五十嵐 悠一の本音トーク

お行儀のよい?会社ではなかなか書けないような記事を書くことで、せっかくご覧いただいた皆様が損をしなくなるようなコンテンツを掲載していきたいと思います。

1.業界最安値手数料問題

数学会で長年の謎とされている問題の一つに「リーマン予想」というものがありますが、M&A仲介業界でも謎めいた問題として、「当社の手数料方式はレーマン方式を採用しています。また業界最低水準です」と謳っている記載があります。

色々な仲介会社でそのような文言が記載されている印象がありますがさて本当でしょうか?

そもそもレーマン方式って何でしょうか?

レーマン方式については諸説あり、ドイツ人のレーマン博士が考案した方式で、譲渡対価をブレークダウンし、それぞれに料率をかけて合計額を計算するという計算方法です。

例えば4億円の場合、当社であれば2億円の部分と4億円から2億円を超えた分の2億円(4億円―2億円=2億円)に対し、それぞれ10%と9%を乗じ、小計の2000万円と1800万円の合計額である3800万円が手数料になります。

さてレーマン方式については分かりましたが、実際に手数料が最安値となる会社はどこなのでしょうか?
(最低報酬かどうかってレーマン方式ってあまり関係ないですよね・・・。)

結論から申し上げると、「依頼して見積もってもらわないとわからない」というのが実情かもしれません。

というのも、レーマン方式を何に対して乗じるのか、という問題があります。当社の場合は譲渡対価(株価)+リファイナンスを行う負債部分に対して計算します。そのため一見、「株価だけに対してリーマン方式で計算します!」という会社より割高に見えるかもしれません。

しかしこの他に「最低報酬」という概念があります。例えば当社の場合は最低報酬を500万円と規定しており、それを超える譲渡対価(含む負債部分)の場合、レーマン方式を用います。

例えば譲渡対価(含む負債)が4000万円だった場合、4000万円×10%<500万円となるため、最低報酬の500万円が手数料となります。

譲渡対価が6000万円(含む負債)だった場合、6000万円×10%>500万円のため、600万円が手数料になります。

「え? これなら株価にだけ対してだけレーマン方式で5%って書いてある会社の方が安いじゃない! そっちでやった方が得!」と思われる向きもあるかもしれません。

ここで重要になってくるのが「最低報酬」になります。一見、当社の計算式が割高に見えますが、最低報酬が1500万円や2000万円の会社に相談してしまった場合、譲渡対価(含む負債)が1億円の会社だったとすると、当社の手数料1000万円になりますが、先ほどのような会社の場合1500万円や2000万円になってしまい、結果として当社より割高になってしまいます。

またこのような高い最低報酬を設定している仲介会社の場合、成果を反映しない固定報酬制のようなものになってしまうので、仲介会社の担当者は、売り手様の立場に立って交渉しようというよりも、話をまとめるために買い手を優先しようと思う可能性が高いです(固定報酬なら売り手のために頑張ろうとするよりも、譲渡対価を下げてでも買い手との話がまとまればいい、と思いますよね)。。

これと同様のお話として「手数料0円!」をうたっている会社もあると思います。これはなお「タダより高い物はない」と思います。

というのも仲介会社は1件のM&A仲介で収益を上げる手数料金額を想定していますが、売り手からもらえないなら買い手からもらおうと思いますよね。つまり売り手が払うべき手数料も載せて買い手に高額の手数料を請求したいと考えると思います。

とはいえ当然、買い手も買収価格と手数料の合計額でM&Aを考えているので、「はい、わかりました」というわけにはいきませんよね。

そうすると先ほどのお話と同じで、仲介は譲渡対価を下げてでも成約させたい(買い手の立場に立って動く)というインセンティブが発生します。またM&Aは譲渡後にトラブルがないよう譲渡契約をきちんと定めることが何より重要なのですが、買い手側に立った仲介が破談覚悟で売り手のために契約書の落とし穴を指摘するでしょうか。

その意味で、「売り手様から手数料を頂きません!」という考え方は「後出し最低報酬」以上にどうなのかなあと思います。

株式会社日本財務戦略センターでは面談時に譲渡対価の目線とそれに伴う手数料概算額を説明いたします。ぜひご相談ください。

2.「御社を買いたい人がいるから売ってくれと言われているが本当か」問題

これは率直に言うと・・・、まず間違いなく適当、というより何千通も連絡を行い、反応があった先に営業トークを行っているケースが多いです。

仲介も案件がなければ始まらないため、どうしても数打ってあてる、という仲介会社が出てくるのはやむを得ないと思います。
(ひどいところになると、せっかく問い合わせをしたにもかかわらず、想定していた規模や利益額が出ていないと、そのまま無視をするという仲介会社もあるに仄聞しております)

当社は他社と比べ、「数を打ってあてる」という戦略をとるほどの余裕もありませんし、嘘をついてまで案件化するというのも設立方針と異なるため、実際にお相手がいる企業様にしかアプローチいたしません。

では本当に相手がいるのかどうか、仲介会社から問い合わせが着たタイミングで判断するにはどうしたらいいのでしょうか

やり取りは電話でやることが多いと思いますが、その際に「相手の具体的な名前を出してほしい」って言いますよね。

でも仲介会社は「秘密保持契約を結んでから」というようなあいまいな言い方で交わすと思います(たしかに秘密保持契約を結ばないで名前を出す仲介会社も何ともですが。。)。

秘密保持契約を締結すること自体は、通常、費用の発生もないでしょうし、情報収集を行うためのツールとして割り切っていいと思います(費用発生する仲介会社もあると聞いておりますが、「他から依頼を受けて」という流れで、費用負担をさせる意味が分かりませんよね。。)。

そして締結したタイミングで、「社名開示をして下さい」といったらいいと思います。そこで口ごもったらまず間違いなくアウトですよね。お引き取り願ったらいいと思います。

社名開示をしても、それが本当かどうかっていう話があると思います。本当かどうかを確認するために、「なぜうちか」「M&Aを行うとどうなると考えているのか」「窓口はだれか」「どうやって接触したのか」を細かく聞いたらいいと思います。

具体的に説明できれば確かさはあると思いますし、あいまいさやごまかしがあれば、そこに嘘があると思っていいと思います。

嘘をつく担当者は、M&Aの案件が進む中で、どこかで嘘をつく可能性があり、嘘によってトラブルを招く可能性があるため、その時点でお断りしたほうがいいと思います。

当社は先ほど述べた理由でお相手がいない企業へアプローチすることはありませんし、嘘をついてまで会社を売ってほしいということはございません(もしそのような担当者がいれば代表の当方までお申し出ください)。

それらがクリアされたら、具体的な話が待っていると思っていいと思います。そう思われたら、次のステップとして、「いくらで譲渡するのか」「その際の条件はどうしたらいいのか」ということを担当と詰めて行ったらよろしいと思います。

3.仲介会社が入る意味とは

仲介という形式、シンガポールとかアメリカでは禁止です。

むこうではFAという形で、買い手売り手双方にアドバイザーをつけて交渉させています。
(日本では「別れ」と言って何とかまとめさせようとしているような存在ですが、向こうではお互いの利益を主張するためにつけるので全然違う存在だと思います…)。

なぜ仲介という存在が禁止されているのかというと、それは利益相反の可能性があるからです。つまり、売り手と買い手について、話をまとめるために情報を歪曲し、(基本的に)売り手をだまくらかしても成約して手数料をもらう…。

そんな仲介者がごろごろしていればそりゃ禁止しますよね。。

ではなぜ日本では仲介という形式が残っているのでしょうか。もし経済合理性がないのであれば禁止されているはずです。

ここからは個人的な推測ですが、日本的なウェットな交渉の際に、間に入るのが一人(一社)のほうが感情的になる可能性が少ないからかなあと考えています。

相対取引は最終的には経済的なバリュエーションを裏付けとして感情的な(エモーショナルな)問題をクリアし、ハンコを押すということがゴールになると考えられます。

その際にお互いの立場を主張すぎると、バリュエーションを優先してエモーショナルな問題が発生してしまう。それなら多少、バリュエーション(価格)は調整されるとしても、「まあまあ、この辺で」「お互い、一緒にやっていきましょう」という考え方が、双方の感情や考え方を踏まえてやれる仲介という形に落ち着いたのかなと考えられます。

では本当に仲介という形が正しいのでしょうか?

それも難しいところです。上記の話は性善説に立っておりますが、中には制約を優先して、情報を捻じ曲げ、いずれかの不利(利益相反)になっても手数料をもらう、という仲介もいると思います。

特にインセンティブ形式の会社はそうですよね。
インセンティブ率が高い場合、会社の採用ページで「業界最高水準!」とか「平均年収2●●●万円!」みたいにうたってると、「え・・・、その原資ってどこから出てるの」って思いますし、「会社も許容してるんかい」って思いますよね。

単価の高い成約ありきでチェックアンドバランスが働いていない状況なのではないか、と思いますよね。

では社内で「売り手と買い手に分かれています」という会社なら安全なのでしょうか?

それも本末転倒で、そもそも利益相反の観点を防ぐためにお互いに分かれてやっているのに、どちらも自社であれば、「顧客のために自社の利益を毀損してもいいのでやめるよう言います」という話にはならないですよね。

したがって社内で別れ対応をしていても顧客利益はまっとうされない。。

かといってFA対応だとそもそも調整ができるのかという問題もある。。

誰を信じたらいいのかという疑問があると思いますが、当社の場合、「悩んだら代表までご相談ください」とお伝えします。

担当仲介の言動に不一致があると思われた場合、何か不審な点がある場合や不安になった場合。発言がぶれた場合が何かある可能性が高いです。

当社の担当者がもしそのような言動をとる場合には当方までご連絡ください。そして状況を確認し、お伝えします。

当社の場合は、そのようにチェックアンドバランスをとりますし、たいていの仲介会社はそこまでやりません。

そのうえで納得感のあるM&Aを行い、ご満足を頂けるよう努めてまります。他社でやられてる事業者の方も、ご不安であればご相談に乗りますので、お気軽にご相談ください。

よろしくお願い申し上げます。

4.M&A仲介の存在意義とは

「AIによってなくなる職業」ってありますよね。

AIによってなくなる職業とは、個人的には、高度な専門性をもってやる提携反復な業務、特に賃金が高い業務である、と思います。

まず代替圧力が働くという意味では賃金が高い業種がターゲットになると思います。AIはディープラーニングで定型的なことを学習して判断していく、というところが特徴ですが、医師や弁護士、裁判官など高度な知識を駆使して過去の例や知識情報に倣って判断するという業務はまさに親和性が高いと思います。

また(裁判官はともかく)医師や弁護士は民間の市場原理の圧力を受けるため、だいたいのインセンティブが働きますよね。そうすると提携反復なことしかできないホワイトカラーは代替されてしまう、という可能性があるわけです。

逆にその流れに乗り、提携反復しかできない人たちをまとめられるのであればさらに富を集約させることができる、ということを加谷 珪一さんがおっしゃっていますが、私もそのようになると思います。

さて、ではM&A仲介はAIの出現によって淘汰されるのでしょうか?

私の答えはNOです。

なぜなら淘汰されない業種というのは、アートとかアナウンサーとか人の心を動かす職業なんですよね。

ではAIがオーナー社長に対してソーシングして「もう売り時ですから売りましょ」って言って、意思決定をさせるでしょうか?

よっぽどロジカルに判断する人ならともかく、わたしはNoだと思います。

なんでお前に会社の売却任せるねんな、と思うからです。
(まあ、大企業の場合はあるかもで、そうするとIBDみたいなところがバッティングしてしまいますが。。)

ロジカルとエモーショナル、双方が必要なオーナー企業のM&AにおいてはAIは代替できないと考えています。

特に当社の場合は、定型的なバリュエーションは行いませんし、「売却」以外の方法も提案いたします。

感情ももちろんですが、「何ができるのか」という戦略、ロジカルな部分についてもお話を伺い、提案をさせて頂きます。ぜひご相談ください。よろしくお願いします。

5.個人がM&Aを行うことについて

「300万円で会社を買おう!」っていう本ありますよね。
 あの本、M&A仲介の周りでは喧々諤々で。

 「300万じゃ手数料にもならんやろ!」っていうまあ、なんともなコメントもあったりしますが。苦笑。

 「300万」でも会社は買えると思います。結局は相対取引なので、お互いが一円でもいいと思えばそれが価格になります。ただ次に考えて欲しいことは、では仮に「300万」で譲り受けができたとして、「経営ができるか」という問題、そしてもっと言えば(経営に対して自信がなければ)「売ってくれるのか」という問題が出てくるでしょう。

 これは「バリュエーション(譲渡価格)は高ければいいのか」問題につながってくるのでセンシティブなところがありますが、価格の大小は譲渡後の経営によって収益や利益を増やしてキャッチアップすることができると思います。
 ただそれは経営ができる(ハンドリングができる)ことが大前提になってくると思います。

 「300万で買える」かどうかよりも、それがいくらだとしても経営できるかを考えた方がよろしいのかなあと思います。

 その点、私も「売って良し」と考えていた時期があり猛省しているところがあるのですが、現在では本当に運営できるのか、という点についてかなり慎重になっています(例え双方が「売ります!」「買います!」と言っていたとしても)。

 このスタンスは他の仲介ではあまりないかもしれませんし、会社の利益、という点から見ると私の考えは雇われでやっていたら会社と自己の良心と利益相反となるのでしょうが、今は自分の考えでやれるので、そうするといかに目の前の売り上げに繋がりそうな話があっても、「本当にこのまま進めていいのだろうか」というブレーキを自分の中でかけながらお話を検討するよう意識しています。

 だからと言って当社だと売りづらい、という訳ではありません。

 開業してから2ヶ月弱ですが、すでに一部上場企業や大手PEファンドを含め数十社と秘密保持契約を締結しておりますし、その先も当社が「ここなら」と考えたところです。

 少し話は逸れましたが、「300万」かどうかという話ではなく、自分自身で「経営できる」と思う案件ではなければ手を出さない方がいいと思いますし、
弊社ではきちんと買い手様も「安く買おう」というところではなく、きちんとした会社を探す、という趣旨でした。

 「M&A成約ありき」で動く担当者には私もかなりシビアな眼で対応しますので、万が一そのような担当がいたら、代表である私までご連絡ください。
 「締結ありき」で話を進めることなく、幅広に双方が検討し、そしてトラブルやハレーションがないM&Aが行くことが理想だと考えておりますので、この考え方にご同意いただける事業者の方には、ぜひ当社でお話をまとめさせていただければと考えております。

6.ファンド問題

2及び5ともかかわってくるかもしれませんが・・・。

「ファンド」あるいは「PEファンド」についてよく耳にするのではないでしょうか。私が若かった…いや今も若いので幼かったころに「ハゲタカ」とか「村上ファンド」という少しレッテル張りのようなアクティビストと言われるファンドがあった(今もある)ので、印象としてそもそもよくないところがあるかもしれません。

ファンドにもいろいろやり方はあるのですが、基本的には、いろいろなところからお金を集めて(銀行や生命保険会社などの金融機関が多いと思います)、SPCと呼ばれる目的会社を作り、そこに出資し、場合によってはSPCでさらに金融機関から融資を受け、そのお金で投資対象となる会社を買って、さらに魅力的な価値が出るようにし、価値が上がって売却し、その利益を出資者に還元する、という点です。

不動産で言うと、さえないアパートやマンションを買ってリノベして価値を高くして売ったりするようなイメージでしょうか。そして基本的にお金は他から出してもらう。

まあ、これだけで見たら別に普通の商取引・・・というか経済活動なので別に問題がないんですが、M&Aの当事者、特に売り手からすると2点お気づきになった点があったと思います。

それは

(1)最後に必ず売る
(2)出資を集めてきて株を買い取る(ので、彼らはその筋の専門家ではない)

の2点です。

前者について、オーナーとしては「これを誰かに引き継いでもらいたい! 従業員の生活も心配だ」という方もかなり多数の割合でいらっしゃいます。その際、ファンドは数年後に必ず売ることを前提としていますので、数年後に従業員がまた別のオーナーの下で働く前提になることを理解しないといけないでしょう。

また後者についてですが、あくまでもよそからお金を集めてきて投資の対象としてみるため、経営ノウハウが乏しい可能性があることです。そこは彼らのリスクですし、事前に投資委員会や買収監査でも検討するはずなのですが、やはり築いてきた事業が事業に知見のない人たちにオーナーシップを握られてしまうことは事前に承知すべきだと思います。

とはいえ当職もファンドに常軌を踏まえて紹介することはあります。「売れたらいい」ではなく、紹介するにはそれなりの合理性があって紹介いたしておりますので、気になった方はご相談ください。

ここで1点だけ。

当職は事前に同業他社、異業種他社を含めてファンドを紹介することがほとんどです。ただM&A仲介の中には「あ、このファンドだったら買ってくれます」しか案内しない営業もいるように仄聞しております。

それは顧客機会の逸失でもありますが、上記2点を説明せずに案内している可能性が高く、かつその業界に詳しくないためにファンドしか紹介できない(ので今後トラブルが発生する可能性が予想される)と推察されます。

「ファンド行きましょう!」しか言わない担当者が出たらご用心。

なぜそこのファンド(だけ)なのか、という事を質問して本当に信頼できる営業担当者なのかを見極めたほうが良いかと思います。

7.値決めについて

「譲渡対価はいくらなのか」と言う問題があります。

これ、結構難しく、特に非公開企業のM&Aの場合、相対取引になるので、どうしてもボラティリティが激しくなります。

私は聞かれた場合、「最後は市場が決めます」とお伝えしています。

売り手も買い手も希望があると思いますが、最後はマーケットが判断する。ただしそのマーケットを提供することが我々仲介の使命だと感じております。

例えば、売り手に対して限定した買い手しか提供できなければ買い叩かれる可能性があります。
買い手に対して売り手の情報を限定したら、相場より高い(あるいは低い)判断をして、損をするか買えない可能性がある。

我々はなるべく公平な値決めができるべく動くことが使命だと考えています。

確かに、「割安にしてくれたらキックバックする」とか「この案件、(こちらが成約するまで)落としてください」という買い手はいます。それも複数。

そして彼らがそう言うことを持ちかけると言うことは、それに応じる仲介も多いんだと思います。

ただそう言う話に応じると言うことは売り手に対する背信行為ですし、特定の買い手に依存することは結果として、我々の成長を摘むことになりますので、私は過去、全てお断りして来ました。
今後もそうするでしょうし、社員がそのような話に加担しているのであれば厳しく対応いたします。

話が少しそれましたが、算定方法・・・というか、考え方はいくつかあります。DCF法やEBITDA倍率、直純資産法など色々ありますが、実際使われるのはDCF法やEBITDA倍率法が主たる計算方法でしょう。

「横文字だからわかりづらい」というのはもちろんです。

これ、一言でいいますと、「企業の価値は将来の収益の割戻で決める」という考え方です。

「将来に生み出すキャッシュがある。それを今現在買うとすると、それがいくらなのか」

シンプルに言うとこう言うことです。

DCF法の割引率をWACCではなく流動性リスクを勘案してみると、EBITDAの相場観で計算するレート内に収まると思いますが、通常のM&A仲介はここまでの説明できないとおもいますので、もし怪しい仲介がいたら聞いてみてください。
(弊社の担当でしたら直接ご連絡ください)

そして簡便に計算できるので、一時評価的によく用いられます。

ただ、特に上場企業では税務評価(通常の税務申告)以外に、財務評価も行うため、単純に営業利益がどうかとか純資産がどうか、で決まらないことも多々ありますし、経験の少ない担当者ではそこの説明ができず、ブレイクする要因になることもあると思います。

弊社では「いいことだけ」「期待を持たせることだけ」ではなく、「これは最初に言っておくべきではないか」や「これは問題だと思う」ことも事前にアドバイスを行い、お互いにトラブルのない譲渡を行うように心がけております。

算定方法につきまして違和感があればきちんとお答えしますので、ぜひご相談ください。

8.買い手としての上場企業とオーナー企業

どういった企業が譲受会社(買い手)となるのか、というのは結構気になる論点かと思います。

一長一短はあるかと思いますが、経験的な観点から私見を。

上場企業の場合、公開会社であり、マーケットを通じて広く出資を行なっている(株式の売買が行われている)こともあり、公明正大、客観的に財務資料を出す必要があります(一般的な考え方では)。

そのため株主に説明責任を果たすため監査法人、公認会計士を入れ査定を行う必要がありますし、時価換算や引き当て、減損など中小オーナー企業の税務会計では論点にならなかったところを指摘して来るため、「思っていた譲渡金額ではなかった!」ということがしばしばあります。

ただし買い手としてのシナジー自体は大きい可能性が高いこと、また資金調達能力は高いことが多いため、買い手として魅力的ではあると思いますし、譲渡の説明を行う際に際しても、やはりみんなが知っている(特にいい意味であればなおさら)企業に対しての譲渡であればハレーションも少ないですし、譲渡を行う経営者も残って経営を行うのであれば、安心感も高いのかなあと思います。ただし譲渡後は連結され、公開会社に連結されるため、株主からの評価も受けざるを得ず、今までのオーナー社長としての立場とは変わって来ると思います(譲渡後、意外と馴染んだ方もいらっしゃるので、やってみないとわからないところもあります)。

オーナー企業の場合、バリュエーションについてはそれほど細かく言われないことが多いです。場合によってはお互いに事業構造がわかっているので簿価ベースで判断し、その上で話し合いに入ることが多いので、そこでやれ減損だのやれ引き当てだのという話になることは少ない印象です。

ただしオーナーとオーナーなので、相性がものを言って来ることが多いと思います。譲渡側もオーナーなのでよくわかると思いますが、やはり相性というところが一番大きい要因だと思いますし、譲渡後のトラブルについても考え方や相性の要因が大きいところがあると思いますので、その点について事前に確認すべきだと思います(こちらは譲渡側が)。

弊社は上場企業が相手の場合には事前に提示されるべき事項を伝え感情的なハレーションが起きないように努めますし、オーナー企業が相手の場合には事前にパーソナリティをお互いに伝え、かつ譲渡後、どのように進めていくのかを双方同席の上、打ち合わせをいたします。

両者ともメリットデメリットはありますが、いずれに対しても調整するように努めますので、もしご不安な点がございましたらご遠慮なくお問い合わせいただければ幸甚です。

9.閑話休題 M&A関連書籍雑感

オフィス新設に伴い、自宅に保管していたM&A関連書籍を随時移しております。

色々とある中で、一番最初にM&Aというものに対して興味を持った人が読むと面白い本はなんだろうと思ったときに木俣 貴光さんの書かれた小説、「企業買収」が面白いんじゃないかなと思います。

木俣さんは三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社チーフコンサルタント。早稲田大学政治経済学部卒業後、出光興産、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタントを経て現職とのことで、このほかにも実務向けの書籍などを著されています。

この本のおもしろいところは、実務的なプロセスも把握できながら、その時の力関係や感情の動き(売り手買い手)が鋭敏に描かれており、「そうそう、私の時はここでこうだった(し、こうすればよかった)」と思いながら読めるという事では、実務経験がある人間にとっても面白い本だと思います。

また多くの売り手や買い手にとってはM&Aは初めてであり、また1回うまくいったくらいの買い手も「M&Aって簡単なんだよね」と思って臨んでいることが多いので、その心理状態が分っている我々にとっては「いうほど簡単なものではないので、この本読んでもう少し謙虚に取り組んだ方がお互いいいのに…」と思うこともあります。

なぜ売り手や買い手が自分自身が優位に立っているように錯覚するかというとシンプルで、買い手は「買ってやる」という認識になってしまいますし(これが慣れてきているところだと、「売っていただく」という姿勢になるので、最初のタイミングでのハレーションは減ります)、売り手は利益が出ていれば売らなくてもいいという選択肢を取れることと、他に高く出てくるのではないのかという点、また売り手も完全に自社の内容を把握していないことから、瑕疵が全くない前提で話をするため、本書にあるように後で瑕疵が発見されてしまった場合、立場がだいぶ変わってしまうことがあります。
その意味からすればお互いに謙虚になってやっていった方が、譲渡後もハレーションが減りますし、感情的なしこりを残しても成約可能性が減るだけなのになあと我々のような立場からすると思ってしまうわけです。

少し話がそれましたが、M&Aの一連の流れとその中で発生するブレイク要因と、その都度、登場人物の心理状態がこうも変わるのかという群像劇(といういい方は言い過ぎですが)とみても面白いかもしれません。