7%増)と、それぞれ大幅に増えており、2023年7月の「新型コロナウイルス」関連倒産は271件(前年同月比56.6%増)発生。
2020年2月からの累計は6,650件に達したとのことで、まだまだ影響は大きいものがあります。

銀行の融資姿勢

そんな中、銀行の融資姿勢にも変化が見られます。
先ほどの日本経済新聞の記事によれば日銀がまとめた7月の主要銀行貸出動向アンケート調査では、銀行の融資態度を示す指数が2009年以来、約14年ぶりの低水準となりました。
これは銀行がコロナ禍で強まった資金需要に積極的に応じてきたものの、これ以上与信を膨らませることに慎重になりつつあることを示しています。

銀行が融資先を厳しく見極める姿勢に変わってきた背景には、企業経営の先行きへの警戒があります。
物価高や人件費の増加などで企業経営の不透明感が強まっており、倒産件数も前年同月比で先ほど述べたように5割以上増えています。
特にコロナ禍で実質無利子・無担保のゼロゼロ融資などで債務を増やした企業ほど、この先の資金繰りが厳しくなる可能性があるでしょう。

国際環境の変化

また、国際的な金融環境も不安定さを増しています。
FRBによれば米国の銀行は2023年4~6月期に企業向け融資基準を20年春以来、3年ぶりの厳しさにしました。
ECBによるとユーロ圏の銀行も、2023年1~3月期に法人向け融資基準を大幅に厳格化しました。
これらの動きは、世界経済の減速や金利上昇の影響を反映しています。

また中国でも中国恒大集団という巨額の負債を抱える大手不動産デベロッパーが経営危機に陥っており、その債務不履行は中国経済や世界的な金融市場に深刻なショックを与える恐れがあります。
中国は日本の最大の貿易相手国であり、日本企業の重要な生産拠点でもあります。
中国市場の縮小や生産活動の停滞は、日本経済にも大きな打撃となることからサプライサイドでもデマンドサイドでも日本の企業、特に中小企業に影響を与えることは避けられないでしょう。

今後の展開の検討

このように、銀行の融資姿勢が変わる中、中小企業はどうすべきでしょうか。
運転資金の借り入れを考えることはもちろんですが、銀行から借り入れることだけが中小企業の生き残り策ではありません。
自己資本を増やすことや事業改革を進めることも必要です。
またM&Aや事業承継といった選択肢も考えられます。
M&Aとは企業の合併や買収のことで、事業承継とは経営者が引退する際に、事業を後継者に引き継ぐことです。
M&Aや事業承継を通じて、経営資源を有効に活用することで、事業の継続や拡大を図ることができます。

中小企業庁は、M&Aや事業承継に関する情報提供や相談支援を行っています1
例えば、「中小M&Aハンドブック」
2や「中小M&Aガイドライン」3では、M&Aの流れやポイントを分かりやすく解説しています。
また「中小M&A推進計画」
3では、M&Aの実施意向がある中小企業が約60万者に上ると推計し、その実現に向けた取組を示しています。

中小企業は日本経済の基盤であり、多様な価値やイノベーションを生み出しています。
コロナ禍で苦境に立たされている中小企業に対しては、銀行だけでなく、政府や地域社会、消費者などが支援することが重要です。
金融環境が正常化の方向へと動き出し、事業の採算性などが厳しく問われる状況に戻りつつある中で、中小企業はどのように進化していくのか、注目したいと思います。
M&Aや事業承継でお悩みの中小企業の経営者につきましては、弊社にて支援サービスを提供することが可能ですのでお気軽にご相談ください。

 

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